遺留品
カトリーヌのトラックに揺られ宿屋に戻ると、ドアがあったはずの場所には大穴が空いており、テープで適当に塞がれていた。
「こりゃまた派手にやってくれたねぇ」
トラックから降りたカトリーヌが瓦礫の山を踏みしめながら楽しそうに言った。
「なんで楽しそうなんだよ、ミュラーのやつ修理代くらい出せよ」
カウンター周りはボロボロになっておりいたるところに瓦礫が散っている、流石にレジスタンスの男の死体は回収されていたが、赤く乾いた血痕は残っていた。
「まずは片付けからだな、人呼んでくるから少し片付けててくれ」
そう言って再びトラックでどこかに行くカトリーヌを見送ったエマは、めんどくさいと思いながら各所の瓦礫を一つの場所に集めていた。
2,3時間ほどたまに休憩しながら瓦礫をどかして過ごしてると、カウンターの裏の瓦礫の下にに何か黒光りするものが落ちてた、拾い上げてみるとあのレジスタンスの男が持っていた粗悪な拳銃であった。
「秘密警察の阿呆が回収し忘れたんだな、さてどうしたものか」
銃を眺めながらどうしようか考えていると、外からトラックの走行音が聞こえてくる、エマは少し慌てて銃をスカートの中に隠した。
「待たせたなエマ!友人たちを連れてきたぞ」
カトリーヌは何人かの不良少年少女や売春婦にホームレスなどの12人のお友達を呼んできてくれた。
「留守番ありがとうな、腹減っただろ?とりあえず飯だ」
そう言って道中で買ってきたであろう、共和国の伝統的な長いパンにレタスやベーコンなどの具を挟んだサンドイッチもどきを差し出してくれた。
「おう、じゃあ少し食ってくるわ」
そう言ってパンを受け取ったエマは外の壁に寄りかかって食べ始めた、カトリーヌはお友達に説明をしている。
「なんで隠しちまったかなぁ私、余計面倒くせェじゃねェかよ・・・」
銃を隠したことを心の底から後悔するエマ、しばらく悶々としながらパンを食べている。
「まぁ悩んでも仕方がねェな、片付けの続きするか」
一気にパンを飲み込んで、カトリーヌのもとに向かうと、なぜかすでに程全ての瓦礫が片付いていた。
「エマありがとうな、お前が頑張ってくれたおかげで早く終わったわ」
そう言って豪快に笑うカトリーヌとそのお友達、しかし明らかにエマが数時間で片付けた瓦礫の10倍近い量と、人だけじゃ絶対動かせないような瓦礫もすべてキレイにどかされていた。ついでにカトリーヌは片手で100kgはありそうなボロボロなカウンターを軽々抱えている。
「カトリーヌ・・テメェは本当に化け物なのか?」