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  作者: 野奈目 七詩
序章 一つの旅の出発点
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アルトスの過去・4

 アルトスのステータス発表から一年が過ぎた頃だった。クルドやカース達といったルメストロ家内の権力者がある計画を立て始めた。


 その計画とは「アルトスの処理」、つまり一族にとって出来損ない、周りからの家の評価を下げる要因となるであろうアルトスの殺害だった。当然、いくらルメストロ家といえども公にそんなことをしては大問題、家が没落する可能性だってある。そのため、アルトスを事故死に見せかけて殺そうという計画だった。


 この計画が立ち始めてからしばらくして、アルトスの耳にもこの話が入った。アルトスは唯一相談できる相手だった、シルフィにすぐに話に行った。


「なあシル、なんか俺さー、殺されそうっぽいんだよねー」

「はぁ!?何よそれ」

「いやさ、なんか家の連中が話してたのを聞いちゃったんだよ。『子供の保護義務が終わる15歳になったら俺を殺す』って」

「俺どうしようかな」

「いや、あんたなんでそんな呑気なのよ…」

「まあいいわ、とりあえず私の親にでも話を聞いてきてあげましょうか?あんたの話だと殺されるまでにはまだ何年かあるんでしょ」

「うん、多分まだまだあると思う。じゃあよろしくねー」

「わかったわ」


 アルトスにとってシルフィの両親と言うのは数少ない信用できる大人だった。さらに、シルフィもまたクルストでは有力な家柄なため、なにか他にも情報が手に入ったりするかもしれない。相談相手にはうってつけなのだ。



○○○



そして翌日


「んで、どうだった?」

「んー、『ルメストロ家ならやりかねない』だって。貴族ってのは周りからの評価やプライドを大事にするから。それにルメストロ家みたいな有力な家柄ならよりそうなんだって」

「やっぱりね、俺もそう思ったもん。うちの家はろくな奴いないし」

「で、あんたはどうするつもりなの?大人しく殺されるわけ?」

「そんなまさか」

「じゃあどうすんのよ」

「俺ね、子供の頃からすっげえやりたかったこと、夢があるんだよ」

「今も子供でしょ」


 アルトスの言葉にそう突っ込むシルフィ。アルトスは気を取り直して続きを話すのだった。



○○○



「とりあえず殺される前、今のところの予定は15歳になったら家出しようと思う」

「それから?家出するのはまあいいとしてそれからどうすんのよ」

「冒険者協会に行って冒険者になる。冒険者の年齢って原則15歳以上だからちょうどいいでしょ」


 冒険者教会は基本的にどこの国にも属さない組織であるため、そこに入れば国からの影響が無くなる。

「まあそうね、確かにこのまま家に居たらまず間違いなく殺されちゃうわけだし」

「でしょ?それに冒険者になれば俺の夢叶うし」

「でも、冒険者になろうとしたら家からの妨害が入るんじゃない?」

「その点は大丈夫、今からならまだ4年ある。それだけかければ抜け穴見つけて、計画立ててってできるでだろうし」

「…上手くいくといいわね」


 その後、アルトスは家の見回りから他国に抜け出すルートまで脱走に使うあらゆることの下調べを毎日のように行うようになった。そしてその調べたことを元に、着々と脱走計画を立てていったのだった。














1回下書きが吹っ飛びました。

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