扉の前で◇マーサとドドさん
【注意事項】を読んでご納得とご了承をいただいた上でページをめくられたこと思いますので、ごゆっくりと『裏設定』をお楽しみくださいませ。
舞台や設定のほとんどは先の章で解説しましたので、残る問題はメインキャラだけだと思います。ここはちゃっちゃとメインキャラの裏設定を解説しましょう。
後に紹介するゲストキャラもそうですが、このメインキャラも実存するキャラクターから、その「ひととなり」をお借りしてキャラの造形をしています。どうしてそうなったかと問われれば、裏設定が「裏設定」である故の「テーマ」と「コンセプト」に因ってそれらを導入することになった、というのが理由です。
特にメインキャラのお二人は重要な役割を担っていますので、キャラを形作るためのプロフィールはもとよりそのお名前からして拝借しています。とはいっても、そのままのお名前で登場させることは出来ません。ですから、お名前を変換してカモフラージュすることにしました。
最初に、愛称「マーサ」であるところの『賢木 真朝』から。
先の章で解説した通りに「ある数学的論法」を用いて、元の名前からこの名前を紡ぎ出しています。その数学的論法とは「アナグラム」のことです。アナグラムの解説をウィキペディアから引用しましょう。
「アナグラムとは、言葉遊びの一つ。単語または文の中の文字をいくつか入れ替えることによって全く別の意味にさせる遊びである」
つまりは、名前の文字をバラバラにしてその順序を入れ替えているのです。そして、ただ単に順番を替えただけでは意味不明になり、語感が悪くて読みにくくなります。意味不明になるのはともかく、少なくともある語句、この場合は名前ですが、それらしい語感である必要があります。そんな観点から、替えた後の文字列にもちゃんと由来の意味がありそうな、更に名前としての語呂が良いように並び替えたいくつかの中から選択をしました。
僕の場合は語呂が優先で、その意味については後付け、いわゆる「取って付けた」カタチになっています。
それでは、マーサの名前を元に戻してみましょう。もちろん、漢字ではありません。ひらがなでアナグラムを行いました。
「け」「ん」「ぎ」「ま」「あ」「さ」
おっと、言い忘れていました。
これはダディだけのアナグラム・ルールなのですが「濁点と半濁点は必要に応じて付けてもよい」としています。ですから、濁点を取るとこうなります。
「け」「ん」「き」「ま」「あ」「さ」
そして、並び替えます。
「あ」「ま」「さ」「き」「け」「ん」
これでお解かりでしょう。
これ以上の解説は不用だから書かないつもりでしたが、開き直ってキッチリと書かせていただきます。
四児の母であり、東北のSFの女王(仮称)でもあり、そして空想科学祭の主宰であらせられた『天崎 剣』様をフューチャリングさせていただきました。プロフィールも彼女のそれに沿って形成させていただきました。
ここまで来れば、後の説明はほとんど不要かと思われますが、一点だけはしっかりと書かせていただきます。本編でもしつこいくらいに記述している「声はアルトボイスでヒラヒラと喋るイメージ」とは、ネットでググった『菅野美穂』の声を説明した言葉だったのであります。まぁ、このことはダディがネットで騒いでいたという噂もあるので、それ以上のことは語りませんが。
続いては、ドドさんであるところの『百々 来生誼』へ移ります。
こちらも同様に、アナグラムの手法にて名前を変換しました。
「ど」「ど」「く」「う」「ぎ」
ドドさんの場合は、元々の名前に濁点が付いていたこと、そしてその濁点を取る必要がなかったので、濁点ルールの適用は不要でした。
では、いきなり並び替えます。
「ぎ」「ど」「く」「ど」「う」【注】
こちらもこれでお解かりのことでしょうが、やはりこちらも最後まで解説をさせていただきましょう。
空想科学祭二〇一〇、二〇一一に参加され、昨年の第十八回歴史群像大賞の優秀賞を受賞された「谷津矢車」様の分身であらせられる『戯独堂』様をフューチャリングさせていただきました。
この方の場合は謎が多くて秘密のベールに包まれているために、ダディも多くのことを把握しているではありませんので、このくらいに留めておくことにします。ですから、キャラ形成のほとんどは、ダディの想像、否、妄想ということになります。
甲高い声というのはご本人が出演された「リーラジ」から受けたダディの印象であり、ミントブルー(水色)の縞模様とはご本人がそんなボーダーのラガーシャツを着てそうな印象を持ったダディのイメージだけであり、ご本人のそれとは一切、係わりはありませんので悪しからずご了承くださいませ。
それから、ドドさんが「チタンブレードの長剣を持って『杖の代わり』としている」という件は、ご本人からの「人斬り、書きてぇなぁ」の一言に由来しています。要するに「何でもいいから『剣』を持たせとけ!」ってな勢いで小道具を用意したという訳ですね。
それで、このお二人をフューチャリングしたのはどういう理由からなのか。
それは、お二人が「ファンタスティック・ラジオ」に出演されたから……というのは嘘です。「ファンタスティックラジオ」が公開されたのは、空想科学祭の掌編・短編部門が締め切られてからおよそ三週間ほど後のことなのですから。
強いて挙げるとすれば、表設定で書いたように「一人は『酸いも甘いも宇宙も知り尽くした人妻』であり、もう一人は『豊富な知識を駆使してペンという武器を振る男』であるから」とでも申しておきましょう。
それに、一人は空想科学祭の主宰であり、一人は空想科学祭において非公式ながらオブザーバー的存在であったので、メインのキャラに据えるには打って付けだろうという思い込みがありました。
誰でも良かった(おいおい!)のだけれども、これほどのキャラの造形と造詣に事欠かない人物はいなかったというのが、現在これを書いている着地点である今の、偽らざる気持ちです。
そして、このお二人だからこそ、裏設定の総論で語られる「テーマ」と「コンセプト」へとつながっていく訳なのです。
お二人には大変なご迷惑だったでしょうが、これも運命であったと諦めてくださいませ。そして、苦情等は一切却下ですのでご了承くださいませ。
【注】
ご本人様よりご指摘がありましたので、脚注にて断り書きをさせていただきます。「戯独堂」様のフリガナは『げどくどう』であり『ぎどくどう』ではないということでした。ダディはツイッターで戯独堂様に返信をさせていただく際に、漢字変換において「げどくどう」とはタイプせずに「ぎどうどう」とタイプしていたために、スッカリそれで誤認していたようです。
「戯独堂」様は『空想科学祭の終焉に立ち会うキャラクターとして使ってもらって嬉しい』とおっしゃっていただいた上に『「【げ】でも【ぎ】でもいいみたいです」とでも書いていただければ、お詫びも御遠慮いたします』ということも言っていただきましたので、ガジェットの都合上、本編の『EEアインシュタイン・エレベータ』もライナーノーツの『AppendixEE』も訂正を行わないカタチとし、脚注にての断り書きとさせていただきました。
という訳で、ご本人様はともかく(おいおい)関係者各位様に対しましてご迷惑をお掛けしましたことをここでお詫びさせていただきます。