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うなづいてくれ

作者: 春月桜

 ありがとう。


 その言葉で別れた俺達は別々の道を歩むと思っていた。





「元気でね。」


 俺の彼女だった人がそう言った。


「そっちもね。」


 俺は驚くこともなくそう言った。

 俺の手にはアメリカ行きの飛行機のチケット。

 彼女の頭に自分の手の平を乗せる。

 慣れた感触。



 俺達は別れたはずだった。



 俺がアメリカに行く理由は仕事の関係だった。

 四年付き合った彼女。

 結婚まで考えていた。

 でも、俺が一緒に行くか?と尋ねたら彼女は首を振った。

 だから、俺は別れようと言った。

 俺はただ子供のように意地を張っていたのだ。

 ただ、一緒に行くと言って欲しかっただけだったのだろう。

 今思うとバカバカしい。





 アメリカに住んで6年がたっていた。

 もうアメリカには慣れたころだった。

 アメリカ人の女性とお付き合いをしていた。

 だが、前みたいに満たされる気持ちがなかった。

 そして、そのアメリカ人と別れた。

 そんなときだった。

 携帯を見て驚いた。

 見るはずもない彼女の名前があったからだ。

 メールをあけた。


「もう私のこと忘れちゃった?」


 その一言だけだった。

 それが何故か笑えた、そして、泣けた。

 彼女らしいメールで。

 そしてやっぱり君がいい。

 そう確信した。





 騒がしい空港の中で抱きしめた。

 久しぶりで涙があふれ出てきた。

 男なのに情けなくてごめんと言ったら、彼女は笑いながら俺の涙を拭いてくれた。




 そろそろ君に伝えよう。


「結婚しよう。」


 俺がそう言ったとき。

 彼女は笑顔で頷いてくれた。


 子供でごめん。

 意地張ってごめん。

 いろんな迷惑かけるけど。


 好きだよ。



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