128、五十メートルチャレンジ
空間を走る雷光――。
矢のように飛んでくる氷柱――。
辺りをかき乱しながら突き進む竜巻――。
――それらのなんとまぁ、遅いことか。
「どうだ! 対象を捉えられたか!」
「む、無理ですよ! 姿形さえわからない相手を捉えたかどうかなんて!? 確認のしようがありません!」
――魔王城第三外郭防衛部隊。
魔王城を取り囲む三つの防衛ラインの一番内側に位置する魔王城の守りの要ともいうべき部隊である。そこに使い魔より入電が入ったのが凡そ三十分ほど前のこと。
その内容は短く簡潔であり、そして何よりわかりやすかった。即ち――。
『我、襲撃受ケリ――』
第一防衛部隊からの襲撃者有りの連絡であったのだ。
その連絡からは詳細こそわからなかったものの、逆にその情報の少なさから第三部隊は『いつものことか』とそう理解する。
ここ一ヶ月程、天界と交戦中である魔界は度々天界の攻勢に晒されることがあった。
いや、攻勢と呼べるかどうかも怪しい『特攻』と呼んだ方が正しい行動か。
天界の使徒である『英雄』たちは全能神デウスの加護がある限り、『死に戻り』が許されている。
なので、その生命を投げ捨てるかのように、度々魔王城に向けて無駄な特攻を繰り返してくるのだ。
神の使徒――英雄と言っても元は人間だ。
確かに強いが、数も質も高い魔族の精鋭たちと闘りあって蹂躙できるほどには強くはない。だから、彼らは特攻を仕掛けては毎度のように『死に戻り』をして、天界が治める領地へと戻っていくのである。
要するに、天界側はこうしてちまちまと魔族たちの現有戦力を削ろうとセコく、狡っ辛い嫌がらせを行っているのである。
だから、魔王城第三外郭防衛部隊の彼らは、今回もそういうものだといち早く理解してしまう。どうせ、天界の嫌がらせだろうと――。その内、鎮圧したという報がくるものだろうと、そう予測を立ててしまう。
それから十分の時間が経過しようとしていた。
それだけの時間があれば、英雄たちは黙らせられる。というか、彼らも『死に戻り』ばかりしているので、あまりやる気がないのが現状のようだ。散発的に小競り合いをして、英雄たちはあっさりと殺されて戻っていく。それが、英雄たちの普段のルーチンワークである。
だが、その予想は呆気なく裏切られ、連絡は十分が経とうとも飛んでくることはなかった。
(何事か起きている?)
第三部隊の面々が訝しむ間にも、第二部隊からの連絡が入る。
『我、襲撃受ケリ。敵影確認出来ズ――』
「――何だそれはッ!」
そう怒鳴ったのは、魔王城第三外郭防衛部隊の部隊長である。
襲撃を受けているのはまだわかる。だが、何に襲撃を受けているのかわからないというのはどういうことなのか。それでは、まるで襲撃を受けているかどうかも定かではないように聞こえるではないか。
憤懣やるかたないといった調子で鼻を鳴らす部隊長だが、これが異常事態であることは間違いないと考え、いち早く警戒態勢を呼び掛ける。特に、第一部隊が敵と接触をしてから、第二部隊に到達するまで十分程度しか掛かっていない。
第一部隊から第二部隊までは道程的にも結構な距離があるし、いくら団体行動に優れた集団だとしても十分程度で辿り着くとはとても思えない。何かしらの異常が起きていることは明白だ。
(まさか、前の鬼の件のようなものではあるまいな……)
此処とはまた場所が違う防衛線の話だが、冥界と魔界との境界線を乗り越え、鬼が喧嘩目的で暴れた事件がある。その時は、魔界四天王のベリアル・ブラッドが出ることで騒ぎは収まったらしいのだが、冥界との境界線を守るスネア軍の評判は著しく落ちたものであった。
第三部隊の部隊長はそれを夢想し、僅かに顔を顰める。
(天界側がそれと同じことをしてきたというのなら、我々では厳しいかもしれん)
魔王城第三外郭防衛部隊は、魔界四天王の一人であるアーカム・オールストンが率いていた。
彼が率いる軍勢は、破天荒な気質の魔界にありながらアーカムに似たのか、単独行を極力排除し、機械的な部隊運用を是とする雰囲気があった。
特に集団戦闘を得意とし、突出した英雄よりも運用しやすい兵士を育成することを目的としている節が多々見受けられる。
その結果、他の魔界四天王の兵たちに比べると、個々の能力では少しばかり非力だが集団戦には滅法強いという特徴を持っていた。特に施設の防衛などには非常に強く、『鉄壁』の名が冠せられるほどである。
だが、その防衛部隊の第一外郭、第二外郭は既に突破されている。
第三外郭部隊の部隊長は嫌な予感に渋面を作り出しながらも、部隊配置が整うのを待つ。
「――隊長! 来ました! 何かが砂塵と共に突っ込んできます!」
その報を受けたのは、部隊配置がほぼ整ったのと同時か。
嫌がらせのように知りたい情報が届けられなかった為、部隊長は思わず叫び返す。
「正確に報告しろ! 何が来た!」
「それは――」
部下の報告を聞くよりも早く、敷いた防衛戦から攻撃魔術が次々と放たれる。
「ばっ、馬鹿者! 何を勝手に動いている!?」
隊長はまるで悪い夢を見ているかのように顔を青くさせる。
集団戦闘を得意とするアーカム旗下の部隊。それが、命令もなしに勝手に攻撃を始めるなど、愚策も愚策。本来なら軍法会議ものだ。
だが、それが仕方のないことであったことを隊長は知る。
彼が叱ろうと声を張り上げるよりも早く――。
突き進む雷の魔法や、氷柱の魔法や、竜巻の魔法が敵の姿を捉えるよりも早く――。
――十の兵士が血風を上げる方が早かったからだ。
(既に接敵している!?)
指揮も、策も、ろくに準備が出来ていない状態で侵入者は接敵した。
そして、接敵した瞬間から味方が次々と倒れていく。あるものは体の部位を斬り飛ばされ、あるものはその場で失神し、またあるものは体の各所に風穴を開けられて倒れる。殺し方は様々。だが、ひとつ共通して言えることもある。それは、相手の姿が鮮明に捉えきれないということである。
――何かが居る。
それを感じた瞬間に気配が消え、次の場所に気配が現れる。
まるで畑の至る所に坑道を持つ土竜のようだ。
だが、相手は別段土の中に潜っているわけではない。ただ気配の移り変わりの速度が早過ぎるというだけなのだ。その『単純だからこそ、手がつけられない』状態に部隊長が頭を抱えている中――。
彼の意識は強烈な脱力感と共に闇の中へと落ちていくのであった。
●
その男が魔王城のお膝元である城下町に立っていたのは、いつからであろうか。
「意外とまともな町並みだ」
黒髪黒目に白の学生服。
純血種の魔族に見られがちな美男の要素は全く見当たらず、混血種である魔族の特徴である異形の要素もない。あえて言うならば、顔面偏差値だけは凶悪な魔族に勝るとも劣らないレベルではあったのだが……、――それだけだ。
まるで普通の人間のようにしか見えない少年の存在に、道を行く魔族は不可思議そうな表情を浮かべたりもするが、そこまで気にすることもなく通り過ぎていく。
それもそのはず。この魔王城の城下町は三重の防衛網に守られており、それこそ招かれざる侵入者が入り込む余地などあり得ないからだ。それを信じ切っているからこそ、少年に興味を向けるものは少ない。
だが、彼らは知らない。
その自慢の防衛線が一時間も経たずに突破されたという事実を――。
そして、その防衛を任されていたアーカム旗下の精鋭部隊の半数が戦闘不能となって転がっている事態が起こっていることを――。
彼らは知らない。
「魔族の町だなんていうから、どんなもんだと思っていたが、壁やなんかが暗い雰囲気ってだけで割りと普通じゃねーか」
少年――有馬浩助が魔王城の城下町に辿り着いて思った感想を口に出す。
確かに、浩助の言う通り、壁や柱に使われている建材がやたらと黒を基調にしているが普通に店や民家、それに宿などが軒を連ねている姿は湖畔の町とそれほどの違いを有しているわけではなさそうだ。
《どうするの? これも壊すの?》
「何、怖いこと言っちゃってるんですかね? 水原さん?」
《破壊の化身が何を今更》
「誰が破壊の化身だ、誰が」
《鏡渡そうか?》
沙也加の辛辣な言葉に、浩助は目を剥いて答える。
「何で俺なんだよ! 大体、テメェの可愛い弟子の育った町だぞ! 思い出ごとぶっ壊す馬鹿がいるかよ!」
《…………。……ししょーならやりかねない》
「何で弟子にまで信じられてないんですかねぇ!?」
信用の失墜は由々しき事態だ。その原因を黙考するアンはボソリと念話を届ける。
《…………。……日頃の行い?》
「だったら、信じられるのがフツーだろ!?」
《《…………》》
「二人共なんとか言ってくれませんかねぇ!?」
腰に佩いた二本の刀に文句を付けながら、浩助は城下町の大通りを大手を振って歩く。
その堂々とした態度に物珍しさも相まって魔族の視線を集め始めていることに彼はまだ気付いていないようだ。そして、目敏い魔族は普段は見ない人間という種に対し、多大な興味と関心を抱く。
簡単にいえば、キーを挿しっぱなしの高級車が路上に乗り捨てられているようなものだ。
それに対して、どんな感情を抱くかは個々によるだろうが、少なくともそれを見て臆する魔族は少ないと補足しておこう。
魔族の一人、二メートルはあろうかという一つ目の巨漢が浩助の道を塞ぐ。
『お、おめえ、に、ニンゲンだな? ひ、ひひっ、コイツは良い拾い物を――』
「――邪魔」
浩助の拳が天空に向けて突き出されるのと同時に、巨漢は宙を舞っていた。
上空五十メートルを飛んだ巨漢はそのまま地面に叩き付けられて短い呻き声を上げて蹲ってしまう。
《ほら、破壊神じゃない》
「違う! 俺は破壊神じゃない!」
浩助の叫びを知ってか知らずか、浩助の周囲が途端に騒々しくなっていく。そうなってくるとそれをチャンスと思って近付いてくる魔族もいるようだ。
『オウオウ、ニンゲンおるんかい! 何、魔界に勝手にやってきとんねん! 場合によってはいてまうぞ!? アァ!?』
その騒ぎをいち早く聞きつけたチンピラのような魔族は、浩助に絡もうとして――。
――同じく、上空五十メートルを舞って落ちた。
『オウ、ゴラァ! 儂らのシマで何しとんじゃあ! ガタガタ言わんと、ちょい路地裏まで面ァ貸せや!』
そして出て来る全身傷だらけのとても堅気には見えない格好の魔族。
彼は浩助の歩みを止めようと、浩助の肩を荒々しく掴んだ所で――。
――上空五十メートルを舞って落ちた。
『うわー! アオノーラ組の若衆がいきなり宙を舞ったぞ!』
『ニンゲン? ニンゲンって言ってたか!?』
『……ちょっと、何の騒ぎです? 騒々しいですよ?』
あっという間に混乱を来たし始める大通りの中、背の高い一人の美丈夫が現れる。その男の出現に周囲はわっと盛り上がる。どうやら有名人らしい。
『おぉ! スネア様配下の若手実力ナンバーワンの呼び声も高い、エンダリオン様だ!』
『キャー! エンダリオン様素敵ー! こっち向いて~!』
『エンダリオン様、何か妙なニンゲンが町中にいるんでさぁ!』
『妙なニンゲン……?』
端正な顔立ちを不思議そうに歪めながら、エンダリオンは浩助に視線を移す。
だが、浩助はその視線に気付いているのかいないのか、城下町の中心に聳え立つ巨大な城を目にして、「おぉー」と感嘆の声を上げていた。完全に我関せずの様相である。
それを目にして、エンダリオンは何となく状況を理解し、浩助の目の前に立ち塞がる。
『ちょっとキミ、流石に天下の往来で暴れるのはよして――』
――次の瞬間には、エンダリオンも上空五十メートルを舞って落ちた。
「高層ビルより、デカイんじゃねぇ? すげぇなぁ」
《いや、有馬。もう少し周囲に興味を持ったらどうなの……》
「城に興味津々だが?」
《そこじゃなくて!》
『コラァ! 何を騒いどるかぁ!』
スネア軍の若手希望株が瞬殺されたことに、周囲がざわめきを以って対応していたところに、雷鳴の如き声が轟く。どうやら、魔王城の城下町をパトロールする警邏らしい。アーカム軍に所属する彼らは周りを威圧するような厳つい体格と顔をしており、犯罪行為が絶えない魔族領においても絶大な抑止力として働いている程だ。
そんな彼らが、騒ぎの元凶たる浩助に気づき、彼を取り囲――。
――もうとして、上空五十メートルを舞って落ちた。
『うわぁぁぁ! 警邏すら殴り飛ばしたぞぉぉぉ!』
『何だコイツ! ちょっと普通のニンゲンじゃねぇー!』
「普通の人間だッ! 失礼なッ!」
周囲に叫び返しながら、浩助は尚も進む。
その後も自称真の悪魔だの、腕自慢の喧嘩屋だの、フリーランスの傭兵集団だの、特ダネを求めてきた記者だの、犯罪者を狩る賞金稼ぎの集団だの、堅気じゃない若頭とその一行だの、邪教の高位神官とその使い魔だの、腹を空かせた巨人族の群れだの、一攫千金を狙ったスラムの鉄砲玉たちだの、素行不良でアーカム軍を追い出された腕利きの乱暴者だの、がめつい奴隷商と戦闘奴隷だの、城下町一の拳闘屋だの、力自慢の狂戦士だの、武器を持った亜人種たちだの、乗り手を失くした暴走馬車の集団だの、ゴーレム集団をけしかけてきた錬金術師だのが現れたが――。
――全部、上空を五十メートルを舞って落ちていた。
『す、すげぇ! 何だこのニンゲン! 今ので二百人抜きだぜ!』
『はーい、挑戦者~、挑戦者はいないかね~? 挑戦料は千リルクだよ! あのニンゲンに勝てれば、総取りだよ~!』
浩助のパフォーマンスのせいで、いつの間にか賭けまで始まる始末である。
「俺の取り分は無しで勝手に仕切るのかよ!? 流石、魔族だわ。侮れん……」
《それ、感心するところおかしくない?》
やがて、浩助たちは若干道幅が広い十字路に差し掛かる。
今まで浩助たちが進んできた目抜き通りと交差するように立派な通りが開け、その先には下が見通せぬほどの断崖絶壁に掛けられた巨大な橋がある。そして、その橋の先に笑ってしまうほど大きな門扉が見えており、それが魔王城の入り口となっていた。
浩助の移動に伴って物見遊山で進んでいた周囲の魔族たち――いわゆる野次馬――がごくりと生唾を飲み込む。
『お、おい……。まさか、これは……』
『あぁ、まさか……』
ようやく自分たちの城が攻められるのだと気付いたか――。
浩助は肩を竦めようとするが、その動作は途中でびたりと止まる。
『うおおおぉぉぉ! ニンゲンが! ニンゲンが魔王チャレンジするぞぉぉぉぉ!』
『マジかよ! 確かに強ぇけど! 魔王チャレンジするかぁ!? フツー!?』
「魔王チャレンジ……?」
浩助が意識を不知火に向けると面倒臭そうな声が返ってくる。
《…………。……魔王様――うぅん、お父さんはいつだって実力で魔王の座を奪うことを良しとしていた。……だから、腕に自信があるものはいつもお父さんの座を狙って、真正面からこの城に挑んでいくことができる。……それが魔王チャレンジと呼ばれるもの》
「別に、魔王とかいう二つ名は、ダッセェからいらねぇんだけど……。っていうか、それ、城の防衛軍と挑戦者個人でやるのかよ。結構、ヒデェルールだな……」
《…………。……でも、お父さんはそれを成し遂げて魔王になったって聞いてる》
「ソイツも大概だな、オイ……」
旧魔王の尋常ならざる実力を垣間見た気がして、浩助は口をへの字に結ぶ。
魔王チャレンジはさておくとして、魔界の中心人物とは色々と話をつける必要はあるだろう。
浩助は橋を渡ろうとして、目の前の橋の半ばに謎の一軍が展開していることに気が付く。
『よぉく来たねぇ……。ふぅん、キミがそうなんだ……』
濃灰色の長髪に白衣を肩に掛け、片眼鏡を付けた男が一軍の前で大仰に両腕を開いて、浩助を出迎えていた。
『私の名はジーク。アーカム様の副官にして、希代の天才芸術家だ。今日はなかなか面白い素材が来ると聞いていてね。此処でこうして待ち受けていたわけだが……』
そう言うジークの脇を固めるのは様々な生物を融合したような奇妙な形態の魔物たちだ。
浩助は知らないが、合成獣と呼ばれるそれらは、様々な生物を継ぎ接ぎして作成される人造の魔物である。その『素材』のポテンシャルを活かして継ぎ接ぎをすることで元の強さの何倍もの強さになる彼らは、確かに『芸術品』と呼べるだけのものを備えていた。
そして、そんな芸術品を作り出したジークの瞳には、次なる獲物として浩助の姿が映り込んでいた。
『なかなか良さそうな素材だ』
ジークが身の毛もよだつような残忍な笑みを――。
――見せようとして上空を五十メートルを舞って落ちた。
「何かキモイ」
一瞬で、謎の一軍の全員を五十メートル上空に打ち上げた浩助は、そのまま堂々と橋を渡っていく。後には変な格好で橋に頭を打ち付け、気絶するジークたちの姿だけがあった。
『うおおぉぉぉぉ! 寄せ付けねぇぇぇぇ!』
『こりゃ、ひょっとしたら、ひょっとするぞぉぉぉぉ!』
『どうすんだよ! ニンゲンが魔王になっちまったら! ニンゲンの下の扱いになるのか!?』
『知らねぇよ! でも、こんな面白いこともねぇぜ!』
『祭りだ! 祭りの準備をしろ! 有り得るぞ!』
『はいはい、挑戦者が勝つか、それとも魔王が勝つか~、賭ける奴は一口千リルクからだよ~』
『魔王に五口!』
『じゃあ、挑戦者に二口!』
「あぁ!? テメェら、またッ! …………」
憤りを覚えた浩助ではあるが、ふと何かを思い付いたのか早足で踵を返す。
そして、賭けの胴元に近付くなり、少しだけ声を潜める。
『ちなみに、その賭け、俺も参加できるのか?』
『いやぁ、賭けの対象が参加したら結果をコントロールできちゃうからね。規定的に駄目だね』
「ふざけんなよ! このクソ魔族が! もういいわ! 馬鹿!」
プリプリと怒りながら、それでもどこか未練がましい目でチラチラと振り返りながら、浩助は魔王城の中に消えていく。その際に足蹴にされたジークが少しだけ可哀想ではあった。
便利ですね。五十メートル。