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2-23

第2章完結!!


ブックマークを頂けると天にも昇る気分になり、

評価を頂けると海よりも深い感謝と敬意を表し、

感想を頂けると初恋のような気持ちに心を馳せ、

レビューを頂けると全宇宙を代表して握手を交わしましょう☆


ご指摘、質問、誤字報告を頂けると転げまわりながら喜びます。

「おいおい良い所を取られちまったようだな」

「護衛の時点で損な役回りですよ」


 そう言って、ソングさんとヴァンデン・プラスも戻ってきた。


「ソングだ!」


 俺が指差してそう言った瞬間、ソングさんがとてつもないスピードで動いて、殴られた。


「なに呼び捨てにしてやがる!! それと指差すな!!」


 ははは。本物だ。今度は偽物じゃないや。

 とりあえず、謝っておいた。簡単に許してくれた。ちょろいもんだ。


 他のメンバーも集まってきている。チームで動いていたメンバーがほとんどのようだ。ただ俺たちみたいに20人以上のチームは少なく、多くても7人程だったようだ。


「ヒロト。戦果はどうだ?」


 ハンマーフォールさんが改めて聞いてきた。


「え? 見えないんですか? ほら、ここに」


 ポカン。

 ダイナスティに殴られた。

 よろめいた俺を惹き寄せるついでに、首に腕を巻き、耳元で話しかけてきた。


「ヒロト。お前はこのチームのリーダーだ。ギルドの長にはお前が代表して、正確に報告しろ。皆の頑張りをお前がしっかりとリーダーとして報告するんだ。ブラックウコーンが53にキツネのモンスターが1。熊のモンスターが1」


 ダイナスティが離れた。


「報告します。ブラックウコーンが53にキツネが1に熊が1! です!!」

「うむ。あれはキツネでも、熊でもないが、報告ご苦労」


 あれ……? 今、ふと思ったが、ブラックウコーンは1羽1,000万シルヴィだったよな。ってことは、これだけで、5億シルヴィはあるじゃないか!!!


「やっと気付いたか。相変わらず鈍い奴だ」


 クライフが笑ってそう言った。


「ハンマーフォールさん。俺、いや、俺たちやったよ!」

「ああ」

「俺たちの稼ぎだけで全額達成だ!!」

「「「おおおーーーー!!!!」」」


 俺たちはやったんだ。あの金髪の生意気な小娘に売られることはもうない!!


■  ■  ■  ■  ■  ■

 

 狩ったモンスターを皆で取りに来てもらう場所まで持って行った。

 皆疲れていても、弱音は吐かずに重いモンスターの死骸を運んでいた。


 そこへアットヴァンスが現れた。あきらかに重傷の者から順に見てもらうことになった。


「お前らという奴は、また無茶しおって。ワシはこれでも昼間仕事を終わらせてから来てやってるんだ」


 アットヴァンスがいつも減らず口を漏らした。

 今までなら彼のこういった言動に顔をしかめていたギルドのメンバーも彼の人柄が分かったのか、笑い飛ばしている。


「はんっ! 笑いごとではないわ!」


 ブツブツと言いながらも、アットヴァンスの手の動きは迅速かつ丁寧だった。


 もう一騎いた。朱色の甲冑で、それが誰なのかは容易に判明した。

 グティだ。グティエレス・フォン・ヒブリア。


「その笑顔で分かるぞ、ヒロト。やったな。このギルドは素晴らしいギルドだな」

「ああ、最高の仲間たちだよ」


 グティは少し話しした後、クライフとハンマーフォールの元に行った。

 元々面識があるようで、何か話し込み始めた。


 全てのモンスターを運び終わった頃、また一騎が近付いてきた。

 俺は見たことのない奴だったがクライフか誰かの知り合いなのかもしれない。


 騎馬が早足で近寄ってくる。


「甲冑にライトブリンガー家の紋が入っているな」


 ダイナスティがそう言った。

 10m程の距離になった所で騎馬が疾駆し始めた。

 あまりに突然の出来事で、皆は辺りを見渡すだけだった。

 

 ヒュッ!


 騎馬が俺とすれ違う瞬間、吹き矢を撃ってきた。

 首に小さな(とげ)のようなものが刺さった。

 視界が暗くなった。

■ ■ ■ ■

 自分が倒れかかっていることに気付いた。

 しかし、気付いたからといって、倒れる自分を引き戻すこともできなかったので、そのまま倒れてしまった。

 一瞬の内に死んでしまった。そして、すぐに生き返ったのだろう。

 なぜ、こんなにすぐ生き返ったのか……?


 ダイナスティを始め、数人が集まってくる。


「ヒロト! ヒロト大丈夫か!!」


 吹き矢を撃った騎手は他のメンバーに羽交い絞めにされていた。


「あの針には、トカゲクワの猛毒を塗っておいた。奴の首に命中したのだ。死なないはずがない!!」

「トカゲクワだと?!」


 ダイナスティが激昂した。吹き矢の騎手に駆け寄り一発殴ったようだ。


「なぜ?! なぜ、そんなことを?!」

「奴は生き返るさ。万が一生き返らなかったら、俺をどうしようと構わない」


 ってか、もう生き返ってるんだけどね……。

 どうするか……。


 吹き矢の騎手がもう一発殴られたようだ。


「あれ? おかしいぞ……!!」


 近くで、誰かの声が聞こえた。

 皆が注目しているのが伝わってくる。


「何がだ?」

「トカゲクワの毒が即効性の毒だ。もし、体内に入ってしまうと、痙攣と口から泡を吹き、体温が冷たくなってくる」

「今のヒロトはどうなんだ?」

「それが全て起きていない……」

 

 え? 痙攣? 揺れていたらいいのか?


「あ! 痙攣し出したぞ」

「そうか? 痙攣って、こんな動きか?」


 泡だ。泡。泡を出そう。


「おい! 今度は口から泡を出し始めたぞ」

「これは泡か? 透明だぞ。本来こういう時の泡は白っぽいはずだが……」


 当店では、色までの指定は致しかねます!!


「だが、一向に身体が冷たくならないな」

「ああ、本当だ。あったけぇままだ」


 変温動物ではない為、そういうの無理!! どうしよう……。


「や、やはり、ヒロトって……」

「え? 何?」

「いや、不死者(アンデッド)だって噂があっただろ」

「まさか?! 不死者(アンデッド)がなぜ? 魔王が現れてしまうじゃないか!!」

「そんなことより、俺たちは何の為にこんなにも頑張ったんだ?」

「生き返ったらヤバいじゃないか!!」


 ヤバい……!! 誤解されたまま色々とバレる……。


「ほらほら、どうした? もうお目覚めなんだろ? 不死者(アンデッド)のお兄さん」


 あの吹き矢の騎手の声だ。なんて腹立たしい良い方をしやがるんだ。


「お前たち、何をしておる!!」


 この声は……。


「仲間が死にかけているのだ。お前たちは見捨てるのか?!」

「え……、だってこいつは不死者(アンデッド)なんだろ?」

「本当にそう思うのか? コイツと共に生活をしてきたお前らがそう言うのかっ!!」


 アットヴァンスの声だ。

 アットヴァンスに怒鳴られ、皆が黙り込んだ。

 

 アットヴァンスが周囲の人を払いのけ、俺の近くまでやってきた。

 俺を仰向けにした。


「まず、毒を抜く。それに呼吸が乱れておる」


 休まず続けていた痙攣に加え、胸をあからさまに上下させ始めた。

 こ、これはきつい……!! アットヴァンスの野郎!!


 アットヴァンスが俺の口の中に粉の薬をぶち込んだ。

 俺は必死に咳き込むのを我慢した。

 アットヴァンスが首に入った針を小さな箸のようなもので挟んで抜き出した。

 さすがに痛かった。


「解毒剤は飲ませた。毒の針も抜いた。後は呼吸だけだ」


 そう言って、アットヴァンスは俺の耳元で「すまぬ」と囁いた。

 

 ――――え?


 鼻をつままれて、顎を上げられた。何か嫌な予感がする。

 保健体育の授業でこんなことをしたような気がする……。


 救急蘇生法人工呼吸!!!!


 アットヴァンスは必死に俺を生き返らせる振りをした。そして……


 胸骨圧迫心臓マッサージ!!!!


 人工呼吸と心臓マッサージ。心臓マッサージは本当にすると、骨を折ることもあるので、振りだ。そのあたりも心得ているようで、上手くバレないようにやっていた。


 アットヴァンスの必死ぶりに皆が次第に応援をし出した。


「「頑張れ!! 頑張れヒロト!!」」

「「戻って来い!! また一緒に暴れようぜ!!」」

「「ヒロト!!!」」


 何度じじいと口を重ねただろう……。

 俺の初めては、異世界でしかも偏屈なじじいに奪われることとなった……。

 なんと恐ろしいことだ。


 アットヴァンスが「もう目を開けて大丈夫だ」そう言ったので、目を開けた。

 あたかも今、目を覚ましたかのように、上半身だけを上げた。


「がはっ!!!」

「「ヒロトーー!!! 良かったーー!!!」」

「「お前を疑ってすまなかった。俺たちが悪かった!!」」

「そんなことより水と拭く物を至急用意してーーー!!!!」


 寄ってくる仲間たちを払いのけて、俺は力の限り叫んで、水と布を要求した。

1-1

https://ncode.syosetu.com/n1211ff/1/"

この物語の1話目です。

是非こちらからも見て下さい。


2-1はこちらから!https://ncode.syosetu.com/n1211ff/12/


次回3-1話、2月12日投稿予定!


新章開始

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