第1話
家に帰宅したあと、いつものように夕食までだらだらして、お風呂に入った。
風呂から上がりにソファーでくつろいでいたところ、理咲が隣にやってきた。
「そういえばおにいちゃん、美希さんから聞いたよ。また、授業さぼったんだって」
今さっき風呂から上がってきたらしく、可愛いパジャマをきている。
「別にいいだろ、どうせ今日はまともな授業なかったし」
「でもクラスのみんなには挨拶くらいはしないと」
「毎年クラス替えするのに、いちいち覚えてたらきりがない」
聖夜学園は大体1学年の学生が1千人にも及ぶ。
クラスは1クラス50人で20クラスもある。
聖夜学園は将来、新書を使いこなし、主にそれを必要とする企業や国の戦力となる人材を育成する教育機関と言われている。
そのため、普通の高校と比べると進学率は低いが、関東地域全体から集まっているので、1学年の人数が桁違いに多い。
「そうだけど」
どうやら反論できない様子で、黙ってしまった。
「それじゃ俺はもう寝るから。お前も早く寝ろよ」
「うん、おやすみ」
そういって、リビングから出て、自分の部屋に戻ろうとした。
すると、リビングの方から妹とおばさんの会話が聞こえた。
普段ならそのまま部屋へ戻ってしまうのだが、どうしてその場から離れることが出来なかった。
「ねぇお母さん」
「なぁに?」
台所から声が聞こえた。
「もう10年になるんだよね、おにいちゃんがこの家来てから」
「そうだね、今日でちょうど10年になるのかな」
「私、おにいちゃんの妹としてしっかりとやれてるのかな」
「そりゃもちろんよ。だって誠一はあんなにも明るくなったじゃない」
「うん」
誠一が最初にこの家に来たのが、あの日であり、両親がいなくなった時だった。
身寄りがなかった誠一を理咲の両親が引き取ったが、最初はとても暗かった。
その後、誠一の両親が行方不明ということで、捜査が打ち切られたと聞かされた時、誠一は泣きじゃくり、それっきり家から出ることはなかった。
家にいても、部屋にこもって最初の頃は食事すら取らなかった。
そんなある日、いつの間にか部屋の中に理咲が入ってきて、
「一緒に遊ぼう」
といった。
もちろん、誠一はそんな言葉には耳も貸さなかったが、それでも理咲は諦めずに毎日のように部屋に来た。
それからというものの、誠一もだんだん心を開き、今に至っている。
「だって、だってぇ、そんなのあんまりじゃない。おにいちゃんは何も悪いことなんてしてないのに」
理咲はいいながら、涙が止まらなかった。
「大丈夫、大丈夫だから」
お母さんは理咲を抱いて、頭をさすりながら何度も何度いった。
誠一はそんな話を聞いて、やるせない気持ちになった。
あんなにも自分を大切に思っている人がいることが嬉しかった。
だからこそ彼らを悲しませていけないと強く思った。
唐突ですが、久しぶりに友達にカラオケいこうに誘われて、歌えもしないのにいくといってしまったのですが、どうしたらいいのでしょうか?
ちなみに今まで人生でカラオケは1回しかありません。その1回も数時間、何も歌いませんでした。
次回も悲しい回です。