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二話目

門を通り過ぎた後、センバがやたらと自分のアカウントを見てくれとしつこいので、覗いてやると赤ネームだった。

「名前にこう言う赤い色が付いてるのは犯罪者フラグなんだよ。私はそういう扱いになってるから、きっと宿もなかなか見つからないんだろうなあ・・・」

そう悲しげに語っている。但し手配されているなど、余程の前科でなければ大抵は数日~数十日程度経過すれば解除されるものではあるようだ。サフィーリアの名前は普通だったので、こちらは大丈夫だったらしい。なるほどキャラが違えば別人扱いになるということか、とサフィーリアは思った。基本ステータスの上げ方も、オークと違ってレベルがあり、上がると一定量付与されるポイントをステータスに割り当てていく方式らしい。そこについてはレベルの上限が気になるところである。

自分のアカウントを見ていると、突然如何にも受付嬢と言う雰囲気のホログラムが現れ、何でも聞いてくださいねぇ、と言ってきた。国境の門も、登録用端末と門前に展開するシールドに端末からの登録を指示する記載があるだけで、どうやらこの国ではシステムやAI導入による無人化が進んでいるらしい。

なんだか寂しい国だね、とセンバが言った。確かに、荒野や森が広がるような環境で無人だと変に寂れたように感じなくもなかった。彼女は先ず一番近い町村の場所をホログラム嬢に確認する。次に、アカウントについて確認した。前の国の様な、ステータスの上乗せみたいな仕組みは無く、基本ステータスに武器防具等の値が加算されるようだ。勿論スキルやアイテムで一時的なバフデバフは掛かる。魔物はランクに応じ特定の宝石を確率でドロップし、それを換金したり特別なアイテムやスキルと交換できるらしい。

つまり、アカウントに紐づくのは宝石等のアイテム、国内通貨とスキルということになるのか、とサフィーリアは考える。

センバも少しサフィーリアの考えを読んだのか、それとも入国前にあえて選んでいたのか

「ここのアカウントはステータス強化が無いから、私の国みたいに販売は難しいよね。私なんか犯罪者フラグも付いてるし・・・。しばらくは大人しく過ごすのが賢明だと思うな。」

そう言ってきた。サフィーリアは何を言い出しているのかと言いたげな顔をし、「何言ってんだお前」と返した。

「そこそこの金、アイテム、あと職に応じたスキルを取っておけば十分価値のある売り物になるけど。ま、前みたく大っぴらには売らないで、大人しく、販売することにしてやるよ。無人だと人の目気にしなくていい分、楽だな。」

と言って、既に作成したいくつかのアカウントを見せる。センバはげんなりした表情をした。

「ここの宿場町までなら四~五日で着く距離だけど、腕試しがてら魔物倒して行きたいな。お前も流刑民になって何か変わったか確認したいし。」

マップを確認しながらサフィーリアが言うと、変わったも何も・・・、とぶつぶつ言いながらセンバは自身のステータスを確認した。

「レベルがリセットされてるかもしれないかな・・・。冒険者の時より低くなってる。でも基本ステータスはほぼ変化なしで、収得済みスキルも同様だね。ああ、でも、収得可能スキルが変わってる・・・。」

そう言って、ちょっと不服そうではあるが変更された部分をあれこれチェックし始める。サフィーリアも自身のスキルを確認して、センバと連携ができるように少し調整した。


二人は追加作成したアカウントを含めてパーティを編成し、宿場町を目指す。

道々魔物を倒しながら進んでいたが、思ったほどドロップや経験値を期待できる相手はいなかった。金銭面が心許ないので、何十体という数の敵を倒す羽目になり、結局町に着くまでに十日以上かかった。

町が見えてくると、センバは安堵の表情を浮かべ、ベッドで眠れることに歓喜する。

「まさかサフィーリアさんがエモP知らないと思ってなかったからなあ。あんなあくどい事した罰なのかね。でも、こんな頑張ってお金集めなくても、私が出すのに。」

「・・・悪いけど、金でお前に借り作る気はない。それに、宝石もそこそこ集められたし。あと、あくどい事じゃあないから。OSSの商用利用みたいなもんだし、BANされるまで誰もNGなんて言ってなかったろ。」

センバは、少しくらい頼られたかったのに、と頬を膨らます。そして、「あと気になってたんだけど」と付け足して言う。

「サフィーリアさん、その男口調何とかならないかな。確かにずっとオークに化けてたんだからしょうがないとは思うけど、もう大人になろうって歳の女性がそのしゃべり方はどうかと思うんだよね。」

サフィーリアは面倒くさそうな顔をして、「あんたの国ではそうかもしれないけどな、こっちの基準じゃそれ、偏見って言うから。化けてもないし」と言い、俺はそんなネカマ的なことできねえんだよ、と誰に言うでもなく呟いた。


町の入り口は、改札の様になっており、アカウントを確認するとゲートが開くようになっていた。これで町内にどんな人間がいるか把握できるわけか、と思い、自身の持つアカウントを見てみると、全てゲートを通過して町内にいる扱いとなっている。どうやら、どの人物に紐づいているかまでは細かく確認されていないようだ。

「外は魔物の石像が多かったけど、街中は人の石像が多いねえ」

そう言いながらセンバはあちこちにある石像を興味深げに眺めている。どうやら町内の人間からは二人の方が珍しいようで、其処彼処から視線を感じた。

宿屋に到着すると、サフィーリアはセンバを入り口付近で少し待つように言って受付に向かった。宿の受付嬢はにこやかに「いらっしゃいませ、何名様でのご利用でしょうか」と挨拶をしてくる。「二人一部屋、ベッドは別、数日滞在したい」と言うと、かしこまりました、と答えてチラシとカードキーを二枚渡された。センバを手招きして部屋へ向かう際、受付を横目に見ると、先程の受付嬢は二人の方をちらちらと見ながら受話器に向かって何やら話し込んでいた。

部屋に入ると、渡されたカードキーの片方をセンバに渡し、チラシを見た。この国の機械導入に際し、魔法系クラスの者を募集していると記載されている。どうやらこの国では魔法職の冒険者を優先的に国家公務員として採用し、魔法で動く機械の製造から導入・運用まで賄おうとしているらしく、チラシをぼんやり眺めていたら突然ホログラム嬢が出てきて是非にと言わんばかりにそんな感じの説明をしてきた。

「魔法が使えると優遇される国なのかな?ここ。」

ホログラム嬢の説明を一通り聞いたセンバが呟いた。ホログラム嬢は待ってましたと言わんばかりに更に何か説明を始めようとしている。別にこの国で公務員になる気もないので、まあ何かしらあるかもな、とだけ返事をしてチラシを畳んだら、案の定、ホログラム嬢も引っ込んでくれた。

それとは別にセンバに確認しておきたいことがあったので訊こうと口を開きかけたところで、誰かがドアをノックしてくる。

何なんだ一体、と少し苛立ち気味にドアを開けると、老人が先程の宿の受付嬢や数人の男と一緒に立っていた。

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