序文
この度は、空想科学祭FINALに参加させていただいた拙作『EEアインシュタイン・エレベータ』をお読みいただき、ありがとうございます。また、空想科学祭FINAL・企画サイトの感想掲示板にたくさんの感想の書き込みをいただき、そのことにも感謝申し上げます。更にまた「EEアインシュタイン・エレベータ」を解説した『AppendixEE』もお読みいただこうとしていることに重ねてお礼を申し上げます。
どうして「EEアインシュタイン・エレベータ」を解説した『AppendixEE』を書く気になったかということを、手短に解説したこの文章をもって『AppendixEE』の序文にしようと思います。
空想科学祭FIANALの感想掲示板にいただいた感想の中には、オチがよく解らなかったとか、面白かったけど理解出来なかったというお言葉をいただき、正直に言うと「さもありなん」と思っていました。実は、巧妙にカモフラージュした『裏設定』が存在するからです。幾人かの方はそれを見抜いて感想でほのめかしていらっしゃるようでしたが、ハッキリとは解らない様子でした。それはそれで「してやったり」という想いでした。
実は僕が「してやったり」と考えていたのは『裏設定』のことばかりだったのですが、いただいた感想をよく読むとどうやらそればかりではない印象でした。どうやら『裏設定』だけではなく『表設定』も充分に理解していただけていない様子が判明したのです。『表設定』とは『EE』がSFたるところの、相対論や量子論のSF的なガジェットのことで、それがイマイチ解り易く上手に書いていなかったせいで、皆様に「消化不良」を生じさせたみたいです。
元々『裏設定』については「実はこんな風になっていたんですよぉ」と公表するつもりでした。それは一部分を除いてほとんど本文中では表現していないので、それを理解していただいたのなら凄いことなのですが、恐らく解っていただいていないだろうという憶測的な推測の判断からです。しかしながら、SFのガジェットが理解されていない様子を鑑みるに「『裏設定の公表』だけでは足りないのではないか」という気持ちになりました。
本来なら、こういった設定は本文中で説明されて然るべきことであって「それを含めての本文」で勝負しなければいけないことだと思っています。ですが、今回は『裏設定』のこともあり、この際だから『EE』の全てを語ろうと、ライナーノーツである『AppendixEE』を書くことに決めたのです。
このような余分な解説は不必要だと思われるでしょうけれど、そうではなくて「ダディはこんな風に考えて『EE』を書いた」というプロセスまでも楽しんでもらうという趣旨で書きました。
ただし、ダディの勝手な理論で展開していくこのライナーノーツなので皆様の趣味や趣向に合うかどうかは判りませんので、嗜好が同期した上でご都合がよろしければ以下に記した文章にお付き合いいただければ幸いです。
追記として、空想科学祭終了後三ヶ月を過ぎたこの時期に、どうして「今更な雰囲気」で公開に踏み切ったのかという理由を書いておきましょう。それは充分に他意があって、それは単に「熱りが冷める」のを待っていただけ、ということなのだと記しておきましょう。