ロボットSMILE
ロボット☆PLEA$E☆$MILE〜晴れ渡る空のようなルーシー〜
ロボットは、涙を流すふりをしていた。桑田佳祐を聴いてる。感動はしてる。
だが、ロボットなので、涙を流す機能が搭載されとらん。
ガソリンがもれることはたまにあるにせよ。
ルーシーが会社を辞めて、ニューヨークに行く。ダンサーになるのだ。
ロボットは寂しい。そして、羨ましい。ロボットはルーシーが好きだったし、ロボットも会社を辞めたかった。ほんとは、NASAで働きたい。
だが、どうにもならん。
でも、進まねばならん。
だから、桑田佳祐に感動したんだろう。
ロボットは、喫茶店でガソリンを頼んだ。ガソリンスタンドの敷地内にある喫茶店である。
店長が良いひとで、店内で飲ませてくれるのだ。おねえさんが持ってきてくれた。
「ロボットくん。ガソリンお待ちどう様」
「ガーガーガー」
ホントは、カプチーノとか飲みたいのだが、内蔵コンピュータがぶっ壊れる。
ロボットは送別会を思い出す。
「ロボットさん、ごめんね」
「ガ。ガガガ」
「ほんとにほんとにごめんね」
怒りたかったが、その機能も搭載されてない。
「ガガガガガ」
頭から煙が出る。
「ロボットさん。あたしが一流のダンサーになったら、観に来てね。ひっくひっく」
ロボットは、テーブルをひっくり返したかったが、ぐっとこらえた。ルーシーが困る。
ロボットは、我に返った。喫茶店だ。ガソリンを飲みながら、ノートにせっせと、ミュージカルのセリフを書き込む。いつの日にか、ミュージカルを作りたい。NASAで資金を作って。もちろん、主演はルーシーだ。
心折れないで。晴れ渡る空のように。
笑ってロボット。
とはいえ、笑う機能も搭載されとらん。今の科学技術では。
でも、あきらめない。いつの日にか。
「ガガガ」
おめでとうルーシー。立派なダンサーになって。と、ロボットはつぶやいてるのかな?
晴れ渡る空のようなルーシー。
終。