緋色に空は染まり、夜の帳は落ちて 4
「適齢期前なら【こ ろ す】よぉ♪」
ニッコリ。
ミサの笑みで部屋の温度が一気に10度以上下がったのだった…
部屋の隅で小さくなって膝を抱えて体操座りになっているカリナタに、ミサ以外の(モチと寝ているハクは除く)ケンネル、アレフ、ミトラは同情の眼差しを向ける。
「うふふ、カリナタちゃんには次の開発途中の薬剤の実験付き合って貰おうかしら~?」
「あらやだ、毒薬じゃなかった、新薬のテスターって手もあるわねぇ」
とブツブツ呟き、ベットの上に腰を掛けて座って居るミサの膝の横には、何も知らないハクがすやすやと平和そうな寝息を立てている。
先程からミサがハクの前髪を撫でて居るのだが、どうやら実験は成功のようだ。
モチがピスピスと小刻みに鼻を動かし、
「ミサさん大丈夫ですか?ご主人の側に居ても平気ですか?」
と聞いている。
ミサが不穏な言葉を紡いでいても異にも反さぬモチ、勇者か。
強者過ぎる。
モチの意外な状態に羨ましそうにしているカリナタは兎も角、これで大丈夫かな?とアレフは人心地つく。
下準備も出来たし、時間もまだ充分ある。
先日から頼まれていた言付けも今伝えても、もう大丈夫だろう。
「ミサさんにモチ、ハクが起きたら冒険者ギルドから頼まれていた事があるのだけれど…」
「それじゃ、俺達は一旦家帰るわ」
言付けが終わるとアレフとケンネルが帰ると言い出したので、慌ててカリナタも帰ると言おうとするとーー…
「ひっ」
ヘビに睨まれた蛙の再来、ではなく、カリナタはミサにジーと見詰められていた。
「あ、あ、あの?私何かしましたか?」
さっきのハク君の事以外に、とは言わなかったのはわざとである。
言っていたら元々居たたまれないのに、これ以上悪化させるのも得策ではない。
「カリナタは側をよく見た方が良いわ」
「は?」
カリナタが驚いた様にミサの顔を見詰めると、ミサは面倒くさそうにガリガリと後頭部をかき、
「ま、頑張んなさい」
「はぁ」
小首を傾げたカリナタに、アレフは途中まで送ってくと二人共揃って帰っていった。
「ケンネル」
「わかってる、終わったら親父呼べばいいんだろ?」
「ええ、カーターには奢るから愚痴に付き合えって宜しく」
「へいへい」
ケンネルは見送りに来たモチに手を降りつつ、
「ミサもそろそろ身を固めたら?」
「余計なお世話。それこそ天地が引っくり返らない限り無理ね」
「親父なんてどう?喜ぶよ」
「無い」
「即答だなぁ、親父かわいそー」
「あのモフモフはね~…そのうち全身むしり尽くすから止めとく」
「…………お、おう」
想像したのだろう、ケンネルだけでなくモチまで二人仲良く全身の毛がぼふっと膨れていた。
モフモフ好きなら天国が其処にあるが、ミサが呟いた言葉の中身はモフモフ毛並みな者には鬼、まさに悪魔の呟きである。
「大体カーターにはその気は無いわよ。私もね」
「そうか」
「ええ」
そんな二人をキョトンとした顔でモチは見詰め、「?」と言った顔つきをしているが、邪魔しては不味いと思ったのか大人しくしている。
そんなモチを少し離れた所から微笑ましいのか、ニコニコしながら見ているミトラ。
…何とも歯痒い。
ガリガリと再度後頭部を引っ掻き、ミサはケンネルを見送って「青臭いわ~…」と一人ごちる。
上にも一人居るけどね、とついでのように呟く。
「ご主人は青くないですよ?」
モチ、純真無垢は相変わらずである。
「例えよ例え」
キョトンとしたモチの頭をくしゃくしゃとかき混ぜれば、「ピキュッ」と目をつぶる。
くしゃくしゃになった毛並みに即座にミトラが風魔法で緩やかに整え、モチはミトラにお礼を言う。
「ミトラ甘やかし過ぎ」
コツンとミサがミトラの頭を小突くと、モチは咄嗟にミトラの頭を撫でる。ただ無意識だったのか、あれ?と言う顔をしているが。
それに対して撫でられたミトラ、顔が真っ赤である。
「そ、そうかのう」
モゴモゴと赤くして、頬を染めている様はーーー
「は~…ご馳走さま」
独り者にはお腹一杯だわぁ…
おぅふっ(吐血)
久々の更新で書き方忘れた……
「子ウサギ」の方は書き上げるのが早いのですが、此方は物凄く時間が掛かります。今回これだけの文章仕上げるのに約五時間。「子ウサギ」なら軽く3~5話位仕上げてますね…ノリが違うのでしょうか?ウーン?




