表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/49

昼と夜の狭間

体調回復しました!

更新遅れてすいません!

「ぐぅぅっ」



 背後から呻き声を聞き、地面に落ちた。


 …と、思う。

 何故思うなのかと言うと、先程モンスターから受けた怪我は痛むが、ガクンと空中から地面に落ちた時に感じる空気抵抗のようなものが肌に感じたからだ。

 だがしかし、それ以外に何も痛みは来なかった。

 おかしい。

 背中に何かが当たった感じはするが、それ以外は何も異変は無い。

 あるのは背中に感じる違和感のみ。



「ご主人っ!!」


「えっ?」



 先程まで見ていた斧を手にした白ウサギが、かなり慌てた様子で此方に向かってくる。



「ご主人…?」



 まさか?

 ふと、先程から感じる違和感が気になり、痛みで軋む身体を無理矢理起こし、背後を覗く。



「っ!!」



 黒い髪の真っ白い肌の子供が、口から吐血し、自分の下敷きになって手足から出血し、痛々しいまでに血に濡れている。

 痛みに耐えているのか、目は閉じたままだ。

 だが、先程カリナタと呼ばれた少女は思う。


 閉じたままでもその藐は形容し難い程に整い、美しい。

 幼さの残った顔から徐々に成長していく途中の美しさ。

 大輪の華が咲く手前の、花弁が綻びかけた有り得ない程の美貌。

 その顔から一瞬、目が離せなくなる。



「血…」



 この白い肌の子供についている血が怪我をおった自分の血かと思ったが、地面に追突する最に庇った為、怪我をおったのだと気付く。

 もしかしたら庇った時に肋骨を折り、その骨が内蔵に刺さったのかも知れない。

 徐々に顔から血の気が失せて行く黒い髪の子供が、うっすらと目を開ける。

 黒曜石ー…ケイ酸分の多いマグマが急激に冷え、結晶せずに凝固した黒い天然のガラスの瞳が開く。



「ごほっ」



 何か喋るつもりだったのか、口を開けるが出て来るのは血。

 かなり出血している。



「あなた出血して!」


「うし…ろっ」


「えっ」



 ごぼごぼと咳き込みつつ、白い藐の子供はカリナタを地面に押し倒す。



「きゃっ」



 すると、地面スレスレに先程のリンドブルムの成体の後ろ足が弾かれる。

 弾かれた場所には、白い幕のようなうっすらとした光の壁が浮き出る。

 level1の光魔法の光の壁(ライトシールド)だ。



「やっぱlevel1って弱…」



 肩で息をしながら、初めての魔法を放ったハクは後悔した。


 まさか早々に戦闘があるとは思っておらず、ろくにskillの説明を読んで居ない為、咄嗟に文字だけで理解出来た"光の壁(ライトシールド)"を放った。

 確かに文字通り光の壁が出てくるが、防ぐのみで他には出来ない。

【だからちゃんと説明を読むべきだと】等とシステムの文句がブツブツ聞こえて来るか、今はそれ所ではない。

 他に魔法で使えるのは同じく光魔法level1のライトバーン。

 とてもこれで倒せるとは思えない。

 まして、特殊技能等説明を読んでいる場合ではない。


 先程まで使っていた弓は、彼女を庇った時に折れてしまった。


 手には武器は無し。

 魔法も微妙。


 するとピュッと音が鳴り、迫って来ていたリンドブルムの後ろ足にモチが斧を突き立てる。



「これ以上ご主人達に触れさせません!」



 リンドブルムの成体は、後ろ足にモチが突き立てた斧が刺さったまま上空に高く上昇し、大型の長い牙が並んだ嘴を大きくあけ、獰猛な眼差しで睨み付けてくる。



「まずい!」


「ハクちゃんカリナタちゃん逃げて!」


「火炎熱波が来るぞ!」



 悲鳴のような声が一斉に上がり、リンドブルムが大口を開け、その口から灼熱の熱波を伴った火炎がハク達に向け吐き出される。



「【ちぃっ!】」



 目の前が火炎で赤く染まる。


 カリナタは灼熱な熱波に巻かれ、自分は今度こそ死んだと思った。

 どのみち自分の実力ではリンドブルムの成体では敵わない。

 剣聖ディーネが側にいたなら助かっていただろう。

 だが、ディーネから此処までは転移でも出来ない限り駆け付ける事は出来ない。



「【おい女】」


「え?」



 カリナタが聞こえて来た方へ向くと、その上空で奇異なモノが視界に写った。


 火炎が空中で止まっている。

 それどころかリンドブルムが口を開けたまま、時が止まったように停止している。

 周囲を見渡すと戦闘していた人やモンスターまで、全員彫刻のように立ち尽くしたままで止まっているのだ。


 唖然としていると、先程カリナタを庇ってくれた少年が目の前に立っているのに気が付いた。

 カリナタのせいで傷付いた事に怨みでもあるのか?と、言うかのような凶悪な眼差しで射ぬかれる。

 咄嗟にカリナタは全身を震わす。



 何、何なの?



 震えている理由は恐怖ではない。


 違う理由。


 眼差しは底冷えがし、畏怖を覚えるのだが纏う雰囲気が相反する。

 何故か心の底から歓喜が沸き立つ。

 畏怖と歓喜が同時に交わる。



 これは一体なに?



 だが目の前の少年の変わりように我に返る。

 黒い髪が白く白銀の色彩になり、瞳が真っ赤に染まっている。



「【ここで見た事は他言無用だ】」



 いいな?と先程までの雰囲気とは違い、威圧を混めた口調で少年が呟いた瞬間、その少年から真っ白な霧が周囲を覆う様に勢いよく吹き出る。

 霧はまるで二人と一匹を周囲の視線から隠すように噴出し、高い壁を作り上げる。



「きゅ?霧?」


「【モチ、その場を動くなよ】」


「は、はい!」


「【女、返事は?】」


「っ!」



 返事の変わりにカリナタは勢いよくクビを縦にふると、少年は"ニヤリ"と笑い、次いで少年の姿がぶれる。

 やや低めの身長の少年とは違い、大人の妖艶な美女のような艶やかな青年の幻が重なった。

 身体は細身ではあるが、しなやかな肢体に妖しい妖気さえ漂ってくるような雰囲気が人ではない何かだと本能に囁く。


 この何かをカリナタは知らない。

 ただ異様な程の執着心が生まれるのがわかる。

 惹かれるのだ、無意識に、おかしなほど。

 心が狂うほど。



「【ち、二尾か】」



 銀色の髪を靡かせ、二尾と言った青年は腰まである長い銀髪を苛立ちを抑える様にかき揚げ、其処から獣のような真っ白な大きな耳が生える。



「獣人?」


「【あー違う、てか説明面倒くせーからなしで】」



 何ともいい加減な言葉を放ち、少年、いや銀髪の青年は地を蹴って高く飛び上がる。

 飛び上がっても青年の周囲は霧を纏ったままだ。

 そのまま空中に浮遊。



【マクスウェル、無意識に○○が出てます】


「【やっぱマズイ?これねーと二尾だと出力足りねーわ】」


【其処の彼女にかなりの影響がでてます。他は影響はないですが】


「【うわーまじか、でも無理だわ、力出なくなるし】」


【貴方メンドクサイだけでしょ】


「【モチには影響ないからいいじゃん】」


【仕方無いですね、マスターの様態が悪化しつつもありますし、これ以上事態が酷くなる前にさっさと倒してきなさい】


「【へいへい】」


「【んじゃ、後の事はシステムにまっかせたー!】」


【ッ!!】



 何だか一人の筈なのに二人いるような会話が聞こえる。

 カリナタは頭がクラクラし、目眩がしてきた。

 目の前の会話が不可解と言うこともあるが、先程からずっと銀髪の青年の幻から発している気配に当てられ、まともな思考力が保てないのだ。



 狂おしい。

 気がおかしくなる。

 胸が苦しい。

 目眩がするー…



 ドォオンッと、音が耳に届き。


 上空を見上げると、街を覆う程に上空にいたモンスターは全て銀髪の青年により一撃で屠られ、街中にバラバラと死骸が落下していく。

 呆れる程の威力。

 その様を眺め、カリナタの意識は真っ白になった。

プチ説明

今回でハクの中身がある程度予想ついたかと思います。

でも今の段階で"何なのか"は記載しません。

分かりやすいんですがね(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ