第14話
「う~んとね、その《女神の涙》を使って私の能力―――あらゆる傷を癒す力を底上げしてより広範囲に、よりはやく傷をいやせることができるってわけ」
「つまり、その《女神の涙》っていうのは能力の増幅器みたいなもんってことか」
能力をどれだけ上げられるかによるが話を聞く限りではそこんいらの武器の補助とは比べ物にならないのだろう。そうでもなければ貸し出すのに申請なんて必要ない。
「そういうことかな。ごめんね、あんまり詳しく知らないの。ホントのところ昨日聞かされたばかりで、まだ頭の整理がつかなくって……」
「まあそういうこともあるさ。俺なんて何も伝えられずにその場に放り込まれることばかりで」
「それは拓也がちゃんと話を聞いてないからでしょ」
「おいおい、俺と誠一を一緒みたいにすんなよ。さすがにかなしくなるわ」
「ひどい言いがかりだな。俺が話を聞かないのは興味がないだけで、お前みたいに人が話してる最中に他のことを考えてるだろ」
「そうはいっても二人ともあんまり大差ないからね」
美希があきれて放置された子犬を見るような目で見つめてくる。
「ん?」
「どうしたの」
「いや、てことは美希は出るのか」
「なににでるって?」
「へぇ~、なるほどね」
拓也は俺の言葉を察してくれたようだが、まあ、当の本人というとなにを言われたか理解できていなかった。
「なによ、二人して」
「誠一はお前が学園対抗戦にでるのかって意味だよ」
少し間をおいて、ようやく理解できたようだ。
「でもまだ出るとは決まったわけじゃないけど、傷を癒す能力は必要だし、それにあんまりいないからね」
そういってくるりをまわってかわいらしくウインクしながら、鼻先に人差し指を突き付けてきた。
忙しい。。。最近よく鼻血が出て困ってます。




