とある1人の勇者の伝説
只の思いつきです。
ようやくだ。
この地方を支配していた魔王の手先を打ち倒した。
やっとこの地方に平和が訪れると安心した途端、最後の捨て台詞でとんでもないことを言いやがった。
『くっ。俺を倒すとは流石だ。しかしだ、俺は四天王の中で最弱の存在。俺が倒れたとなれば、残りの四天王がお前を捨て置かないだろう。覚悟することだな』
やがて時は経ち、四天王は全て倒しついに魔王との決戦に至っている。
その魔王ももはや虫の息だ。
聖剣を振り上げたその時にそれを起こった。
『ふっ。我輩を打ち倒すとは見事なり。されど我輩は四魔王の中の1人に過ぎない。これで終わったと思わぬことよ』
世界を駆け回り、四魔王も討伐した。
残すは四魔王の主、大魔王を残すのみだ。
力はこちらが上回り、これでついに世界に平和が訪れる。
そう思っていた矢先にそれは起こった。
『なんだと。我が倒れるというのか。四大魔王の中の雑魚と呼ばれ続け、努力の末ここまで力を蓄えたと言うのに。なんとも口押しや』
裏世界まで足を運び、四大魔王も既にこの世にいない。
その魔王達を統括していたのが魔王神という存在だ。
数多の傷を負いながら、考えることは一つだけだ。
最後の捨て台詞を吐かせてはいけない。
常識的に考えればそれで何が変わる訳でもないが、どうしても考えてしまう。
もう、自分の成長は限界に達している。
これ以上の敵がいたとしても対応できる気がしない。
そして、渾身の力を込め魔王神の首を斬り飛ばした。
だが、どうやら失敗したらしい。
魔王神は首だけになりながら言葉を発した。
『大魔王神様。ここで朽ち逝く儂を許してくだされ――――』
そして、限界を突破し、裏宇宙まで到達して大魔王神を追い詰めたが、どうやらここまでのようだ。
大魔王神の上に君臨する存在が居るのかは判らないが、そもそも自分の力ではこいつに打ち勝つことができそうにない。
地面に方膝を突き、その場に項垂れる。
『勇者よ。よくぞここまで奮闘したものだな。余をここまで苦しめたのはお主が初めてだぞ。だが、これで終わりか? まだ何か出来ることがあるのではないか?』
1つだけある。
身体は全く動かないが、動く部位が残っている。
そこに全神経を集中する。
例えここで自分が倒れたとしても、人類全体が敗北したわけではない。
それを知らしめるために最後の力で口を開く。
「自分は所詮、四極白嶺弁天勇者の1人に過ぎない。いつか他の仲間がお前を倒すだろう!」
そして不毛な戦いは続く。