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大根と王妃①  作者: 大雪
第二章 大根王妃登場
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第1話 大根王妃登場

すいません、現在改訂版と内容を入れ替えております。

 みんなは愛を叫べるものがあるだろうか?

 自分にはある。

 時に裏方、時に脇役、時に主役に君臨する世界の――大根。

 その白く艶めかしい裸体を、惜しげもなく晒す様に、みんな黄色い声で大絶叫。

 賛同者はごく一部?のんのん!!

 今はごく一部でも、きっと千年後にはみんな大根への愛に酔いしれている、筈!!

 十三の世界からなる神々の楽園――天界十三世界。

 その一つ――炎水界にある大国と名高い凪国(なぎこく)の片田舎に、その少女は住んでいた。

 手慣れた様子で農作業服を着込み、輝く鍬を片手に自慢の畑へと突っ走る。

「待ってて!! 愛しいマイ大根!」

 産まれも育ちも農家。

 将来の夢は大根・農家のお嫁さん。

 彼女にとって、畑は正しく聖地であり、埋まる白き大根は、彼女の命!!

 その命が彼女の来訪を待ち望み、飛び込む事を誘っている。

「大根大根! くぅぅ! 今日はもう大収穫祭だわ!!」

 生まれて数百年。大根以上に自分を熱くするものは居ない。

 あの白く艶めかしい大根の誘惑に、果竪(かじゅ)は抗えなかった。

 ああ、大根、大根こそ世界の神、大根の為ならば死んでも悔いはない。

 頬を赤らめつつも、大胆なセクシーポーズを見せつける大根の姿に、果竪は悶え死にしそうになった。

 その様が、もはや通報レベルであるという事にも気づかない。

「今行くわ、私の愛しい大根達!!」

 野菜は好きだが、自分の愛する大根には誰も勝てまい。

 大根に抱かれる甘美な夢に酔いしれつつ、畑へと爆走していく。

「お待ち下さい」

 耳が音を感知した時には、足かけされた体は畑の中に突っ込んでいた。

果竪(かじゅ)、 先程王宮から連絡がありました……泳ぐのは水の中だけにして下さりません?」

「誰のせいよっ!!」

 見事に畑と更なる親交を深めてしまった果竪は、自分を見下ろす相手を睨付ける。

 だが、当の本人は、その睨みに対して笑みを浮かべるだけだった。

 明燐(めいりん)――それが彼女の名であり、果竪の親友の名でもある。

 が、親友と言うにはあまりにもその姿は『月とすっぽん』。

 どっちが「月」でどっちが「すっぽん」なのかって?

 そんなのは言うまでも無い。

 十人並みの果竪とは違い、明燐の白百合を思わせる花の(かんばせ)は、この国一の美姫として名高く、悩ましい蠱惑的な曲線が描く美は、同性ですら羨望しかない代物。

「何か?」

「ナンデモナイデス」

 共に神として生きてきた数百年。

 人間で言えば十七歳だが、その美貌もスタイルも完全に反比例していた。

 近くの池を覗けば、自分の平凡な顔を見る事が出来るだろう。

 雀斑の浮いた低い鼻、白さとは無縁の肌に体付きは寸胴の一言。

 背中の中程までの暗青色の髪は、泥と埃で艶もなし。

 それに引き替え、明燐の朱色の髪は見事であり、初めて見た時には思わずその美しさに目を奪われた。

「はぁ~~」

 溜息混じりに解れた髪を引っ張れば、明燐の優しい笑い声が聞こえてきた。

「で、王宮がなんだって?」

「まあ、いつもの件でしょうね」

 明燐は肩をすくめた。

「という事ですから、早く屋敷に戻りましょう。このままでは、着替える前に使者の方が先に到着しますわよ?」

「体調不良で」

「嫌です」

 皆まで言わせず、明燐はにこやかに切って捨てた。

「嫌?! 無理じゃなくて嫌?! あんた仮にも私付きの侍女長でしょうが!!」

「だからこそ、主の間違いは正さなければならないのです」

 至極真っ当な意見だが、素直に納得出来ないのは何故だろう?

「ってか、何でいつも良いときに来るのよ!! 」

「嫌なら、さっさと使者の申し出に応じて下さいな」

「んなっ?!」

 衝撃を受けた様子の果竪に明燐は溜息をつく。

「そもそもこんな事態に陥っているのは、果竪が此処にいるせいだと思いますけどね」

「そ、それは……」

「では戻りましょう、さあ着替えましょう」

「だからいやだって」

「………この畑も緑が多くなりましたね」

 はっ?! このままじゃ燃やされる!!

 笑顔を浮かべてはいるが、その手に持っている燐寸は明らかにやる気だ。

「戻って着替えをしますわね?」

「……はい」

 長いものに巻かれる時も必要だ。

 でも私は誓う。

「絶対戻ってくるからね! 愛しい」

「煩いですわ」

 べしんと殴られ強制的に黙らされた。


すいません、少しずつ内容入れ替えてるので前後がおかしいと思いますが、ご了承下さい!!

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