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俺の戦略で試合中

 前回のあらすじぃッ!

 戦いを挑んだら敵は化け物だった!以上!

 …これダメな奴じゃん。存在が生物兵器はあかんやつだって!倒せるわけないよんこんなの。無理無理ウィーッ!!

 …錯乱した。てか混乱した。何言ってんだ俺は。

 と言いつつもマジで危機だ。だってもうさっきの手は通じないとかなんとか言ってましたしねぇ奥さん、無理だよ絶対終ー了ーって感じ!?

 …混乱は収まってなかった。だから俺は何を言ってんだ…。

 冷静に分析しよう。

 讃良時雨。高校3年生。ディメンションボールのエースで力強い投擲とフットワークの軽さで壁の役割をすることが多い前列をたった一人で守っているという攻守のどちらも持ち合わせたオールラウンダー。

 非の打ち所が一切ない。

 …これは無理じゃね(確信)。

 なんか俺の反応出来るレベルにいない気がする。

 とりあえず西園に連絡する。

「西園、大丈夫か。」

「うん。でもちょっと火照って来ちゃった。」

「あー。」

 西園が火照ってきたと言うことは…。

「西園、悪いが切り札だから温存頼めるか。」

「うん。なんとか頑張る。」

 別通話へ。まずは朝熊先輩だ。

「とりあえず3分のハビングタイムが近いので戦略的に行きます。とりあえず、左端下ギリギリをお願いします。」

 この際ハビングタイムに関しては割愛する。

「…いいよ。」

 とりあえず再開させる。

 後方中央という相手側的には死角からの左端を狙うボールは、捕られた。おい、高校女子がワンステップで動ける距離じゃないぞそれ。

 更に奪われたそれは上に放たれ、上のトランポリンを使って急降下。

「朝熊先輩頭上です。B、5、ニへトスで。」

「うい。」

 トスは短いタイムで人為的に距離を変えることが出来る。更に両手キャッチに判定が入るので使いやすい。

 日美先輩と冨美先輩に同時報告。

「同時ジャンプ。標的は自分から見て一番端。」

「「あいよ!」」

 朝熊先輩の鮮やかなトスから息のあった日美、冨美先輩の同時シュート体制。更に両端を狙う形、更に逆狙いで距離は二倍。これなら行ける。

 と思っていた時代が私にもありました。

 時間にしてたった4秒の行動。まさか。その間だけで讃良先輩が狙った方の端にいるなんて。

 捕球される。んなあほな。二人のジャンプ開始から多くても2秒位だぞ。それなのにボールが動いてから動いた?違う。そんなことどんな体の構造でもできるわけがない。勘?トスの時点で分かっていた?違う…朝熊先輩の視線を読んだんだ。馬鹿な。

 でもそれが現実だ。

 とりあえず早く対策しなければ。

「山城先輩、ボール真っ正面です。キャッチしてから右によって大ジャンプ体勢。合図で飛んで上から直接後列誰かの背後狙って。」

「はいッ!」

 ボールをキャッチさせながら次の指示。

 やはり西園を吹き飛ばした暴力弾はフルコンディションじゃないと出来ないか。

 それでも結構な威力だがキャッチできる山城先輩や朝熊先輩もすごい。

 ジャンプ中に来たボールをなんとかキャッチして威力を相殺している山城先輩以外に伝達。

「同時に左の壁に寄ってください。」

「「「「「はい!」」」」」

 これこそ皆が同時にジャンプした理由。

 通常と大ジャンプでは地でのチャージが違う。

 大ジャンプは早めに落下し、チャージする。そしてチャージが溜まり上昇しようというその時、一方に寄ったプレイヤーが一斉に落下し終わる。

 一方が、例えば左に重圧が言った時、弾力の逃げ道は右。そして右にたった今その弾力を集めているプレイヤーがいたら?

 弾力はそれを伝って空気に逃げ、プレイヤーは途轍もないジャンプ力を得る。


 成功した。


 いつもより座標一つ高いシュート。比較的大柄な選手じゃないと届かない高さの座標7。その頂からのシュート。

 前列がとれるはずがない。

 とれる…はずが…

 ……。

 目の前に、突如として。

 人影……

 ……え?

 ああぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!??

 なんでそんな高さにいるんだよッッ!

 そこまでジャンプされたら…手を伸ばせばボールに届く位置になるッ!

 体力とジャンプ力の底知らず機動要塞少女讃良先輩。

 未だ打開策はない。


 てかそれ以上にヤバい。

 有り得ないと信じたい馬鹿力の豪快さによる先輩のシュートは、確実にさっき一塊になった集団で大量得点源を狙う。

 沢山の反射場所があるとそれだけボールを捉えにくくなる。よって混乱が混乱を呼び、どうしようもなくなるのだ。

「全員散開。元の<杯>に!」

 全員が散開した所で、気づいた。

 空中にいる讃良先輩の狙いは、群集じゃなく…、

 満身創痍で落下する山城先輩ッ!

 ボールは放たれた。今の山城先輩に避ける術は…ない。

 ボールは山城先輩の足に当たり、更に方向を変える。一ポイント。

 方向は…。

「冨美先輩、肩ッッ!」

 取る暇なく、直撃。

 一度に、2ポイント…。

 西園が空気を読み、ボールをキャッチ。

 タイムを取った。


「とりあえず交代しましょう。」

 タイムの間に指示を山城先輩と冨美先輩に告げる。

 山城先輩からは抗議の声。

「まだ私は…!」

 冨美先輩も続く。

「私だって…」

 説明にはいる。

「山城先輩は体力の回復です。慣れてないことも多く体力的に負荷がかかってるはずです。」

 全員そうだが、山城先輩の場合特にキーポイントとなる場面も多く、負荷は人一倍な筈だ。

「あと、冨美先輩は…右投げですよね。」

「うん。」

「なのでさっきの当たり的に…し、失礼します。」

「うん、…え?」

 肩に手を置き、手首を持ち、グッと持ち上げる。

「痛たたたたたたッッ!!」

 肌がすべすべだ。…じゃないなそんなこと言ったら死ぬな。社会抹殺待ったなし。

「やっぱり、筋肉硬直ですね。」

 筋肉硬直とは、筋肉が突然刺激を受けるとその状態で筋肉が固まるという人間の生体反応だ。無理して動かすとやはり痛みの走るものだ。

「おい東雲。筋肉硬直なんだけどケア頼めるか?」

「いいわよ。」

 東雲は母親が看護士の上に中学で保健委員委員長だ。

 …只の委員会と侮るなかれ、委員の一人にはブラックジャックのような医療レベルの技術者が揃っているようなスーパードクターの卵の集まりなので、その委員長の東雲のレベルは…うんまぁ別の話。

「山城先輩は相原先輩と、冨美先輩は似鳥と交代。お願いします。」

 上手く動けるかは不安なところだ…。

「それにしても讃良先輩ヤバかったねー。」

 暁雲先輩がしみじみと言う。

「はい…前より投球が力強いかと。」

 山城先輩も続く。

「うーんそうかなぁ…。まぁ山城ちやんは讃良先輩好きだもんねー。」

「なっ、暁雲さん!?」

 得意げな暁雲さんに、山城先輩が頬を赤らめる。

「たしかに憧れるよねー。強いし。」

「そ、そんなんじゃ…」

 いや山城先輩が照れてどうする…。

「た、たしかに讃良先輩は投げるフォームは美しいですし力強くて素早く飛んでいて…キャッ」

 だから山城先輩がデレてどうする…。

「山城ちゃんは讃良先輩に一目惚れして始めたんだもんねー。」

「い、言わないで~!」

 頬を更に赤らめてポカポカと暁雲先輩を叩く山城先輩を見て、ふと予想が確信に変わる。

 あぁ…この人ガチ百合だよ…。


 試合再開だ。

 相変わらず讃良先輩の弱点は見つからない、が、ここで止まっていても仕方はない。

 ここで第二戦略、フェイントだ。

「西園、左端にチェンジしてくれ。」

「うん。」

 フォーメーションはそのままに選手の配置を変える。

 西園はパスをいち早く覚え、朝熊先輩に次ぐボール回しを覚えた。そのボール回しを見込んで…。

 だがそれすらも上手く回らない。

 パスは出せるが上手くテンポを合わせる讃良先輩によって弾き返されては当てられる。

 結果俺たちは第一セットを失うことになった。


「お、おい…。」

 予想外に時間を掛けた第一セットだが、通常はまぁそんなに時間の掛かるセットではない。

 しかしこの時点でここまでパス、フェイント、タイミングずらしなど、沢山の戦略が讃良先輩の前で散っていった。

 そしてこのテンションの完成だ。

 テンションが下がるのも分かる、たしかに戦術を立ててる身としてもこの圧倒的な力の差に弱い、という点は解消しなければならない。

 よく戦況を見れば讃良先輩でなくともいい人材のいる第一チームには戦略の突発性で点を入れるシーンもあった。

 それさえ使えるようになれば…つまり、讃良先輩を出し抜ければ。

「一応先輩達にもそれっぽい話はしたんだがなぁ…たしかに戦略がない。」

「…この前言ってたあれはどう?空中の身動きがとれないことを利用した作戦。」

 隣で水を飲みながら西園がアドバイスしてくれる。

「うーん、やっぱり西園もそれがいいと思うか…?」

「…私の頭じゃそれが限界だよ…。やっぱりパスも考えられないような私だもんね。」

「いや、それが現在一番の打開策だよ。それに俺自体そんなに知恵者でもないからありがてぇよ。西園はプレーヤーだし人間には適材適所がある。頼にしてるぞ西園。」

「頑張るよ。」

「おう。」

 ちょっと意気込んでる西園の目は輝いて見えた。

 ついついのぞき込みたくなる…逸らされた。

「い、行くね。」

 やべぇ見つめてた。

 運動の性か頬が少し赤い西園は小さく頷いてコートへと向かっていった。

 運動の性だな、うん。

 それにしてもなんか策を考えなきゃな。


 西園の助言通り、「飛び上がったら下にパス」を実行した。それは讃良先輩をある程度牽制するが、根本的な解決とはならないだろう。

 やはり第一グループ、讃良先輩とまでは行かないがよいレスポンスの選手は多く対応は早い。讃良先輩のいない8対7の対決、しかも真っ向からの正面衝突は戦術のない只のディメンションボールだ。やはりそこは経験の差、あちらはこれまでのチームの精鋭、こちらは予備、サポートの席だった先輩達に一年生。実力は得点として表れることになりそうだ。

 第二セット。6:4で第一チームのセットポイント。


「はぁ…。」

 息も途切れ途切れに暁雲先輩が溜め息を吐く。

 朝熊先輩は発汗量が多いらしくドリンクが二本目だ。

 二週間程度の集中強化では一度に負荷の掛かる戦略で第二セット途中までがかなりギリギリのラインのようだ。それに山城先輩の代わりとなった役割も多いのでそこの負荷もある。それに戦略の失敗も堪えているらしい。

 次の第三セット、なんとしてもとらなければ、少なくとも勝ちはなくなる。

 俺は決断する。

「…じゃあ裏技使いますか。」


今回は全面試合回です。あと1回分位試合するんでよろしくお願いします…そこからの予定は未定ですが(笑)

そういえばこの話の俺TUEEEはどこかに吹き飛んで爆発四散しましたね。主人公全然強くないですしね。

そんなこんなで6話でした。

…さて讃良先輩どうしよう(笑)

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