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俺とメンバーでチーム結成

「さて、部に2人目のオペレーターが来てくれたお陰でついに第二チームが組めるようになった。」

 おお~という声があがる。

 元強豪とはいえ部員は30人を超える充分に大きな部だ。

 チームはメイン8人に予備の7人にオペレーター1人の16人編成。つまりうちの部活はもう一つチームが編成できたのだが、肝心のオペレーター役がいなかったためチームの編成が出来なかったということらしい。説明を続ける部長が話を一段落させた所で俺は耳打ちした。

「部長。俺男なんっすけどオペレーターやっててもいいんすかね。」

「別に競技ルールブックにはオペレーターの性別についてなにも書いてない筈だ。プレイするのは女性だし、これからも男女で空間把握能力に差があると学会で発表されない限りは当分大丈夫だろう。」

「…そうっすか。」

「まぁ君がこの前言っていたことも一理はあるよ。確かに女性は股関節などの間接部等が元来とても柔らかく、体格は言われるべくもなく男性と比べて小柄だ。現段階ではやはり女性向けの競技と言わざるを得ない。」

「……。」

「だから男子ディメンションボール部が作られるのは当分先になるだろうからそれまではここでディメ部の活動を頼むよ。」

「ういっす。」

 そうして部長は周りへの説明を再開する。

「…さて、部のプレイヤーの15人には矢矧君率いるチームに入って貰うんだが…。一応、立候補者はいるか?手を挙げてくれ。」

 予想通りこちらにくるという部員は一人も手を挙げない。

 やはりどこの馬の骨かも分からない一年の男子は信用に値しないということらしい。

「…じゃあこっちで選定するが…お、西園やるか?」

 ……ゑ?

 …西園がこっちのチームでプレー?マジか。これは…あれですか?あのフラグですか?小規模ながら立ちました?

 待て待て落ち着くんだ矢矧悠16歳童貞、こんな簡単にラブコメが起こるはず無いんだこれ絶対只の一年のよしみだって…って誰が童貞だ俺だこの野郎。

 …てか部内恋愛は普通にアカン気がするだろ?な?落ち着けって。

 俺が脳内暴動を起こしてる間に隣に来ていた西園が俺の方に微笑む。

「えへへ…まぁ一年同士だし、こっちならレギュラーもあるかもと思って。頑張ろうね。」

 …これ行けるって行けるよ矢矧悠16歳未経験リア充ネバービギン野郎。恋とか成就してないから分からんがいけるって…誰がリア充ネバービギンだ俺だこの野郎。

 気づけばチラホラと手が上がり始めている。

 一年の同級生、西園優衣から始まり。

 二年生のちっちゃな先輩の暁雲奏先輩。

 二年生の二子、能代日美先輩と能代冨美先輩。

 一年生のビギナー、似鳥摩耶。

 二年生では体の柔らかいことで有名らしい、山城恵先輩。

 二年生でスナイプの上手い、朝熊弓子先輩。

 二年生の、マット経験者相原榛菜先輩。

 等、二軍の主格メンバーやビギナーなどがこちらのチームに移動してきているようだ。

「まぁこんな所だろ。じゃあチームわけも出来たし、チームを分けずにまずは基礎の合同練習から始めよう。準備運動とストレッチとマラソン、ボール投げから始めるいつもの形で行くぞ。」

 部長の指示でとりあえずは班を分けず練習が始まる。

 俺はその間にメンバーの顔と名前、あとは体力的な面も見ておく必要がありそうだ。

 タイマーを動かしながら個々の体力を測る。

 暁雲先輩は小さな体を活かした細かい行動。

 日美先輩冨美先輩は息が合っていてソロプレイ以外の使い道がありそうだ。

 更に体の柔らかいと言われている山城先輩は確かに軽やかにマットの上を飛んでいる。

 朝熊先輩は正確な当たりが素晴らしい。

 西園は…ハッキリ言ってどっちつかずとしか言いようがない。流石に中学からやってるだけあり、ショットの正確性はある程度あるし、マットもある程度自由に動ける。ボールキャッチも片手で出来るなどの小技もいい、オールラウンダーだが、しかし全てがある程度で平凡とも言える。ビギナーへのコーチは任せられるが強い武器がない。

 しかしまぁビギナーの多い現在ではスペックが良いので今は重宝しそうだ。

 …というより他の強い武器が多少ヤバい。

 暁雲先輩と朝熊先輩は動きや正確性の代わりに体力を犠牲にし、山城先輩はボールが両手でも取れないというこの状況。

 結構ヤバいな…。

 ディメンションボールでは一試合での交代人数に制限があり、最高5人までだ。途中交代は戦略的にも多用したいし、温存もしたいが、これは使わざるを得ない状況すらあり得る。

 問題解決は急務だな…と思いながらノートを置いた。


「…え、ええー、この度オペレーターに抜擢されました。矢矧悠と申します。これから宜しくお願いします。」

 ヤバいのは俺も一緒だった。

 目の前の(おびただ)しい女子の数の目が此方に向けられている。恐ろしや。

 頑張れ~とか言われるし…。

 ディメ部ではオペレーターが練習メニューを考えるらしく、俺にはその役割が課されている、…けど上級生にスキルアップとかいうのか?

「じゃあ始めます。私の見た限りでは体力と技量の更なるスキルアップが必要だと感じました。よって基本的なボールキャッチと筋トレ、体力アップを練習メニューにします。」

 朝熊先輩が口を開く

「それって練習試合はしないってこと?」

「今週はしません。来週もそれに当てるつもりです。」

 表情が曇った。こ、怖ぇ…。

「私達二年生は一年間はそういう基本練習してるんだ。別メニューは?」

「無いです。ある程度の苦手克服から始めます。」

 更に曇った。

「それって私達の技量を舐めてるってことでいいの?」

「いいえ、違います。」

「じゃあ来て一日の君に何が苦手か分かってるっていうの?」

 冷ややかな敵視、…怖ぇ。

「一応さっきの練習で力量は掴めたつもりです。」

「じゃあ私の弱点は?」

 言えるもんなら言ってみなさいよ、みたいな空気。

 言ってやろうじゃん。

「朝熊先輩は体力面での心配があります。」

「例えば?」

「マラソンでの成績は33分の25位、息が上がり始めたのは3分後、約500m当たりです。カロリー換算して総体的な体力使用可能量が20キロカロリーに満ちてません。ディメンションボールの一試合の消費カロリーはは40キロカロリーとされていますので試合を完走することは出来ません。」

「…ぐっ。」

 朝熊先輩は押し黙ってしまった。何だろう。只説明しただけなのに。

「じゃあさぁ矢矧君、私はどうなのさ。」

 次に説明を要したのはちっちゃな先輩暁雲先輩だった。

 てかホントちっちゃいな…中学生…小5位にも見える。

「暁雲先輩も同じ理由です。マラソンは26位、先輩の場合はペースランニングの方に問題がありそうなので体力のアップをお願いします。」

「分かったよ!」

 しかし小学生のように物わかりがいいなおい…。

「一つ質問いいかしら。」

「はい、山城先輩も何か」

「私の問題点は何かしら。」

「山城先輩はボールの操作性に不安があるのでその部分を補正するつもりです。」

「根拠もいいかしら。」

「空中キャッチでの成功率が40%その内両手キャッチが6片手バウンドからの両手が2です。更にそこからの的当ては中心0、図星0、周囲8なので、少なくとも片手でキャッチ率を80%以上に底上げし、更に少なくとも図星に当たるようにするつもりです。」

「そう、ありがとう。」

 実は片手でバウンドさせるというのはバウンドしたボールが戻ってくるのを待たなければいけないため、山城先輩の跳躍技術がすばらしいことの暗示になるのだが、残念ながら試合でのその行為は1ポイント扱いになるためあんまり役にはたたない。

「以上でいいでしょうか。ではジャンル別に並んで貰えますか。体力面、技量面、ジャンプ面での区分けになりますのでその順番で…」

 その後もなんとか仕分けていく。

「あ、西園、ちょっといいか。」

「うん、何?」

「悪いんだが山城先輩達にボールの片手キャッチの方法教えて上げてくれないか?」

「え、あ、うんいいよ。どうすればいいかな…。」

「えーっと。まぁ片手キャッチするときに自分でコツとか取るときの癖とか気をつけてることを教えてからあとはずっとボールのパスを宜しく。あと、ボールは並んでる時に投げ込むように指示しといてくれ。」

「それだけでいいの?」

「ああ、よろしく頼む。」

「うん、頑張るね!」

 …やっぱ西園は優しいな。


「暁雲先輩達は…部活終了時刻までに時間かかってもいいんで体育館6周を6セットお願いします。」

 ちなみにこの距離はランニングの3倍だ。

 案の定不満の声が挙がる。

「…まぁそれは気が滅入るので…はいこれ。」

 俺の取り出した物に暁雲先輩が尋ねる。

「これディメのボールだよね。」

「そうです。バウンドでもドリブルでも、暇になったら手で弄んで気を紛らわしてください。あとここにホワイトボード置いとくんで周回数はここにお願いします。終わったら自主練でお願いします。」

「オッケー、じゃもう始めていい?」

「どうぞ。」

「ヤッホー!!」

 暁雲先輩は弾丸のように駆け出して行った。俺ペースランニングって言ったよね…。

 他の部員も次々走り始める。

 それを見送ると俺はジャンプの方に向かった。


 ジャンプの方は問題は流石にディメ部なのである程度は大丈夫だが、高さや移動が気になるところなので多少の手ほどきをしてとりあえず気が済むまでバネの上で動くように指示しておいた。

 ホワイトボードには正の数が4つ目に突入している人もいる。てか暁雲先輩だ。こんなにとばして大丈夫なのか…?

 次はボールの方へ。

「どうだ。進捗。」

「うん、まだちょっと時間かかりそうだけどなんとかなりそう。」

「よかった。」

「それにしても矢矧君すごかったね。」

「…え?」

「先輩相手に数値を武器にズバッと論破!すごいなって思った。」

「そ、そうか…」

 超ビクつきながら説明してたのに…

「これからも頑張ろうね!」

「あ、お、おう。頼むぜ」

「うん分かった。」

 今はまだ成長途中だ。レベルを上げて敵に挑む。

 戦力を打算しながら俺は暁雲先輩についてノートを取り始めた。

3話です。

そろそろチームとして動き始めたのでこれからいろいろと進展するつもりです。

このままのペースで更新していければいいなぁ…

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