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桎梏の森 ー追憶は眠りの底でー  作者: 月宮 碧斗


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藍那

いつもご覧いただきありがとうございます!

 私の小さいころからの夢。父に会うこと。

 数年前に父は他界した。それが私のオカルトへの興味を加速させたのだ。

 昔から怖い話や心霊現象には興味があり、テレビ番組を見つけては予約して何度もみたり、図書館にこもって心霊にまつわるストーリーを読みあさったりしていた。彼の死因、それは。シャイニングヒルでの失踪。

 今から二十年ほど前、シャイニングヒル失踪事件が起きた。成瀬花菜という少女がキャンプ中に失踪し、両親が捜索願を出したものの、手がかりは一切みつからずだった。私の父親は昔から正義感が強い警察官で、この事件の時も実際に近くまで調査した経験があった。そんな彼は、私にだけ言ったことがある。

「成瀬花菜と言われる少女をみたような気がする。」

 公になれば、ニュースになるような話であろう。しかし、彼にとってもみたかどうかあいまいな記憶で,

 仕事の疲れからきた錯覚だと思ってしまった部分もあったのかもしれない。

「桃色のシャツを着たショートボブの女の子。まさにニュースで報道された情報と一致している。」

 紛れもなく花菜という少女に似ていたらしい。シャイニングヒルは都市を少し離れた山奥にあるキャンプ場だ。その近くにある川付近で彼女らしき人物を見かけたのだが、気づいた次の瞬間には姿を消していたらしい。

 正義感の強い彼は、休みの日に一人でその山へ出かけることが多くなった。そしてある日、突然帰ってこなくなってしまったのである。私は事故ではないと確信していた。遺体のみつかっていなかった成瀬花菜同様、父の遺体も全くもって見当たらなかったからである。なにか、神隠しが起きている。私がこの謎を解明し、父を助けたい。父にもう一度だけでいいから会いたい。

 そのためには夢を利用するしかなかった。しかし、夢に父が現れることは全くなく、消えてしまったあの日から彼の姿をこの目で見ることができないでいる。その日からというもの、私は金縛りや正夢を中心に夢に関して猛勉強した。その結果出会った本が、佑介に手渡した『異世界の生き方』である。

 この本にかいてあることが真実なら、父の夢さえみることができれば、彼の住む世界に飛び込める。なんとも興味深い話だった。そんな中、SNSで自分の大学でオカルトサークルがあることを知った。代表、田辺佑介。橋野一家殺人事件とシャイニングヒル失踪事件をメインに研究?!私にうってつけであった。

 私の父がシャイニングヒル失踪事件に関わっていたことは誰にも言わないでおこう。彼らに変な誤解を想像をさせてしまうかもしれないから。

 彼に話しかけた次の日には、サークルに顔を出すことにした。こういう経験は慣れていて、さほど緊張はしなかった。早朝、散歩しながら薄い空気を堪能し、カフェでホットコーヒーを一杯。苦味が思考を活性化させるような気がして、ブラックが最近のお気に入りだ。昨日佑介に渡した本とは別に、最近みつけたお気に入りの本を取り出し、テキパキと読み進める。この『ドリームクルーズ』がこの先の人生を変えるとも知らずに。


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