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神獣
最近、学校に通おうと思ってる。
我は普段野生で暮らしている。
野生で暮らすのもいい。というか、そちらの方が断然いい。というか、我はそういう生物なのだ。
しかし冒険者どもに見つかるととても面倒だ。
森一帯にギルドの手が入ったり、懸賞金を懸けられたりもする。
というわけで人里に紛れてみたりするんだが、それでも目立つ。
頭に生えた一対の耳。
琥珀色の双眼。
常人より鋭利に尖った犬歯。
腰に生える尾。
どれも狼のもので、青みがかった黒色。
そう。我はかつて九つあった大国のうち最大にして最強の『黒の国』が神獣、フェンリルの子。
・・・であった。