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轟音を轟かす者

12/19 加筆修正

 轟音を轟かし、ディーネさんの大砲が上空に向け吼える。


 続いて矢と魔法が上空にいる敵へと向かい、一斉に黒く染めた色を貫き塗り替えて行く。


 敵の黒色から火魔法の赤。


 または水魔法?なのか、白っぽい色へ。


 多種多様な魔法や弓矢等が炸裂するなか、一人、いや二人、いやいや三人程異様な者が戦場を無双する。



 一人目はクーシー。


 見た目は茶色いラブラドールだが、全身無駄な筋肉等無い肉質をもち、両腕に手甲鉤(手の甲に三つの爪形が)をつけ、撃ち落とされて落下したモンスター達に素早い動きで確実にとどめを刺していく。

 よく見ると動きを阻害しないように、着込んでいる鎧は革製で軽装だ。



 二人目は言わずもなが宿屋の女将ディーネさん。


 もうね、この人は化け物の一言でいい。


 自身の事を剣聖と言うだけの腕前は確かなのだろう。


 手にした武器は大砲だけど。


 そのディーネさん、旦那のキアフさんと組んで奇抜な空中戦をしている。


 アレフが勝手口に置いた木箱を支援部隊が魔術師に渡し、魔術師が箱に重量軽量化魔法を施し、それをキアフさんが次々と空中に投げ付ける。


 空中に投げ付けた箱をディーネさんが足場にしたり、はたまた敵が集結している場所に空中で蹴りつけてから大砲を発泡し、箱を爆破させて木っ端微塵に粉砕している。


 しかも合間にキアフさんは弩で空中のリンドブルムの幼生を射ぬいている。


 …この夫婦無双とクーシー無双のお加減で他の兵士達は連携が上手いせいかあまり目立たない。



だがもう一人、誰の目にもわかる程の異才がいる。


 小柄な肢体を包み隠すようにローブを身に纏い、左手には身長よりも長い、先端に水晶の原石だろうか?ゴツゴツとした透明度の高い石英が嵌め込まれたロッドを手にし、右肩には小さな生き物を乗せ、民家の屋根の上で魔法を次々と繰り出している。


 火、水魔法が主なようだが、風魔法だろうか?時々小さな竜巻のような物がモンスター達に突っ込んで行く。


 顔は見れないが、恐らくハクよりも身長は低いか同じくらいだろう。



「相変わらず飛ばすなぁ」



 ハクが見ていたせいか、アレフが片手に弩の弦をひきつつ空中の鳥形モンスターを貫いていく。



「あの人は?」



 ハクが問と、「後でな」と歯切れの悪い返事が返ってくる。


 疑問に思うがとりあえず、今は戦場だ。


 気になるものはなるけどそれどころ出はない。


 和弓に良く似た長弓を装着し、両足を自分の肩幅の幅まで開き、左手に弓、右手に弦を持ち、背筋をピンとそらして右手腕を真っ直ぐ垂直に後ろへ。


 両手を上段から徐々に下ろし、その際耳に弦が反り返った時に当たって怪我しないように注意しつつ……



 何だかしっくりくるな…

 懐かしい感じがする。

 おかしいな、こっちに来てから武器なんて厨房の包丁くらいしか持ったこと無いのに。



 上体を反らし、空中の鳥形モンスターへ。



 ーー逝け。



 手を離し、まあ初めてだしろくに飛ぶ筈など無いだろうと思っていたが…



 ン?

 ンンン?



「「「オオオオッ?!」」」



 戦場にいた者達から一斉に驚きを現す声が上がる。


 あるものは口だけを呆気に開き、あるものは刮目し、あるものはその場で腰を抜かす。


 それはそうだろう。


 この中で一番素性が知れない少年、下手をすると子供にも見える小さな子が放った矢は軌道の土地から急に発光し、周囲にいた鳥形モンスター数匹を巻き込み。


 ドゴォオンッと轟音を立てて空中爆発したからだ。



 ナニコレ?ナニコレ?

 どういうこと???



【答 マスターがスキルを放ったからです】



 いや、何もしてないけど。


 …この話し方はマクスウェルではないな。



【マスターのスキル、天啓と光魔法の複合です】



 そんなこと出来るの!?


 いや、出来たの!?



【ハイ、マスターですから】



 それってどういう意味?



【…】



「ハク」



 アレフがハクを驚いた顔で見詰め、急に声を出して笑い出す。



「やべーわ、両親だけでなくハクまで異常だわ」



 クスクスっと愉快そうに笑いだす。

 それってどー言う意味だよ。



【答 ハイスペックだと言う意味です】



 いやいや、言わなくていいからっ予想つくからっ!



【…】



「こりゃーおちおちしてらんねーなっ!」



 ザンッと音を立て、アレフも次々とモンスターに矢を射ぬいて行く。


 その少し先で「僕も頑張ります!」と、白ウサギこと元ウサキチ、現在の名前が"モチ"は、宿に泊まっていた俺と然程変わらぬ身長の白髭を生やした白髪のドワーフ(ドワーフ男はこれでも若いほうらしい)と共に、落下した鳥形モンスターに斧をぶちこんでいる。



「ほっほっほっ、そーかい、モチって名付けて貰ったか~」


「はい!」


「可愛らしい名前だの~良かったの」


「はい!有難うございますっ」



 と、会話じたいは縁側でお茶でも飲みながら孫と爺さんが会話を楽しんでいるようだが、実際は流血滴る斧を手にし、ほのぼのとした会話とは対照的に、モンスターを次々と斬ったり殴ったりぼこったりと凶悪な現場と化している。


 ちょっと恐い。

 モチってあんなに力強かったっけ?



【答 名付けとlevelアップとレア個体であったせいです】



 そんなに貴重だったのか。



【マスター、アレフも貴重ですよ】



 そうなの?



【彼はこの世界で稀なクラフト技師(マスター)です】

プチ説明

今回作品中にある和弓ですが、私が唯一現代で触れて使用していた武器であります。

勿論"弓道部"と言う肩書きで。

触るだけなら剣道の竹刀もあるのですが、やはり竹刀は振るっていた事が無いのでイマイチわからないんですよね。

しかも触らせて頂いたのは子供用の小さな竹刀。出来たら資料として大人用の竹刀も触れてみたいものです。


さて、和弓のことですが、作品中は"良く似た"と言う感じで出させて頂きました。理由は"使ったことがある武器なら少しはリアルにかけるかな?"と言う為です。作者の趣味ですね(笑)。


尚、弾くさいに弦が耳に当たって怪我を(耳に怪我をしないように付けるのもあるのですが、つけ忘れた時に限って…遠い目…)…。


た、俵相手に射る練習しまくっていた過去は忘れないっ!!

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