第8話
「あのうわさって本当なのかな?」
「能力を無効化するっていう能力ねぇ~、まぁ実際に去年の学園対抗戦でそれを見てしまったわけだし」
「でもまだうわさの段階ってことは本人以外はあまり詳しく知られていないってことじゃないかな、能力を無効化する能力なんて胡散臭いし。どうせどこかでうわさが大きくなったんじゃないのか」
「そうだけどさ、あれをみてそうじゃないって否定できないよ」
俺の答えにすかさず美希が反論する。
「考えてみろ、もし本当に能力を無効化する能力なんてもんがあったら、政府が黙ってるはずがないだろ」
「そうだよね、もしそんな能力をあったとしたら野放しにするわけにはいかないもんね」
「そういうことだ。たぶん裏があるはずだと思うよ。その点も踏まえてこっちの事情には関与してこなかったんじゃないのか」
淡々と自分の考えを述べた。
「な、ならもし本当にあったとしたらどうなの?」
今日はやけに美希が食いついてくる。よほど興味があるんだろうか。
「あったとしてもさすがに制約なしには使えないとおもうよ。例えば、能力の使用回数に制限があるとかかな」
「~ん、制約がなかったらまた世界がガラリと変わってしまいそうだよね」
「そうそう」
我ながら自分の考えが案外間違っていない気がする。
「お~、なんか久々に誠一がまともなことをいってる」
さっきまで端末に目線を落としていたやつに言われたくねぇ。てか、聞いてたのかよ。
「ほんとだよね」
こっちはこっちでいいながらすこし笑ってるし、まじめになって話してたのが自分がバカだった気がしてきた。
最近家に帰ってきて疲れているのか、きづいたら寝てることが多いでし。




