2話 初めて使ってみました
更新おそくなりました
街に到着した俺が、初めに向かった場所は魔法系職業用の装備ショップだった。
前提として、このゲームはほかのゲームに比べて無課金者が多い。
そもそも、ゲームのコンセプトがオンラインゲームもオフラインゲームも一つのソフトでできることに由来していると思う。
『課金は強くなる要素のひとつであり、強くなるための絶対条件ではない』
このゲームの発売当時に雑誌に書かれたレビューにそんな言葉があったほど、このゲームにおいて課金は絶対的なものではなかった。
これが、俺は今まで課金したことがなかった理由にひとつだった。
だから、こうして課金アイテムの専門店をよく見るのも初めてのことであった。まぁ、入るのは初めてではないが。
このゲームの課金要素とは一体なんなであるのかと思うが、それは実際に商店を見たら分かることだろう。
『アラベスク』
そのお店には、沢山の服や杖など様々なアイテムが売っていた。お店というから、それは当然なんだろうけど、アイテムの半分が厨二臭く、残りの半分はメルヘンチックという、混沌とした空間だった。
多くのゲームとは違い、このゲームは性別専用のアイテムのアイテムや職業専用のアイテムがない。
だから男キャラで、剣士の俺が魔法少女系の装備を着ることもできる。
ちなみに、基本的に俺は女性向けの装備は着ることは普段はない。
話がそれてしまったが、俺が今日このお店に来たのは、それはもちろん今まで買ったことのないタイプのアイテムを買うためだった。
この服、ちょっと厨二臭くてやばいな、よし買うか。
これ、女装用ってなんだこれ。まぁ、買ってみればいいか。
・・・・
「それでは今回の会計は123万9645円となっております」
その声に店内の俺を含めた、多くの客がぎょっとする。
いや、声というよりかは文字か。
さすがに、今回は買いすぎてしまった感がぬぐえなかった。
不思議なことにこのゲームは余計なところでリアルを追求したせいで、お店で買い物した時の店員であるNPCのセリフがそのフロアにいる人全員に見えてまう。
当初はバグと思われていたこの機能、しかし、しばらくして公式からアナウンスがあり、バグではないことが判明した。
この機能には俺も疑問を持つ。
例えば、これだけの金額を買ったのも画面を通じて同じエリアにいる人は見ることができる。
さらに言うと多くの人は100万円以上の買い物に興味がある。
「スペシャルカードを使いますか?」
俺はこのポップアップに迷わず、「はい」を選択した。
―――
とある掲示板にて
360:名無し@ゲーマー
この間アラベスクで120万超えの買い物したやついるらしいぞ
362:名無し@ゲーマー
まじかよwwwwバグじゃないのか?
363:名無し@ゲーマー
そいつもしかしてこの間の当選者じゃねーか?
このスレ在住らしいぞ
364:名無し@ゲーマー
まじかよwwwwww
だとしたら記念カキコ