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エピローグ
いかがだったでしょう?
何か響くものがありましたか?
いいえ、無くて結構ですよ。
いつか忘れてしまう夢のようなものですから。
あったのなら幸いです。
けれど、それもまた幻のように消えていくものですから。
ああ、月が細ってきましたね。
空も白んできました。
そろそろ、お開きにいたしましょう。
帰る方向はお分かりですね?
おや?
忘れてしまったと?
少々、長居をさせすぎましたかね。
月明かりのリボンを目印に置いておきました。
迷わずにお戻りください。
目印は常に置いておきましょう。
そちらの世界に疲れたら、たまに遊びにおいでください。
惑い人のために
優しい悪夢を謳いましょう
切ない童話を語りましょう
ぽかりと開いた虚に月の光を注ぎましょう
凝り固まった疑念を月の雫で濯ぎましょう
我等と対なるアナタが望むままに。
さぁ、さぁ時間です。
現の世界にお戻りください。
ああ、振り返ってはいけませんよ。
夢魔に閉じ込められはいけませんからね。
またお会いできる日を楽しみにしております。
では、よい一日を。




