軍事政権
「結局のところ、これしか道がなかった。そういうことなんだな」
彼は私に寂しそうにそう呟いた。
軍服を着ている私は、銃口を彼に向けている。
「……ええ、これが最善策だと判断しました。大統領閣下、いえ、元大統領閣下。貴方を現時点をもって逮捕します。今後は私の指示に従っていただきますよう、要請いたします」
「いいぞ、やれることだけはしてきたつもりだがな。しかし、軍務大臣、君が私の政治生命を止めるとはな」
彼はよいしょッと言いつつ立ち上がる。
老いが見える彼にこういうことをするのは心苦しく思う。
それでも今から、この国のことを考えて動くためにはこれしか道がなかったと、私は強く思う。