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人助け

  この時間なら、海岸の清掃ができそう。

そのまま、駅までダッシュして電車に乗った。

電車の中では、今日出会ったちょっと変わった人たちのこと、特に前会長のことを思い出して微笑んでしまった。生徒会も面白いかも。

5時半過ぎに、家に着くことができた。

 そのまま着替えて、ごみ袋と軍手をもって砂浜に向かった。

まだ明るい。

これなら、30分ぐらいはごみ拾いができるかな。

空き缶、紙ごみ、たばこの吸い殻、プラスチックごみ、ペットボトル。

砂浜のごみを一通り拾ったところで、日が沈む。

「夕日、綺麗ね。」突然、隣で声がした。

「田中先生。いつからいたんですか?」

「ハイこれ。」そう言って、先生は、ごみの入ったビニール袋を渡してくれた。

「ありがとうございます。」

「こちらこそ。今日は、ありがとう。助かるわ。君のような生徒が私のクラスにいてくれて。

あなたもここで、サーフィンやってるの?」

「やってますね、毎日。5時過ぎから、飽きもせず。」

「上手なの?」

「下手です。まだ、波と話ができないです。」

「そう。あんまりサーフィンに熱中しすぎて遅刻しないでね。じゃあ、また来るわ。」

「先生も、夕方だと年の割に若く見えて綺麗ですよ。」

「唐突ね。くどいても駄目よ。こう見えても旦那がいるから。それともテストの点が悪かった?」

「そうでしたか。残念。テストは、たぶん大丈夫ですよ。」先生は、そのまま海を見ていた。

「ねえ、あそこ何か浮いてない?」

「そういえば、さっき誰かサーフィンをしていたような。」

「あれ、ボードですよ。」

「先生、すみません。とりあえず警察と救急車に連絡してください。」

 そのまま、僕は、海に飛び込んでボードが見えたところまで泳いでいった。

白いボードでよかった。

でないと、これだけ暗くなると、どこにボードがあったかわからなくなる。

 そのボードに座って、周りを見渡したが、近くに人がいる感じがしない。

「やばいな。この辺は、引き潮の流れが速いし、死んでも浮いてこれないぞ。早く見つけなきゃ。」

 そばには、リーシュコードが、浮いている。

「あれを命綱にして、潜るしかないか。あの下にまだいてくれよ。」

僕は、それをつかみながら海の中にダイブした。これだけ暗いと手探りで探すしかない。どうか、見つかりますように。

1メートルぐらい潜ってところで、何かが手に触れた。見つけた。海面までそれを抱えて浮き上がり、とりあえずその体を何とかボードに乗せることができた。

もう死んでるかもしれないけどとりあえず、砂浜まで運ぼう。

 タイミングよく大きな波が来てそれに乗るようにして、何とか砂浜まで辿り着くことができた。

すごく長い時間がかかったように思ったが、5分ぐらいしか立っていなかった。

砂浜に近づくと田中先生と曾祖父がすぐに運ぶのを手伝ってくれた。

息をしていない。慌てて僕は、彼の気道を開くようにして人工呼吸をした。夜じゃ、顔の色もわからない。生き返ってくれ。

しばらくして、彼は、海水を思い切り吐き出してくれた。

良かった。息を吹き返した。

 その時、ちょうど救急車の赤色灯が近づいてくるのが見えた。

彼は、意識のないまま救急車で運ばれていった。

10分ぐらい呼吸が止まっていたかもしれない。

脳に支障が出ないといいけど。

 救急車を見送ってから、僕と先生は、警官が彼の荷物を探すのを手伝った。

しばらくして、警察の人が、両手に彼の荷物と思われそうなものを抱えてやってきた。

「こんな遅くまで、ありがとうございます。さっき、無線連絡が入って意識を取り戻したそうです。」

「よかった。」先生と僕は、そろって肩を撫で下ろした。

「先生、どうします。うちで、ご飯食べていきます?大したものは無いけど。」

「そうね、安心したらおなかがすいてきたわ。お邪魔しようかしら。」

 家に帰ると、救急車が帰ってから、すぐに家に戻っていた曾祖父が迎えてくれた。

「ご無沙汰してます。覚えてますか?」

「久しぶりじゃのう。海人の担任の先生じゃろ。」

「今は、優斗君の担任です。」

「ほう、なんか繋がっとるな。これも海人の導きかのう。ご飯でも一緒に」

 その日の晩ご飯は、曾祖母も含めて3人で、亡くなった父親の思い出話で盛り上がった。

 ほとんど、僕の知らないことだったけど、父親のことがわかってちょっとうれしかった。


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