第1話
「おにいちゃんはやく〜」
朝から元気な妹の声が、玄関先から聞こえてくる。
「わかった、すぐにいく」
いつもの一分間の黙祷を済ませて、玄関先に向かった。
「おにいちゃんおそい〜、外で美希さんと拓也先輩が待ちくたびれてるよ」
「ごめんごめん、今日はちょっと起きるのが遅くなって」
「今日から新学期が始まって浮かれるのも分かるけど、早く寝ないとダメだよ」
聖夜学園は中高一貫校で妹の理咲も今年から高校一年生。去年は中高一貫校とはいえ理咲は中学で、一つ年が離れているだけなのだが、あまり朝は一緒に学校に行くことはなかった。
「ちょっと考え事をしていただけだ」
顔をみて、理咲も察したのか。
「そうだね、あれからもう10年も経ったんだもんね」
それ以上は何も話さなかった。
10年とは、あの日から世界が変わった日でもあるが、同時に両親の命日でもある。
あの日、家に帰っても両親はいつまで経っても帰って来なかった。
その後親戚に預けられたので、理咲は義理の妹ということになる。それでも家族ということには変わらない。
あの日両親は行方不明となり、死んだのかも分からないままなのだ。もし生きていたらなにをしているんだろう。元気に過ごしてるといいな。などと考えていると、妹が靴を履き終えていた。
「また、暗いこと考えてる。ほら、はやくいこう」
妹に手を引かれながら、俺は家を出た。
久しぶりに書いたので、文が所々おかしいかも。。。1日1話ペースであげられたらいいなとは思っています(希望)