3-1
新章開始!!
ブックマークを頂けると天にも昇る気分になり、
評価を頂けると海よりも深い感謝と敬意を表し、
感想を頂けると初恋のような気持ちに心を馳せ、
レビューを頂けると全宇宙を代表して握手を交わしましょう☆
ご指摘、質問、誤字報告を頂けると転げまわりながら喜びます。
ギルドに戻ると、ララーさんとシルファが出迎えてくれた。
二人はこちらの表情を伺っている。まだ結果を知らないんだろう。
「ヒ、ヒロトくん……。そ、その今日は……」
「……。ええ。ララーさん、これからもよろしくお願いします」
「え? それって、そのつまり……」
「3億5,000万シルヴィ稼いじゃったってことですか?!」
シルファが驚いた様子で会話に被せてきた。
「ああ。みんなの力でな。ララーさん、シルファの協力もあってだよ」
二人が手と手を取り合い、跳ね回っている。
こういうのだよ。こういうの。俺の異世界に足りなかったのは、こういったカワイイ光景だ。
ゾロゾロとギルドのメンバーが食堂に入ってきた。
皆が鼻を上に向けて、食堂内に充満する香りに釣られるように席について行く。
食堂は胃袋を刺激する山椒と胡椒の効いた、甘い脂のいい匂いがしていた。
「ララーさん、今日すごい奮発してない?」
「うん。料理長に言って、奮発してもらったの! 成功してればお祝いだし、駄目だったら、最後の晩餐ですものね!」
言い方! その言い方はないだろうよ。ララーさん、ったく。
ララーさんは次から次へと話しかけられ、その度に表情がコロコロと変わっている。
八方美人でもない。皆から慕われているのがとても伝わってくる。
本当、ララーさんてカワイイ人だな~
ハンマーフォールさんとクライフ、ソングさん、ヴァンデン・プラスとグティが最後に入ってきた。
「もう、準備ができちまってるのか。ララーやるじゃねぇか」
「はい、ありがとうございます!」
「これで、そのデカい乳でも揉ませてくれれば文句ねぇんだがな。ガハハハ」
「ハンマーフォールさん、そういうのはよくないですよ」
「お? なんだ? クライフ。お前ララーの肩持つのか? これだからムッツリスケベは困るぜ」
「誰がムッツリなんだ!」
「まぁまぁいいじゃないか。クライフのムッツリは今に始まったことじゃない。それより、俺はこのギルドの料理を一度食べてみたかったんだ。楽しみだな~」
クライフの厳しい視線がハンマーフォールさんからグティに移った。
グティも平然とクライフをムッツリと認めるような発言をするなんて、アイツ天然かな。
ソングさんがルービーを片手に近付いてきた。
「お~い、みんな今日は俺が仕切らせてもらうぜ」
ソングさんがそう言うと、冷やかしとブーイングが入り混じった歓声が聞こえてきた。皆陽気だ。
「俺とこのヒロトのワガママにみんな付き合ってくれて感謝する。こんだけギルド全体を振り回した張本人からまず挨拶をしてもらおうと思うんだ。どうせお前ら飲み出したら記憶ぶっ飛ぶだろ? だから、記憶のある内にこのギルドのお騒がせルーキーから挨拶と乾杯の音頭をとってもらうぜ」
冷やかしがより一層大きくなった。視線がこちらに集中してくる。
俺はこういう風に皆で飲んで騒いだ経験がここに来るまでほとんどなかった。
大勢の中の1人として飲むならまだしも、皆の前で挨拶なんてのは、本当は絶対嫌だ。
だが、今回は本当に皆の協力で達成できた。この感謝の気持ちを話すのは間違いじゃないだろう。
「お、俺は、こういった挨拶とか乾杯の音頭とかするのが得意じゃない。というより嫌いだ。本当はやりたくないんだ。だけど、だけど、今日はやろうと思う」
全員を見回した。皆ルービーを持ったまま、こちらを見ている。
「俺は、ここに来るまで動物も殺したことがなかった。本当にしょうもない人間だった。だけど、ここでみんなに会えて俺は変わったような気がする……。ありがとう!! 本当に大変な3日だった。思えばあの金髪よ……」
「ウィーーーーー!!!!」
「「「ウィィィィーーーーーーー!!!!!!」」」
ハンマーフォールさんが俺の言葉を遮って乾杯をしてしまった。
「ヒロト、お前長ぇよ。挨拶なんてテキトーでいこうぜ。お前の気持ちぐらいここに全員お見通しよ。俺たちに感謝してもしきれねぇってな! だろ?」
悔しいが、その通りだった。その通りだったから頷いた。
「だったらよ。挨拶なんてのは、お前が感謝の言葉を言った時点でOKだ。後は楽しく記憶ぶっ飛ぶまで飲み明かそうぜ! ガハハハ」
そう言って、ピッチャーよりも大きなグラスに入ったルービーを片手で一気に飲み干した。
次はダイナスティが寄ってきた。
「こんなに話したのは今日が初めてだったが、俺はヒロト。お前の旧知の友のように思えてならんよ。今日は楽しかったよ。ぶっ飛ぶまで飲もうぜ」
そう言って、ダイナスティが肩に手を置いてきた。
ダイナスティにそうされるのがとても嬉しかった。俺も仲間と認めてもらえたと思えた。
次にソングさんとグティがやってきた。ソングさんは俺の挨拶の間に肉を探しに行っていた様子で、ついでにグティも連れてきた。
「おお、若いの喰ってるか? ハハハ」
ソングさんはいつも馬鹿みたいに嬉しそうだが、今日はいつも以上に嬉しそうだ。口を開けて飛び跳ねて笑っている。笑う時に飛び跳ねるのは、本来小学生とかがする行動だ。
精神年齢も子どものままなのかもしれない。ただ、ソングさんのこの馬鹿さが皆を幸せにしていく。俺も彼の馬鹿さ加減に救われた一人だ。
「あ、そうだ。ソングさん。はぐらかされたんですけど、ハンマーフォールさんにわざわざ山のことを話したのって、やっぱり何か意図があったんじゃないですか?」
気になっていた。ソングさんは馬鹿だけど、無駄話をあまり好む人でもない。そんな枯れがハンマーフォールさんに山のことをベラベラと喋ったのだ。
「まあ、ソングはハンマーフォールさんと長いからな」
グティが知ったようにそう言った。
「ヒロト、このギルドのメンバーの中では俺がハンマーフォールさんと付き合いが一番長いんだ」
「そうだったんですか」
「ああ。だからあの人のことで知らねぇことは、たぶんねぇな。だからよ。あの時もああやって山に絞らせて、腹括らせようと思った訳よ」
なるほど。他のメンバーはもしかしたら、もう3億5,000万シルヴィを稼ぐことは諦めていたのかもしれない。それを分かっていたハンマーフォールさんもそっちに流されていた。しかし、諦めなかったソングさんが最後の賭けに出た。
そんな運びなのかもしれない。ソングさんはだいたい馬鹿だけど、時にこういった頭脳プレーをする。
「しかし、ヒロト。君もウコーンを自分で倒していたそうじゃないか。少しの間で強くなったもんだな」
グティが腕を触ってきて、そう言った。特に自分では筋肉が増えたとも思えないが、そう見えてしまうのかもしれない。
ただ、あの時は良いマニュアルを作ってくれた奴がいたから、上手く狩ることができたんだ。
たしか名前は、「ディサルモニア・ムンディ」だったか。
「あの、ソングさん。このギルドに『ディサルモニア・ムンディ』って人はいますか? 俺その人が書いたメモを見て戦ったからウコーンも倒せたんですよ」
ソングさんとグティがお互いの顔を見合わせ、爆笑した。
「そっか、ヒロト。お前ディサルモニア・ムンディが誰か分かっていないのか。もう一度アイツに同じ質問をしてみな。すぐに誰か分かるよ」
そう言って、こちらへ近付いてくるクライフを指差して、二人は離れて行った。
「どうしたんだ? アイツらかなり飲んでるようだったな」
相槌も適当に、先ほどソングさんとグティに聞いた内容をクライフにも聞いてみた。
「俺、その『ディサルモニア・ムンディ』って人にお礼がしたくてよ。クライフお前誰だか知っているか?」
「お礼なら喜んで受けてやるぞ」
「いや、だからお前にお礼がしたいんじゃなくて……。確かにお前にも今日のことについては世話になったと思っているぞ。しかしなディサルモニア・ムンディって人がいなかったら、俺はノーマルのウコーンすら倒すのに手こずっていたことになる」
「だから、そのお礼なら、私が受けてやるぞ」
「なんで、お前に渡さなきゃならねぇんだよ。お前がディサルモニア・ムンディだって言うのかよ」
「そうだ」
「えええーーーー!!!!」
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この物語の1話目です。
是非こちらからも見て下さい。
2-1はこちらから!
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