3-2
ブックマークを頂けると天にも昇る気分になり、
評価を頂けると海よりも深い感謝と敬意を表し、
感想を頂けると初恋のような気持ちに心を馳せ、
レビューを頂けると全宇宙を代表して握手を交わしましょう☆
ご指摘、質問、誤字報告を頂けると転げまわりながら喜びます。
「だから、そのお礼なら、私が受けてやるぞ」
「なんで、お前に渡さなきゃならねぇんだよ。お前がディサルモニア・ムンディだって言うのかよ」
「そうだ」
「だろ? だったら、そう紛らわしいことは……。って、お前がディサルモニア・ムンディなのか?」
「お前に本名を言い忘れていたか? 『クライファート・ディサルモニア・ムンディ』それが俺の名だ。長い名前だが憶えてやってくれ」
「ええええーーーーー!?」
あからさまにワナワナとしている自分がいる。
「だって、だって、あの、あのウコーンの倒し方……」
「ああ、そういえばソングに頼まれて、書いたっけか。何のために書くのかは教えてくれなかったが、『世間知らずの馬鹿が読んでも分かるように』とだけ言われてな」
ソングさん、俺を世間知らずの馬鹿だと思っていたのか。
世間知らずなのは、まあ、この世界に来てまだそんなに経ってないから致し方ないが、馬鹿と思っていたなんて。馬鹿な人に馬鹿にされるって、相当効くな。なんかブローばかり責められているような……。
クライフが去って行くと、ハンマーフォールさんがやってきた。
「どうだ、青年。楽しんでるか?」
「はい! ハンマーフォールさん、何から何までありがとうございました!!」
「ガハハハ!!! お前自身が切り開いたんだ。もっと胸を張っていろ。ヒロト」
「はい!」
「まあ、飲め呑め!!」
ルービーを文字通り頭からぶっかけられた。
「これじゃ、野球の優勝した時のビールかけみたいじゃないですか?」
「ヤキウ? ユウショウ? ビール? なんだそれは?!」
「ああ、そうそう! 東の国である娯楽ですよ。ハハハ……」
「なるほどな。今度行ってみたいもんだ」
そう言って、ハンマーフォールさんは豪快にルービーを飲み干した。
急に食堂が暗くなった。暗くなっても皆落ち着いた様子だ。
「お! 始まったか」
ハンマーフォールさんは、やけに楽しそうだ。何かが始まるのかもしれない。
ヴァンデン・プラスが蝋燭の入ったランプを持って、話し始める。初老の清潔感のあるおっさんが、顔近くに蝋燭を持って行った構図は、不気味でヴァンパイアのようにしか見えなかった。
「本日が最後、売上金額の発表をしていきます」
ああ、そうか。そういえば、今日はまだだったな。
「1位から発表致します。第1位は……」
ハンマーフォールさんが背中を押してきた。押し方が雑で力が強かったので、よろめいてしまった。
ヴァンデン・プラスの近くまで行くと、蝋燭の入ったランプを持たされた。
「1位はヒロト!5億8,000万シルヴィ!!」
「「おおーーー!!」」
え?ええ??
「ちょ、ちょっと待ってくれ。5億8,000万シルヴィだって? それは俺たちチームで狩った全ての金額じゃないか。俺たちはチームで狩ったんだ。均等に分配されるべきだ!!」
「と、言っていますが? ダイナスティさん」
ダイナスティが前に出てきた。それと一緒に食堂内の火が再度灯され、室内が明るくなった。
「俺たちが追い込んだ50羽。ヒロト、お前が自分で倒した3羽とキツネのモンスター。この分は全てお前の手柄だ。いや、そうしてくれて構わない」
「そ、それはいくらなんでも、俺が得して過ぎやしないか?」
「その代わり」
「交換条件があるんだな? その方が俺も助かるよ」
「ああ、交換条件がある。これを見てくれ」
そう言って、ダイナスティは箇条書きで書かれた紙を差し出してきた。
なになに……?
①ヒロトが発見したブラックウコーンの倒し方をギルドメンバー全員に教えること
②キツネのモンスター(新種)の倒した方法を教えてくれること
③①を教えてくれる代償として、ブラックウコーン1体を倒す毎に成果の1割をヒロトに支払う
④②を教えてくれる代償として、今回のブラックウコーン53羽、キツネのモンスター1匹の売上金をギルドメンバー全員(ヒロト以外)は権利を放棄する
⑤ヒロト奪還の支払金はヒロトの報酬から賄うこと
以上の内容が書かれていた。
「これって……?」
「まずブラックウコーンの倒し方を教えて欲しい。俺たちは逃げて坂を下っただけで、細かい所になると分からない所が多いんだ。ヒロト以外に唯一知っているソングさんに倒し方を聞いても、全く見当がつかない」
「だったら、何も代償なんかなくてもおれが……」
ダイナスティが手で制してきたので、俺は口を閉じた。
何かいけないことを喋ったか……?
「ヒロト、お前の気持ちは嬉しい。ただ、お前が良くても俺たちはそれを良いとは思っていない」
ダイナスティの表情を見るからに誰かに言わされているのではなく、彼の意思で話しているのが伝わってくる。
「ギルドでは常に新しい発見を求めている。それはビジネスにもなるし、ギルドの発展にも繋がるからだ。独占的な新しい発見をした者にはそれ相応の評価を与えるべきなんだ。そうやって、独自性の高い発見を評価する文化があれば、皆率先して何かを見つけようとする」
なるほど、発明や新規開拓に対して評価をする考え方……。よく分からないが、そんな感じかな。
「今回のヒロトの発見は俺たちランクC以下のモンスターしか倒したことが無かった奴でもランクAのモンスターを倒せる方法を編み出した画期的な内容だ。しかもブラックウコーンは稼げる。お前に1割を渡したからと言って、俺たちは痛くもなんともない」
確かに、900万シルヴィが手元に残る。ブラックウコーンの倒し方を知らなければ、100万シルヴィを稼ぐことでも困難しているかもしれない。
「ここまでは大丈夫か?」
「ああ。理解したよ。だが、キツネに関してはなぜだ?ダイナスティ」
「ヒロトが倒したモンスターではキツネのモンスターが一番高値で売れた。5,000万シルヴィだった。これはとんでもない額だ。それも通常ランクCでも倒せるか微妙なお前がランクAでもトップクラスのランクSのモンスターを倒したんだ」
あのキツネ。そんなに高かったのか。
「こいつを倒す方法が強さに関係なく倒せるのであれば、またビジネスチャンスは広がるって訳だ。俺たちも慈善事業でヒロトに恩を売る訳じゃねぇ。今回の決定は投資になると踏んだんだ」
投資か。俺としては、3億5,000万シルヴィを払っても、2億3,000万シルヴィが手元に残る。そして、皆がブラックウコーンを倒す度に100万シルヴィが入ってくる。
これ程良い条件はないと思えた。
「なんか、すまない」
皆の表情が曇る。ソングさんが前に出てきた。
「おい、ヒロト。なぜ謝る。お前は悪い事はしていない。まさか金額に文句があるってことか?!」
「あ、いや。そういうことじゃないんだ。俺がいた国では不必要に謝る習慣があって、それで謝ってしまうのかもしれない。駄目だな。謝ってばっかりは。ありがとう。本当にみんなには感謝するよ」
皆がそれぞれ頷いていた。
俺のというより前の世界で慣れてしまった、すぐ謝る習慣はやはり抜くべきだ。
それから順位が全て発表され、また宴会が始まった。
宴会が終わったのは、夜半も過ぎていただろう。
ララーさんが片付け始めたので、俺も手伝っていたら、「今日ぐらいは休んで」と労わってもらえた。
自分の寝床に行き、仰向けに寝転んだ。
他の人は靴を履いたまま寝る人もいるようだが、日本人である俺はやはり、寝る時には靴を脱ぎたい。
靴を脱いだ解放感と宴会の疲労感、そして仕事を成し遂げた大いなる達成感から意識がなくなるのには、それ程時を要さなかった。
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目を閉じた瞼の向こうに眩しさを感じ、目を開けた。
そこには、寝ていたはずのベッドもなく、木で作られた壁、そして机もない。床もあるのかさえ疑わしい。
一面、白に包まれた空間にいた。
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この物語の1話目です。
是非こちらからも見て下さい。
2-1はこちらから!
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次回3-3話、2月14日投稿予定!




