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タイトル未定2026/10/17 22:02

モルモットは暗い自分を変えようと変身する。しかし性格を偽って友だちをだましてしまう。果たしてクラスになじめるのか。

モルモットは下駄箱に着くと上履きを履いた。そのとき

「おはよう。」


「おはよう。」

朝の挨拶を返した。

おずおずと席に着くとぼんやりした。

「友だち、できるかなぁ。」

春、クラスがえのときだった。

去年は馴染めず寂しい思いをしていた。今年こそはと奮い立っていた。

「モルモットくん、席がとなりになったわね。よろしく。」

猫が話しかけてきた。

モルモットは赤くなった。

そして緊張のあまり

「何でも任せて。ぼくがなんとかするから。」

大口を叩いてしまった。


猫は

「ありがとう。」

と言うと押し黙った。

音楽を聴いているようだった。


「あっ、あの。フラミンゴさん。ちょっと消しゴム取ってくれますか。」

 

フラミンゴはくちばしでゆっくりと消しゴムを拾うとモルモットに渡した。


「モルモットくん、よろしくね。」

何か今年はみんな優しい。

暗い性格のモルモットにも馴染める気がしてきた。すると気持ちが一気に明るくなった。


「フラミンゴさんもぼくを頼ってね。何でもできるから。」

また大口を叩いてしまったのだ。


「モルモットくんはマンガとか読まないの?」

「読むよ。」


「『華麗なるフラミンゴ』とかは、好き?」

「うん、読むよ。」


会話は貧困になりがちだった。

その日からいつも一緒に行動して、ふたりは親友になった。


そうして平坦な日々は幸せに続いていった。

「モルモットくん、頼れるのよ。」

「よう、モルモット。きみ、頼れるアニキなんだって?」


「そ、そうだよ。何でも知ってるよ。」

クラスでは頼れるアニキとして有名になっていた。


そんなある日

「今日はみんなに転校生を紹介する。」

「ウサギさんだ。挨拶するように。」


「ウサギです。趣味はかじることと、詩を書くことです。みなさんどうぞよろしくお願いします。」


ウサギは丁寧に挨拶した。


かじることは楽しいなとモルモットは共感した。


「ねえ、転校生に話しかけてみようよ。」


フラミンゴはモルモットに体当たりした。そしてウサギに向かった。こうゆうときフラミンゴはかっこいいなと尊敬する。


「ぼく、ウサギ。よろしくね。」


「私はフラミンゴよ。仲良くしましょう。」


「ぼくは、モルモットです。よろしく。」


こうしてふたりも友だちができたのだ。毎日がバラ色だった。

モルモットもフラミンゴも休みグセがあったが、毎日必ずどちらかがいた。

それに猫への恋心もあった。


ただ、頼れるアニキだったら。


窓の外を頬づえで見ていた。

ペンを回しながら。

するとウサギが話しかけてきた。

「今度、詩のボクシングに出るんだけど、モルモットくんもこない?」


「えっ。ぼくも鼻歌とかで詩を書くよ。」


尊敬のまなざしで言った。


次の週末、ふたりは詩のボクシングへと向かった。


会場ではボクシングのリングがあって、お題を出されてそれに沿った詩を即興で声に出すというものだった。


カァン


ゴングが鳴り響くと、カエルが歌うようにつぶやき出した。

「ぼくの、恋人は雨のようなひと。」

そして締めくくられた。

わあと会場が騒いだ。


ウサギの番だ。


カァン


「歯牙ないですが、歯牙ないですが、歯牙ないですが。」


会場は熱狂の渦となった。


ウサギは予選大会を勝ち進んだ。


「すごいよ、ウサギさん。」

「ありがとよ。」

ウサギはハアハアと息をしていた。


「今日という日を決して忘れないよ。」

モルモットは尊敬のまなざしでそう言った。


ウサギとの会話は弾んだ。

モルモットは鼻歌で

「ぼくは、孤独なモルモット。」

詩を作るとウサギはいい味だしてるねと言ってくれた。


夏休みが過ぎるとウサギはおばあちゃんが亡くなって北国に帰っていった。

あとには空席があった。

モルモットは落ち込んだ。

頼れるアニキでいても仕方ないと、アピールをやめた。


「最近、モルモットくん頼りないのよ。」

「ショックだったのかな。」


心配して猫が声をかけてきた。

「モルモットくん、気を落とさないで。また会えるわ。」

モルモットはうなずいた。


「モルモットくん、本当は頼れるアニキなんて嘘だったんじゃないかい。」

キツネがたずねてきた。

「えっと…その。」

モルモットは口ごもった。


「モルモットくんは、落ち込んでいるのよ。」

猫が言った。


「モルモットくんは猫のこと好きだったんじゃないかい。だからだましたんだ。」

モルモットは赤くなった。


「ワン!モルモットくんの嘘つき。許さないワン!」

イヌが吠えた。


「ぼくはただ、友だちが欲しくて。」

モルモットは半泣きになった。


「そういえばフラミンゴさんのときだけ話せなかったのにウサギさんのときだけペラペラ喋ってたな。」


「それは、違うよ。」

モルモットは弁解した。


クラス中が大騒ぎになった。


モルモットは嘘つきのレッテルを貼られ、秋も深まった。


「モルモットくん、頭がいいんだもんな。だまされたよ。」

クラスの目は冷たかった。


フラミンゴはモルモットのそばにはいなくなっていた。

アヒルと『華麗なるフラミンゴ』の話をしているようだった。


モルモットはひとりで鬱々と過ごしていた。詩集を読んだり、図書室に行ったりしていた。

いつものことだと割り切れた。


「モルモットくん、私に詩集借してくれるかな。」

図書室で、ハムスターがたずねてきた。

「宮沢賢治の童話好きなんだ。」

無邪気にそう言うと

「モルモットくんって、クラスに馴染みたかったんだよね。」

と笑った。


「ぼくは、ただ寂しくて。」

「…やっぱり、複雑で。」

モルモットはさめざめ泣いた。


「モルモットくんを仲間に入れてくれないかな。」

休み時間、クラスのみんなにハムスターがこう言った。


「モルモットくん、ぼくたちをだましたんだぞ。狡猾な奴だ。」

タヌキが言った。


「モルモットくん、ずっとひとりぼっちだったの。今年こそはと勢い込んでたのよ。」

「仲間に入れてあげよう。」


「そういえばモルモット、影が薄かったな。」

みんなは顔を見合わせた。

「よし、仲間に入れてあげるか。」

イヌはそう言ってモルモットの肩を叩いた。

「ウサギさんのことつらかったね。

元気出してねワン。」

ワンワンと吠えた。


「モルモットくんは、猫さんのこと好きなのかい。」

キツネは疑り深く聞いた。


「ぼくも猫さんのこと好きだったんだぞ。」

鹿が言った。


すると

「ぼくは、猫さんのこと好きだよ。かっこいいと思ってる。」

モルモットが告白すると


「私、モルモットくんみたいな小動物お断り。」


「デザインとかやってる人と歩んでゆきたいの。」

猫は更にそう付け加えた。


「歳上の彼氏もいるわ。」

「ごめんね。」


モルモットはハンカチを噛んだ。


春になって卒業の季節になると、みんな巣立った。

モルモットは初恋の詩を書いて市の文集に載り、高校では文芸部に入り物思いにふけるのだった。


今日という日は絶対に忘れないよ。

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