取り調べ2
次の日
「実はカトリーヌさんの居場所を知ってるのでは?」
「知らねぇよ」
また次の日
「この男に見覚えあるでしょう?」
「ねぇよ、誰だそいつ」
このまた次の日も・・・
連行されて7日が経ったが1日10時間近い尋問は受けるものの秘密警察の連中は一向に拷問をすることもなければ、食事抜きなどの非人道的なことをしてくる気配もない、何なら病院から連れてこられた分医務室で毎日適切な処理をしてもらっている、しかし他の部屋からは悲鳴や命乞いの声が常に聞こえてくる。
「・・・なぁ、本当に私に容疑かかってんのか?」
7日目の午後の尋問中にエマがミュラーに聞くがその質問にミュラーは答えない。
そして8日目の朝を迎えた。
「出ろ、釈放だ」
格子扉があき、看守が釈放を告げた。
「いきなりなんだよ、今日も尋問だろ?」
そう言ってエマは髪の毛を解かすブラシを置いてムスッとしながら部屋を出て、行き慣れた取調室に向かおうとした。
「カトリーヌさんが見つかりました、詳しくはミュラー少佐に聞いて下さい、いつもの第6取調室におられますよ」
エマは一瞬立ち止まったが、振り返らずにミュラーがいる取調室に向かった。
「カトリーヌさんは長期の狩りに向かっていたため我々秘密警察の捜査網を抜けていたそうです、接触した捜査員7名をいとも簡単にねじ伏せそのままご自身の所有するトラックで昨日の夜中に秘密警察本部まで全員運んできました」
取調室に入った瞬間に真顔で淡々と理由のわからないことを言うミュラー。
「ちょっと待て整理させろ、あのぉ・・あれだ、カウンター裏から出てきた資料データは?」
困惑しながら聞き返すエマ。
「しっかり解析した結果、貴方を襲ったレジスタンス男性の持ち物だったようです、それと貴方と例の男性の会話を聞いていた捜査員がいました、彼のボディカメラの音声からも事実を確認しました」
「一応合点がいった、とはいえそれで私は無罪放免なんだな?」
頭を抱えながらミュラーに聞くエマ。
「えぇ祖のとおりです、表でカトリーヌさんが待ってます、ご協力ありがとうございました」
そう言って退室を促すミュラー、相変わらず無機質冷淡な顔は全く変わらない。
「じゃあなミュラー、もう二度と会いたくないね」
そう言って退出するエマ。
「はい、二度と会うことがないことを願います」
扉が閉まりきる前にミュラーがそういったように聞こえた、外に出ると正面の駐車場にカトリーヌのトラックが待っていた。
「おうエマ、大変だったな」
助手席に乗ったエマにジュースをあげながらガハハと笑って運転を始めた。
「飯は不味くなかったし寝床は常にあるから比較的楽だったぞ?」
エマはそう言って笑い返した。