第9話
こうして話しているうちにも副生徒会長の立宮祐輝はたんたんと説明を進めていた。内容としては今回変更される5つの点についての詳細を話しているがどれもこれも初めての取り組みでなかなか理解されていないようだった。
去年の件があり、それをみた政府の上層部から運営委員会にルールの改定をするようにいわれたのだろうが、その原因となった本人は生徒会長についたことは伝わっているはずだ。生徒会長は役職上、学園対抗戦には出てはいけないことになっている。
それでもその翌年にルールの変更があったということは、なにか裏がある気がする。
それに変更点についてもいくつか気になったことがある。
まず、一つ目の武器の使用については、これまで使用が禁止されていた理由としては政府や企業側が個人の能力そのものをみてみたいということだったはずだが、ここにきて武器の使用を許可するのはおかしい。しかし、より公平で武器との兼ね合いによる実力もあわせて評価したいというのならばうなずけないこともない。ただこれまでに変更するタイミングがなかっただけかもしれない、
武器を使用が可能となると、それぞれの学園内のランキングにも影響をするのは間違いない。といっても、ランキング上位は実力的にそうやすやすと武器の一つでひっくりかえることはない。
それでも、気になる点が一つある。それは持ちこめる武器の数だ。説明にみてもそのことについては何も記載されていない。
また、5つ目の情報公開でもどんな情報を出せとは詳しくは記載されていない。もし武器の持ち込みに制限がないとしたらそれは厄介だ。まあ、そのうちわかるかもしれない。
「それでは、今年の学園対抗戦に出るメンバーの選出方法について説明します。原則去年と変わらず、ランキング上位5名と学園内の選出戦にて個人上位5名と団体上位3チームの9名、それと生徒による投票での1名の20人が実際に試合に参加します。また、補欠の10名についてですが、これは基本先ほど申し上げた20名による指名制にしたいと思います。指名された生徒の重複や人数オーバーは話し合って決めていただくようになっています」
2つ目のルール変更についてはなんも問題もないようだ。試合中に不在になる事態が発生した際の対応なのだろう。
それより気になるのが、3つ目と4つ目のルール変更だ。
これまではずっと一つのフィールドでやったきた、またフィールドの変更も一切なかった。なぜなら、それを行うことによって単純に予算が膨らんでしまう。政府も企業もできるだけ支出を抑えたいのが本音なのだが、あえてそれを行うということは必ずそのリスクに対するリターンがなければならない。
「それを動かせるほどのなにかがあるのか……」
無意識のうちにだれにも聞こえないほどの声でつぶやいた。
また睡魔に負けてしまった……。




