エピソードについて
以上のことから今回の作品は最初から『短編集』にするつもりだったので、以下のコンセプトが出来上がりました。
『相対論と量子論のそれぞれの各論を揶揄した短編を展開する。特に「こだわって『アインシュタイン』で」という訳ではなく、広義の相対論と量子論を取り上げ、それらを揶揄した人間ドラマ的な風味を出したい』
このコンセプトから短編集の構成を練り始めました。出来る限り相対論と量子論を筋にしたかったので、ウィキペディアを虱潰しに読み漁りました。
「使えるドラマはないか、面白い話になりそうな事象はないか?」と。
そして、初期の構想段階で以下に挙げる『九つのエピソード』を構想したのです。
第一エピソード・エヴェレットの薔薇・(多世界解釈)
第二エピソード・浮遊・(等価原理・重力と引力と加速度)
第三エピソード・救世主・(光子)
第四エピソード・物を使わない実験・(思考実験)
第五エピソード・「見る」と「見られる」・(観測者視点)
第六エピソード・原爆の少女・(質量とエネルギー)
第七エピソード・博徒な幽霊・(量子力学)
第八エピソード・優柔不断と高飛車・(不確定性定理とラプラスの悪魔)
第九エピソード・もう一匹の猫・(シュレーディンガー)
最終形の『EE』に、そのまま残っているエピソードが四つ、カタチを変えたエピソードが一つ、そして順番も全然違っています。
あとの四つのエピソードは、不運にも陽の目を見ることがありませんでした。もっとも、それらは今すぐに見せられる程の仕上がりでもなく、文章というか、文字すらもほとんどなく、ただキーワードとして挙げただけのエピソードで、相対論と量子論の各論から面白そうな『演目』を拾ったというだけに過ぎませんでした。