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AppendixEE  作者: 檀敬
Back Side(裏設定)
25/26

『裏設定』の総論

 察しの良い皆様なら、各扉の裏設定の解説からいろいろなことを閃いて、そこから縦横無尽に発想してその真実を見定めていることと思います。ですが、最後の総論までキッチリと語らせていただきます。

 この『裏設定』の総論は、最後の扉の裏設定の解説で明かした「裏設定のテーマ」に引き続き、冒頭から「裏設定のコンセプト」を開示することから始めましょう。


 では、いきなり「裏設定のコンセプト」を述べます。


『メインキャラである「天崎剣様マーサ」と「戯独堂様ドドさん」を据えて、空想科学祭が開催された「五年間」を象徴した五つの短編をオムニバスに絡ませて、更にそれぞれの短編にサブキャラである「閉伊卓司様ルドルフ」と「茶林小一様ヨーゼフ」と「黒木露火様()」と「桂まゆ様(真優子)」をそれぞれ微妙にカモフラージュしてから作中へと巧妙に忍ばせ、一部分は楽屋オチ的であるけれども空想科学祭ならではのSF風味な作品を書く』


 ちなみに、順序が逆になりますが「表設定のコンセプト」はこういうモノでした。


『人妻と猫をホストにして「アインシュタイン・エレベータ」という時空の狭間に浮かんだ空間を中心に、相対論と量子論のそれぞれの各論を揶揄した短編を展開する。特に「こだわって【アインシュタイン】で」という訳ではなく、広義の相対論と量子論を取り上げ、それらを揶揄した人間ドラマな風味を出したい』


 この表と裏の二つのコンセプトは、文字通りにほぼ表裏一体の関係になっています。

 発想の順序としては表設定が先なのですが、それを裏設定が覆い被さるカタチになっています。裏設定の『空想科学祭ならではのSF風味な』という部分に、表設定の後半部分がスッポリと含まれています。もっとも裏設定が後付けなので、当たり前といえばそうなんですが。


 そして、思い出してください。序論で述べた「九つのエピソードから五つのエピソードへ」のことを。せっかく面白くなり始めたエピソードを切り捨ててでも、九つのエピソードから五つのエピソードに絞ったのか。

 それは「裏設定のコンセプト」に示したように『五年間を象徴した』からなのです。1つのエピソードが一回ずつ、一年ごとの空想科学祭を表しているのです。

 しかし、残念ながらダディは五年間連続して空想科学祭には参加していません。最初の二年間は指をくわえて告知だけを眺めていました。実際に空想科学祭に参加したのは二〇一〇年であり、そこから三年間だけの参加です。

 ですから「五つのエピソードで五年間を語る」と言っても、それぞれの開催年のトピックを五つのエピソードが象徴している訳ではありません。ダディなりに考えた「五年を意味する空想科学祭」を表現しているのです。

 そのことをこれから解説しましょう。実はそれぞれのエピソードの解説でもそのことをほのめかしていたのですが、ここでシッカリと記述します。


 扉の前でマーサとドドさんが「空想科学祭が今年も開幕したなぁ」と呟いているシーンということになります。

 第一の扉では、何は無くともSFにも空想科学祭にも絶対に欠かせない宇宙です。ダディにとっては「太陽系の外側」と「DSWB」のリベンジの意味もありますし。執筆スタイルとしては恥ずかしながら、出来損ないのミステリであり、成り切れていないサスペンスであります。

 第二の扉は量子論で、やっぱりシュレーディンガーですから。空想科学祭にも量子論を扱った作品がありましたし。そして、空想科学祭には無くてはならない『濃いキャラクターの存在』も忘れてはいけません。それをコメディというスタイルで執筆しました。

 第三の扉は、基本的には相対論のエネルギーと質量の等価式ですが、もちろん戦争に対する揶揄的意味合いもあります。同時に空想科学祭開催中の五年のうちに発生した東日本大震災における原発事故を象徴させているつもりでもあります。

 第四の扉では、ガリレオの昔から只ならぬ因縁で絡み合っている宗教と科学とを揶揄しています。揶揄といっても小手先程度ですが。そして、執筆スタイルはその特色を活かし切れなかった問答形式で、空想科学祭でいうならば、感想掲示板とかチャットやツイッターで繰り広げられた「問答」でしょうか。

 第五の扉は、時空の相対論と次元の量子論が混ざり合ってエレベータの落下という不思議な事象の中で薔薇が大事な役割を果たしていて、スッキリと爽やかなリア充的な恋愛をダディ・テイストで綴った会心の作であると。考えてみたら空想科学祭にリア充な恋愛小説ってありましたっけ?

 最後の扉では、空想科学祭の終焉を高らかに宣言するというエンディングで締め括っています。


 いかに巧妙で綿密に空想科学祭を構想の中に練り込んでいたのかが、これでお解かりいただけたかと思います。

 ここまでの構想を練り上げた瞬間に、プロットがスルスルとつながり始め、SFのガジェットは湯水の如く湧き上がり、ストーリーは自動織機の如くドンドンと紡がれて織られていく始末。そして、坦々と文字を埋めていく作業に没頭したという有様でした。ですから「書き上げた」という達成感はほとんど無く「出来上がった」という安堵感の方が強かったというのが正直な感想です。

 以上で、裏設定の記述を終了しました。これで裏と表の両方を解説しましたが、「EE」の表と裏を知ってしまった気分は如何でしょうか?

 最後の「終論」を『ライナーノーツの終わりに』のサブタイトルで、すべてを開示した今の想いを綴りたいと思います。

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