第3話
学校に着くなり、3人はクラス発表の張り紙の前まで走っていった。
「美希さん、拓也先輩、私はこれで」
「そうだね、理咲ちゃんまた後でね」
「理咲ちゃんも新しいクラスでがんばれよ」
理咲は二人に挨拶して、自分のところへ行こうとしたが、何かを思い出したようにこっちに顔を向けた。
「あっ、おにいちゃん新学期早々から授業さぼらないでね。いっつも担任の先生から電話がくるんだから」
「 はいはい、ほらさっさといけ」
「うん、じゃ後でね」
理咲は元気のいい返事をしてそのまま走り去っていった。
「相変わらず理咲ちゃんは元気で真面目だよね。それに比べて誠一ときたら、授業はさぼるわ、単位はぎりぎりだし。本当正反対だよね」
「人の勝手だろ」
美希の言葉は正しいが、だからといって今さら真面目にしようとは思わない。事実、進級はできてるわけだし。
「それでよく進級できるよね。テストは普通なのに、実技だけは毎回満点をとるとか」
「そそ、授業聞いてないのにできるというか。誠一はできるバカだよね」
二人は面白そうにこっちの顔をじろじろ見ている。
「なんだよそれ、二人ともバカにしやがって」
またいつものペースに巻き込まれるのは勘弁してほしい。
なんとか話をそらさないと。
「ほら、お前らもさっさとクラス分けを見てこい」
「そうだね。って誠一は見ないの?」
「興味ないからな」
とりあえず人がいない場所にいってのんびりしたい気分だ。
「あー、授業サボる気だね。理咲ちゃんにいいつけるからね」
脅すように美希がいいよってくる。
「そ、それだけはやめてくれ。また何言われるかわかったもんじゃない」
流石に理咲にいいつけられると、後々家に帰ったら長々と説教をされるの勘弁してほしい。
「誠一は理咲ちゃんだけには頭が上がらないよね」
「うっせー、自分でも自覚してるっての」
理咲には昔から世話を焼かされて貰ってるので、あまり言い返せない。
これじゃ、兄の面目が立たない。分かってはいるが、どうにもならないのだ。
「まあ、別に誠一が何言われないようが勝手だからいいけど。どうせバレるし。でも、あんまり理咲ちゃんを心配させないでね」
「そうだぞ、誠一おにーいちゃん」
「お前、ちょっときもいぞ」
「えー、ひどっ」
「それより早く行け、人が集まってきてるぞ」
「誠一、教室には顔を見せてよ」
「気が向いたらな」
「拓也いくよ」
「あいよ。じゃーな、親友」
二人を背にして、人のいなさそうな屋上を目指した。
もう夏に入って、毎日が暑い。夏は一番嫌いな季節です。暑いのより寒い方がどちらというと好きです。季節でいうと秋>春>冬>夏の順で好きです。暑さに負けないように今日はウナギの蒲焼きを食べました(どうでもいい)