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異世界転生したら魔王でした  作者: アブラゼミ
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第四十四話「魔王の里帰り」

 魔王になって息子が帰ってきた。

正月の里帰りだそうだ。

2人の兄と比べて出来も悪かったし、「もう子供はいいか」と妻と話していた頃にできてしまった望まぬ子だったので、最低限の事だけしてほぼ放置してたし、いなくなった時はかかる学費や食費が減って助かったと正直思っていたのだが、まあ実の息子なだけに生きていると知ってホッとしたのは私も妻も一緒である。魔王になったと知った時はさすがに驚いたが…


「息子よ、これは何だ?」

「プリンです」

「フム……まあ頂くとするか」


 息子が持ってきた得体の知れない食べ物だったが、食べてみると意外とおいしくて驚く。魔王国で販売しているそうだ。

魔法使いとしてはあまり成長してなさそうだが、魔王とはいえ一国の王、しかも商売も中々うまくいっているという点では出来の悪かった末っ子にしては上出来である。いつもクリリちゃんの魔法の実験台にされていたこの息子がな…

久しぶりの魔法の里で、昔なじみと話したり里をブラブラしていた息子だが、我が家が落ち着くのかここ2、3日は家でのんびりしている。


「して、息子よ」

「何でしょう」

「お前ももう23だろ? 誰かいい人はいるのか?」


私に似て顔はそこそこ整っている息子だが、まあ大した事ない男だからそんな相手いる訳…


「…はい、結婚したいと考えている相手がいます」

「マジか」


 前言撤回。

これはこれでそれなりの人生を送ってきたようだ。ただまあ…


「息子よ、男は諦めが肝心だぞ」

「断られる前提かよ! …まあ一度プロポーズしたけど断られた事あるんですが」

「マジか」


 この息子にしては中々波瀾万丈な人生を送ってきたようだ。まあ断られてる辺りがこの息子らしいのだが…


「息子よ」

「何でしょう」

「お前、まだ童貞であろう」

「違います」

「フム…」


 ウソが吐けない性格な上、ウソを吐くのが下手な息子なだけに本当の事を言っていると察する。まあどうせ、大人なお店で卒業したとかであろうが…

それかあのクリスティーナとかいう美人秘書か? いやでもそれはないか。あれだけの美人、凡庸な息子には釣り合わなさすぎる。

『息子さんを下さい!』とか『私のお腹には魔王様のお子が…』とか言っていたけど、息子が誤解だとかアイツはちょっとアレなんだとか言ってたし、きっとどこかで頭をぶつけたに違いない。かわいそうに…


「息子よ」

「何ですか?」

「久しぶりにマージャンでもするか? ユーリとフウキを呼んで4面で」

「やりましょう」


 出来の悪い末っ子と違い、すでに家庭を持って独立している長兄と次兄を呼んで4人でマージャンをする。

息子は私と長兄と次兄をコテンパンにして勝った。

相変わらずマージャンだけは無駄に強い。まあ、実生活には何の役にも立たぬ特技だが…

5日間の里帰りを終えた息子は、妙な乗り物に乗って帰って行った。

息子よ、きっと一生独身素人童貞であろうが強く生きろよ。

私はあまり期待してない息子を見送って仕事始めに備えた。

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