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平日毎日投稿します。

次回投稿は明日、1月23日です。

是非、明日もよろしくお願い致します。


※タイトルを変更しました

(旧1)RPGクリアができない燃え尽き症候群の異世界転生

(旧2)『ライフ1』保証付き!

安心?安全?異世界で、人生初の全クリ目指します!

(新)生き返りチートで世界最強~人生初の全クリはリアル異世界でした~

 ハンマーフォールさんと二人でギルドに戻った。


 クライフもさすがに反省しているようで、落ち込んでいるように見えた。


「クライフ。平和的解決を俺は望んでいるが、お前も考え直したか?」


 ハンマーフォールさんが笑った……のか? 目は全く笑っていなかった。

 事情を説明した。各々の言い分をたっぷり含んで。


「なるほど、お前ら2人の話はよく分かった。まず、ヒロト。お前は不死者(アンデッド)ではない。そうだな」

「はい」

「そしてクライフ。お前はライトブリンガーの小娘から、すでに1億シルヴィの内、その半分を貰っている」

「はい……」

「何に使う?」

「それだけは言えません。ハンマーフォールさんであっても」

「なるほど。お前のことだ。私欲ではないのは分かっている。これ以上は追求せん」

「は、ハンマーフォールさん!」

「ヒロト。こいつは根暗で一見いけ好かない奴だ。ただ、何かをする時、必ずそこに私欲はない。ただ、目的を優先し手段への気配りを無視する傾向がある。今回もそんなところだろ」


 なんだよ……。そんなんで納得なんてできやしない。


「ヒロト。ランクの高い依頼の場合、依頼を貰ってから依頼を完了させるまでに時間がかかることがある。今回もお前をライトブリンガー家に連れて行く所までが1つ目のステップだったようだ」

「おっしゃる通りです」


 やはり、サラの屋敷に行く所からクライフが関わっていやがったってことか。


「そして、ヒロトお前の驚異的な治癒力が確認でき、サラの小娘の屋敷にお前が再び入った時点で残りの全額が入る」

「その通りです」

「こういった依頼の場合、何か不都合があれば、依頼を無かったこと、無効にすることができる。ただ、それには莫大な違約金が発生する。相場では2倍といったところだが。クライフ依頼書を見せてみろ」


 クライフが渋々と依頼書をハンマーフォールさんに渡した。

 一通り目を通したハンマーフォールさんが俺にも「依頼書を見るか」と聞いてきたけれど、俺はそれを断った。

 人を実験動物みたいにして、遊ぶ奴の依頼書なんて、胸糞悪くて見る気もしない。


 もう一度念入りに読み終えたハンマーフォールさんは、クライフに返すことなくその依頼書を懐にしまった。


「違約金は支払い済み額の他、報酬の3倍の額か……」


 それって、初めの受け取り済の5,000シルヴィに加えて報酬の3倍の3億シルヴィで……。

3億5,000万シルヴィ?!


「要は、この依頼を不履行にするには3億5,000万シルヴィを稼ぐ必要があるってことだ」

「「なっ……!!」」

「なんだ?」


 二人ともに言い分はあった。しかし、ハンマーフォールの鋭い眼光に何も言えなくなった。

 3億5,000万シルヴィなんて絶対不可能だ…。


「では、これよりこのギルドは、ヒロト救出の為に3億5,000万シルヴィを全員で稼ぐこととする」

「そ、そんな金額無理だ!」


 クライフが言った。クライフのことは好かんが、今だけは俺も同意だ。短時間でそんな金額が稼げるはずがない。


「クライフ、いつ契約が締結するんだ?」

「ヒロトの話も考慮すると、恐らく3日後には…」

「それまで依頼で稼いだ報酬は、全てヒロトの為にあてる」

「馬鹿げている……」

「クライフ、今なんと言った?」

「ば、馬鹿げていると申し上げました」

「そうか。ならお前はどうする?」

「この不死者(アンデッド)を守るのではなく、この国がどういった状況下にあるかお考え下さい。ライトブリンガー家のご令嬢がまた敵国に(さら)われでもすれば、どうなりましょう!?」

「奪われれば、奪い返せばいい。ヒロトもそうだ。今、俺たちのヒロトが奪われそうになっている。それを見て見ぬフリというのは、俺にはできそうもないな。なあ!みんな!!」


 ハンマーフォールさんがそう言って、初めて気付いた。

 ギルドのメンバー全員が揃っていたのだ。


 メンバーたちが次々に口を開く。


「俺はヒロトの事はあまり知らない。だがよハンマーフォールさん、ソングの兄貴が言うんだよ。ヒロトに何かあったら助けてやってくれって」

「そうだ。ソングの兄貴は自分のミスからヒロトが重傷を負って、自分が教育係から外された。しかしそれでもソングさんは次誰がヒロトの教育係になってもいいようにと、ここにいる全員にお願いして回ってたんだ」

「ハンマーフォールさん。俺たちはソングの兄貴の為にもヒロトを守る。そう決めたんだ!」

「「「「ヒロトを守る!そうだろソングの兄貴!!」」」」


 ソングさん…………。

 俺が死んで……、ソングさんが必死になって俺を運んでくれて…。

 それから俺はソングさんとしっかりと話せていなかった。


 ソングさんが誰かに押された様なかっこうで前に出てきた。


「チッ、なんだよこれ。ハンマーフォールさん、すんません。こいつら馬鹿だからよ……。へへへ」


 ソングさんが俺を見つめてきた。


「ヒロト。俺は先輩失格だ。お前を守れなかった。こんな俺が何を言っても、信憑性の欠片も無ぇのは確かだ。だがよ、お前を助ける為にもう一度俺を信じてくれないか!?」

「あ、兄貴っ!!」


 俺もとうとうソングさんを兄貴と呼んでしまった。

 どこかで冷めた自分が「やれやれ」とため息をついていたが、そんな冷めた自分は頭の片隅に追いやられてしまった。

 グッバイ! 斜に構えた自分。兄貴に付いて行く。俺は兄貴を信じるよ!

 「俺は兄貴に、そしてハンマーフォールさんに付いて行く!!」そう思った。


 

 全員で会議が始まった。クライフが進行を務めた。


「ハンマーフォールさん、それで3.5億シルヴィを稼ぐ妙案は、何か方法はあるんですか?」

「ないっ!」


 みなが目を丸くしている。

 案があったんじゃないのか……?


「俺はごちゃごちゃ考えるのは好かん!そういったことは、得意な奴にやらせることにしよう。なあ、クライフ」


 クライフの肩を叩いて、豪快に笑う。

 あからさまにクライフは嫌そうだ。


「進行しながら、策を考えろと?」

「どちらかを俺がやるよりマシだろ。それかソングにやらせるか?」


 クライフが頭を掻いた。仕切り直そうとしているようだ。

 ハンマーフォールさんは、また豪快に笑いながら椅子の背もたれにもたれ掛かり、脚を組んだ。

 そんなクライフを見て、俺は同情に似た感情を抱いた。

 クライフばかり困らせていても仕方がない。俺の為にみんなが頑張ってくれるんだから、俺が考えないと!


「クライフ。ランクB以上の依頼って報酬はどれぐらいなんだ?」


 俺が問うとクライフは嫌そうな表情をした。しかし、この場の雰囲気を察し、1つ咳をして答えた。


「ああ、だいたい下が5万シルヴィから100万シルヴィぐらいだ」

「やはり1億シルヴィ稼ぐだけでも……」

「大変に決まっているだろヒロト。5,000万シルヴィでも100万シルヴィ級を50回だからな」

「じゃあ、その100万シルヴィの依頼をみんなでやって行けば、なんとかなるんじゃないか?」

「アン……。げふん。ヒロト。お前はまだ数をこなしたことがないから、分からんだろうが、100万シルヴィの依頼は一人ではほぼ不可能だ。パーティを組んで挑むしかない。依頼のレベル的にBランク以上の依頼がこなせる者が2名は必要だ。何があるか分からんからな」

「じゃあ、そのBランク以上の人達を中心にしたら……」

「それは無理だ。ギルドの総勢は124名。ヒロトを含めても125名。Bランク以上はこのギルドでは12名しかいない。その内、4名は長期の仕事を攻略中。残り8名が4組に分かれても1組25回をやって、やっと1億シルヴィだ。この短期期間となると、100万シルヴィ以上案件が25本もないのが現状」

「急げばなんとかならないのか? クライフ」

「Bランク以上の仕事になると命を落としかねない仕事の率がグッと高まる。ただモンスターを倒すというものもあれば、護衛や戦争への傭兵活動など拘束される期間が決まっているものもある」

「そ、そうか……。無理か……」

「別に全くもって不可能とは言っていないぞ。ヒロト」


 ???


 クライフが笑った。意地悪そうに眼を細める。

 腹の立つ顔だ。美形ではあるのに、ここまで人を腹立たせる表情ができるってのは、天賦の才だろう。

 悔しいが、今はコイツから聞きださないことには、何も進まない。


「可能なのか?」

「アン……。いや、ヒロト。『不可能』でなかったら、全てが『可能』になるのか? 不可能というのは見込みが0のことを言うのであって、俺は見込み0ではないと言っているだけだ」

 

 ああ、もう! 鬱陶しい……!!!!

 なんだコイツ!!!


1-1

https://ncode.syosetu.com/n1211ff/1/

この物語の1話目です。

是非こちらからも見て下さい。


2-1はこちらから!

https://ncode.syosetu.com/n1211ff/12/


次回2-11話、1月23日投稿予定!

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