客引き
「改めてすまなかった、俺はヨハン・グッケンハイム、階級は大尉だ」
軍帽を外しながら自己紹介をする将校。
「なァに問題ない、それよりアイツの金玉破裂してないか心配してやれ」
少し強がって見せるエマ、ヨハンは少し引きつった笑顔をしながらこっそり股間あたりを軍帽で隠す。
「ところでヨハンさんよ、私を買わないかい?今日の飯にも寝床にも困ってんだわ」
そう言ってあざとく片目をつぶりながら、ヨハンに少し近づくエマ。
「何だ困ってんのか、いくら欲しい?」
「よっしゃ、交渉成立!」
飯の種を確保したエマは嬉しそうになぜか困惑するヨハンの手を引いて、普段客の相手をするのに使っている安宿に向かった、宿につくと受付のやたら筋肉質な中年女性がカウンター・テーブルに肘をついてタバコを吸っていた。
「おうエマ、今日の客か?」
タバコの先を指で潰して消しながら中年女性が話しかけてくる。
「そうだカトリーヌ、いつもの部屋空いてる?」
「空いてるさ、良さげな客じゃねェかよ、しっかり搾り取るんだよ?」
そう言ってカトリーヌは豪快に笑いながらエマに鍵を渡した。
二人が部屋に入ると中には宿の外観の割には綺麗で、立派なダブルベッドや冷蔵庫、テレビなどがあり、何故か部屋の隅に重々しいダンベルがおいてある。
「いい部屋じゃないか、何も俺まで泊まろうとは思ってなかったんだが・・」
困惑を続けるヨハンに対してエマは。
「まさか路上でやるのがお好みなのかい?さっきの兵士には卑劣だとか言ってたのに?」
と笑いながら服を脱ぎ、健康的な身体を露にした。
「取り敢えず今日はここで我慢しなよ、金だしてくれんなら今度そんなプレイも考えてやるから」
そう言ってヨハンの方を見るが。
「腹は減ってないのか?夜ご飯を食べてないんだろ?」
ヨハンはそう言って内線で何かを注文していた。
「・・・はい?」
今度は素っ裸のエマががっつり困惑する。
「さっき”今日の飯にも寝床にも”って言っていただろ?頼んだから好きに食べると良い」
内線の受話器をおいたヨハンがエマをまっすぐ見ながら、何ひとつの不純もないめでまっすぐにエマを見ながら言った。
エマが更に困惑して次に何を言おうか考えていると、バーンと勢いよくドアが空き大量の料理を持ったカトリーヌが入ってきた。
「ホォラお待ち!カトリーヌ様特性料理コースだ!」
そう言ってオードブルからデセールまでの大量の皿をいっぺんに持ってきた、恐ろしく早い調理時間だった。
「・・・コースとは?」
ヨハンがカトリーヌに疑問をぶつけるが。
「順番に作ってんだからコースだ、どうぞごゆっくりな!」
そう言って豪快に高笑いをしながら部屋を出ていった。
「・・まぁ食べな、俺が払うから遠慮するな」
そう言ってヨハンは席を指差した。
「あぁ・・おう・・」
理由もわからず座り、眼の前に並ぶ豪華で高タンパク質な料理を見ながら落ち着きを取り戻そうとした。
(落ち着け私、多分腹いっぱい食べて元気な状態でヤりたいんだろうな、ヨハンなりの気遣いなんだろうな)
そう思い込むことでエマはようやく状況を飲み込み料理を食べ始めた、ヨハンはその間エマの前に座り、たまに「うまいか?」とか「よく食べろよ?」とかエマに聞きつつ軍用の端末で連絡の確認などをしていた。
3〜40分ほど立った頃、早い上予想以上に美味しい料理を食べきったエマ、ワインもの嗜みほろ酔い状態だった。
「ん〜で、ヨハンさんよォいつベッドに入るんだい?」
しかしヨハンは軍の連絡が入ったのか端末を弄りながら。
「すまない、3分で終わるからベッドで待っててくれないか?」
と言ってきた、エマはやっとこさ始まると思いベッドに入って待つことにしたが、満腹だったエマは気づいたら眠りこけてしまった。