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学園に入学したと思ったら初日から教鞭を取る事になってしまった件について



 ミは無事に生徒になれた。

 リュシアもニーナも。


 僕達はこのアオヤマ学園の生徒になった。


 順調な滑り出しだ。


 僕のスローライフは今のところ快調そのものと言っていい。

 血生臭い殺しから離れ、大きな家に住み、商売は順調、学園生活も楽しむ。


 それに可愛い奴隷達が僕を頼っている。

 文句のつけ所が無い生活だ。


 


 だが、あまりに目立ちすぎたせいで、余計な苦労を背負い込むことになった。



 それは……



 「カイエンさんには教授をやって頂きたい」


 「ええええ!?」



 登校初日。

 学園長が僕を呼び出した。

 なんだろうと思って言ってみると、生徒に対して教授プロフェッサーをやれと来たもんだ。


 「いやー良かった! 丁度プロフェッサークラスが足りなくて困っていたのですよ!」


 「いやいやいや、僕、生徒なんですけど?

 先生でも講師でも教授でもありませんけど?」


 「お願いしますよ。なんなら給料もお支払いしますよ」


 「え、お金を頂けるんですか? ……い、いや。よく考えたら教授になるなら教える側じゃないですか、労働者じゃないですか、お金貰って当たり前じゃないですか!?」


 


 「ばれましたか、ハッハッハ!」


 随分とノリが良い学園長である。


 「冗談ですよ、授業料も無料にしましょう」


 「それは助かりますね」


 「カイエンさんに教えていただきたいのは実技です。

 その類まれなる力を生徒達に実演して頂きたいのです」



 「と言いましても、何を教えるかも分かっていないんですよ僕は」


 「いや基礎的な事で良いのです、貴方程の実力者なら何を教えても生徒は何かを掴むことでしょう。これは何も穴埋めのためだけに言っているのではありません。

 カイエンさん、貴方のような超実力者が我が学園に新風を吹き込んでくれると考えているのです!」


 「うーん」


 「なんなら貴方のお連れも全員学費無料にしますよ」


 「分かりました、お任せください学園長」


 僕は学費無料につられてOKした。

 お金は節約できるに越したことはないよね。


 




---



 





 今日は奴隷達と共に学園に登校した。

 初めての学校だ、ワクワクする。



 だが、「今日からさっそく教授として生徒達に講義をお願いしますね」と学園長に告げられ、教授として教室へ向かう事となってしまった。

 一応簡単な説明を受けたので講義する事は出来るが、まさか初日からいきなり教授役とは……




 教室はとても広かった。

 日本の高校というより、海外の大学みたいな形式の部屋作りだ。

 講師の姿が奥の方からでも見られるよう、生徒サイドの床と机は奥に行く程高くなっている。


 丁度、僕は生徒達から見下ろされる形になる。


 ちなみにこの学園は社会人とストレートで上がってきた通常の生徒が混在しているため、服装はバラバラである。


 一応社会人組も学園指定の学生服を着用する事は出来るが、社会人組は私服で投稿している人が多いようだ。


 僕の奴隷達も社会人組という事になってはいるが、せっかくならば学生気分を味わって欲しかった。

 なので、ミ達には学生服を着てもらっている。


 というか、僕が個人的に来て欲しかった。


 学生服を着たミ達はまた一段と可愛い。

 黒っぽいブレザーにネクタイ、それにスカート。


 何かいけない気持ちになってくる。

 というか家に帰ったら多分いけない事をすると思う。



 

 っといかんいかん。

 思わず学生服に見とれてしまっていた。


 ううーん。

 まるで本当に大学の教授になった気分である。

 これは緊張するぞ……




 「えー。今日から皆さんの魔力基礎実技の一部を担当させてもらうカイエンです。

 自分も今日初めて教鞭をとる事になりました、未熟だと思いますが宜しくお願いします」


 目の前には沢山の机と、生徒。

 うぅ、大量のモンスターを相手にするより緊張する。


 ミ達も生徒サイドで机に座っていた。

 


 「流石です! ご主人様。教授何て本当に凄いです!」とは言わないが、ミがそういう顔でこちらを見ているのは分かった。



 僕は沢山の生徒を前に深々と頭を下げ、講義を始める。



 始めようと……した。


 始めようとしたところで生徒の一人が立ち上がり文句を言った。


 「ちょっと待った。あんた本当に教授か?」


 「はい、そうですよ」


 早速生徒がクレームを上げ始めた。

 やれやれ、である。


 

 「こっちは高い授業料を払っているんだ、冒険や仕事で金を貯めてな。

 それなのに講師がガキじゃ納得いかないぜ」


 ふむ、一理ある。

 まぁガキと言っても君達とそれほど変わらないはずだけどね。



 「それにな、そいつはただのギルドの出入り業者だ!」


 また別の生徒が声を上げた。

 あの生徒はなんだか見覚えがある。


 「あ、君は……なんだっけ」


 「っ! レオンだ! シルバークラスのレオン! 冒険者ギルドで会っただろう!」


 「おお、シルバークラスも居るのか」

 「彼に授業をやってもらった方が良いぐらいじゃないか?」


 生徒達が口々に言う。


 「いや、学園が教授と認めた人物だ、きっと凄い人物に違いない!」

 「そうです! カイエン様は最高の教授なんですっ!」


 喧々諤々(けんけんがくがく)。

 生徒達が口々に言い合う。

 教室は議論の場となってしまった。


 講義の時間は刻一刻と過ぎていく。

 まずいな、教室をまとめないと。





 「先生、学校が教授を決めた貴方を疑うようで申し訳ありませんが皆貴方の適正に疑問を持っています。

 カイエン先生、貴方が教授に相応しい人物かどうか知りたいんです」


 生徒の一人が立ち上がり、そう言った。




 「まあ言う事は最もだね」


 「早く判断出来る方法があるぞ、この僕と勝負するんだ」


 シルバークラスのレオン君が前に出てきて剣を僕に差し向ける。

 教室に剣を持ってきて抜くなんて異世界ならではだなぁ。



 

 「そうだな。あんたは皆に教えようって言うんだ。

 実績のある冒険者に勝てないまでも、善戦ぐらいはしてもらわないと困る」



 途端に、そーだそーだ、実力を見せろ。

 等とヤジが入る。

 


 うーん。

 また不本意に目立ってしまいそうだ。

 だが仕方ない、彼らの言う事にも一理ある。

 やるしかない。


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