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異世界転生したら魔王でした  作者: アブラゼミ
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第三十九話「走馬灯」

「…ただいまー」


 誰もいない部屋に、俺の声がこだまする。

時刻は夜3時半。

もう朝に近いと言ってもいいくらいの時間だ。


「あー…もう何も食べる気がしない」


 冷凍庫を開けようとして、断念する。

重い体を引きずって、何とかシャワーを浴び布団に倒れ込む。

明日も朝6時出社だ。よくこれで生活できてるなと思う。

いや、生活はできてない。

洗濯は2日に一度、近所迷惑にならないようタイマーで洗い帰ってきてから洗濯機の底で絡まってしわくちゃになっている服を干している。

食事は大体コンビニ飯で、最近はコンビニに寄る元気もないので買い置きできる冷凍食品かスナック菓子ばかり。

風呂も湯船に浸かったのなんてもう何ヶ月前か分からない。

衣食住が完全に崩壊していて限界寸前だ。

唯一の楽しみは、寝る事くらい。

俺はアラームをセットして…


「……ウ~ソ~だ~ろ~」


 上司からの着信に、俺は嘆きの声を上げる。

何でこんな時間にかけてくるんだよ。この人いつ寝てんの? もう勘弁してくれよ。

しかし出ないといけない。

出ないとまた怒られる。

俺は電話に出ようと…


「……あれ?」


 手が、動かない。

視界も歪んでいる。

頭が、割れるように痛い。

そのまま俺の視界はブラックアウトし…




******************************




 俺は、暗闇の中にいた。

試練に挑み失敗してからどれくらい経ったのか。

たった30分前の事のようにも思えるし、もう何ヶ月前の事にも思える。

身体の感覚も時間の感覚も曖昧で、俺の存在は浮かんだり沈んだりを繰り返しながら闇に呑まれていく。

さっき見たのって、前世の最後の記憶だよな。

俺、あのまま死んだんだろうな。

よく生きてたよな。あんな無茶苦茶な生活で。

走馬灯って奴なんだろうな。

死んだように生きてた前世の記憶を受け継いで、異世界に転生したのにまた死ぬのか。

…あんまりいい事なかったなあ。チート能力もないし、特別優れた能力もなかったし、クリリにもフラれたし…

俺、このまま死ぬのか…

それはちょっと、やだな…


『 』


 何かの声が聞こえる。

聞き覚えのない声だ


『 』


魔王? 魔王って言ったこの人?


『 』


闇の魔王? 魔王なの? 闇の魔王なの? どっちなの?


『 』


ああ声の主が闇の魔王で、俺が魔王なのね。…ちょっと待て、誰が魔王だって?


『 』


 はあ、つまりここから助かりたかったら魔王になれって事ね。

…ちょっと考えさせてもらってもいいですか?


『 』


 ダメ? 今すぐ決めろ? えー、そんないきなり言われても…魔王とか世界征服とか言われてもどうすればいいか…


『 』


 あー、はいはい! 分かりました! 分かりましたから! なる! 魔王になります! 何か世界征服できる方法考えますから見捨てないで下さい! お願いだからここからいなくならないで!


『 』


 闇の魔王から何かが受け渡されれる

それを受け取った俺の身体に、力がみなぎるのを感じる。

こうして俺は、魔王になった。




******************************




「うっ…」

「魔王様! しっかりしてください! 魔王様!」

「…ううっ」

「ああどうしよう! 一体どうすればいいんだ! ヘレナを呼ぶか!? 心臓マッサージか!? それとも……人工呼吸か!!?」

「…」

「これは人命救助のためであり決してやましい気持ちはありません! 魔王様、いただきまー…」

「クリスティーナ」

「…お目覚めしちゃったんですか、魔王様」

「ああ、少し前にな」


 痛む頭をさすりながら、俺は身体を起こす。

少しふらついたが、クリスティーナが支えてくれて助かった。

クリスティーナに礼を言いながら、俺は何があったのか段々思い出してきた。

いつものようにクリスティーナの求婚から逃げていたら、クリスティーナのラブラブアタック(物理)が俺を直撃して転んで壁で頭を打ち…


「そうか、この頭の傷はお前のせいでできたんだなクリスティーナ。…『ヒール』!」


俺は頭の傷にヒールをかけて治した。


「さすが魔王様です。では、私はこれで…」

「クリスティーナ」


 俺は何事もなかったように立ち去ろうとしたクリスティーナを呼び止める。

そして、罰を宣告した。


「地下牢行き」

「えー、またですかー…」


 不服そうにしながらも、クリスティーナが俺に背を向けて手を後ろに組む。

俺は魔法で縄を取り寄せクリスティーナを後ろ手に縛り上げる。

そのままクリスティーナを地下牢まで引っ立てていき、檻の中で吊して鍵を閉めた。


「じゃ、後は頼んだ」


ハカセ特製の門番ロボに魔力を注入して後を託し、俺は地下牢を後にする。


「魔王様! 放置プレイもよいですが縛りプレイも…!」


 何か言っているクリスティーナを置いていき、俺は地下牢の扉を閉めた。

まったくもう! アイツ反省してないな! 縛られる時も引っ立てられる時も吊される時もハアハア言ってたし! もうアイツ、国に帰したい!

クビにしようにもクビにできないし、テレポートが効かない困り者の秘書に頭が痛い。

いなくなったらいなくなったで困るだろうしなあ…

魔王城地下牢。

城のリフォームのついでにリノベーションしたそこは、これまでクリスティーナにしか使われていないクリスティーナ専用懲罰房になっている場所である。


「魔王様ー! お仕置きするなら私の身体に…」

魔王軍幹部 好きな食べ物


魔王 卵サンド

クリスティーナ ワインとそれに合う物

ミノさん 寿司・豆腐とわかめの味噌汁

マキシム リンゴ

ティル 風呂上がりの牛乳

ガーさん チョコレート

エリザベス コーヒーと卵サンド

ハカセ 麺類

クロカゲ 特にない

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