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桎梏の森 ー追憶は眠りの底でー  作者: 月宮 碧斗


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9/16

橋野一家殺人事件

いつもご覧いただきありがとうございます!

ここまで伏線をいくつか散りばめてきました!

夢の正体とは?シャイニングヒル失踪事件の真相は?

展開予想、感想なんでもお待ちしております。

「全てを話します。僕はこの本に全てが書いてあります。」

 澪は黒い肩掛け鞄から一冊の本を取り出した。

「僕は小さいころから脳科学に興味がありました。父親が脳外科医なこともあって、昔から勉強はよくさせられていたんです。脳科学を突き詰めていく中で一冊の本に出会いました。『異世界の生き方』という本でした。」

 佑介と藍那が目を合わせる。先日彼らが読んでいた本だ。

「あの本、誰が書いたか知っていますか?八木孝という脳科学者です。特に見覚えがあったり、なじみがある名前だったりしない限り、そこまで著者に着目するかは分かりませんが...。実はその本、続きがあるんです。それがこの『濫觴世界(らんしょうせかい)』。」

 濫觴世界。佑介も藍那も聞いたことのない名前だった。

「『濫觴世界』は、『異世界の生き方』という本で紹介された内容をより細かく研究されたものになります。しかし、この著者、八木ではないんです。」

 サークルメンバー全員が澪の話の虜になって、濫觴世界と書かれた本の著者に目を向ける。

「橋野...茂...」

 佑介が声を漏らした。

「そう、橋野茂。脳科学者八木孝のいわゆる後輩に当たる人間です。八木孝は『異世界の生き方』を著した数年後に病に倒れ、この世を去りました。しかし、彼はまだ研究し尽くせていなかった。夢を自分のものにするにはまだまだ十分な内容ではなかった。それを受け継いだのが、橋野だった。そして彼は橋野一家殺人事件で死亡した一家の父親に当たる人間なのです。」

「つまりそれが意味することは...?」

「はい。彼ら一家の死因は不明。つまり、誰かに殺されたわけではない。殺人事件でもなんでもなかったのです。彼らは、異世界へと飛び込み、こちらの世界に戻ることができずに死亡したのです。」

「続編を担当したとしても、それが死因の直接的な根拠になるわけではないんじゃ...?」

 海翔が口を挟むも、澪は首を横に振った。

「後書きにも、彼のブログにも書いてあった。彼は彼自身でこの方法を試す義務があると。『濫觴世界』だけでは足りない何かがあったのでしょう。自分の体験を通して新たな発見がほしかったのだと思います。」

 そのとき、黙って聞いていた藍那が口を開いた。

「待って。その事件、橋野茂は奥さんと一緒に遺体でみつかったんですよね。奥さんも一緒に同じ夢へ飛び込んだ可能性はありませんか?」

「ああ...君はもしかして『ドリームクルーズ』を読んだのかい?」

 藍那は深くうなずいた。

 読み終えたのは、今朝の話だった。間違いなく、佑介にとっても彼女にとっても有益な内容だった。ドリームクルーズは文字通り、夢を旅することである。が、単に夢をみることを意味するのではなく、夢を見ている人の近くで眠りに入ることにより、他人の夢の中に飛び込むことができる可能性があるというものだった。けれども、この方法は成功率が非常に低く、実際に成功する人はほとんどいない。また、成功していても夢を忘れていることが多く、そのほとんどはドリームクルーズの成功に気づかない。佑介を悩ます森の悪夢が、彼にとって重要な意味をもっていることは言うまでもない。しかし、その運命的なタイミングで彼に出会うことができた藍那自身にとっても、平穏な生活に機転を与える何かへの遭遇を示しているのではないかと信じずにはいられなかった。愛した父に出会えるような気がしたから。

『ドリームクルーズ』の概要を澪が説明すると藍那が即座に続けた。

「佑君あのね、私もあなたの夢ヘ行きたい。あなたとなら乗り越えられる気がする。」

 彼女の目は本気だった。真意のすべてを汲み取れたわけではない。けれど、断ることだけは許されない――そんな無言の圧だけが、確かにそこにあった。

少しでも続きが気になった方、興味を持っていただけた方は評価していただけると嬉しいです。

モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いいたします!m(_ _)m

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