第15話
いわれてみれば、いたって普通のことだと自分でも思えてしまう。
これは一部の能力除けばランダムでひとりひとりが持っているということがわかっているからだ。
「ってことは美希はもう参加確定ってかんじ~」
幼馴染が学園対抗戦に出るということもあって拓也はすこし興奮気味になっていた。その一方で、さっきまで感じていた違和感が分かってすっきりした。
「大丈夫か」
「へっ?」
いきなりのことなのか、それともまだ頭が回っていないのか、ちゃんと聞きとれてないみたいだ。
「自分が出ることに対して不安はないのかってきいてるんだよ」
「ないと言えばうそになるけど、私自身はあんまりこういうのは好きなほうじゃないし、それに本当は不安だらけで私なんかがみんなの役に立つのかなって」
美希は俯き、だんだん声がか細くなっていた。最後の方はもうかすかに聞こえる程度で、よほどのプレッシャーがあるのだろう。
それでも、美希はなんとか顔を上げて言う。
「で、でも、椎名先輩やみんなに必要とされてるなら私もがんばらなきゃっておもうの」
「ほんとどこの誰かさんとは違ってね」
まださっきのことを根に持ってたのかよ。どんだけ一緒にされたくないんだよ。
さすがに親友として傷ついてしまう。
「まあ、それでも美希自身がそういうのなら俺たちがとやかくいうことはないよ。自分らしくかんばればいいよ」
拓也のことはさらりと受け流して、そう言って美希を励ます。
それを聞いて元気づけられたのか、どうやら普段の調子に戻った。
「うん、二人ともありがとう。そういえば―――――」
「13番の札をお持ちの方は5番窓口までお越しください」
「あっ、私の番号だ、それじゃいってくるね」
美希がなにかをいいかけたが、アナウンスに遮られて結局なにを言おうとしたのかわからなかった。
最近はなすことがないです、はい。(ぼっちなんかじゃないんだからね)




