第三十二話「マージャン大会」
「マージャン大会やろうぜ、魔王」
「マージャン大会?」
オレの提案に、魔王が小首を傾げる。
「そうだ。誰がマージャン魔王国最強かを決めるマージャン大会だ。今月のレクリエーションにやろうぜ」
「フム…、面白そうだな。クリスティーナ、どうだ?」
「いいんじゃないですか? マージャンは結構流行ってますし、盛り上がると思います」
「決まりだな。じゃあ今回はマキシムの案を採用って事で、今月のレクリエーションはマージャン大会で決定だ」
「よっしゃ!」
魔王の言葉に、オレはガッツポーズを決める。
マージャンが弱いクリスティーナのテンションは今ひとつ低いが、オレの狙いはクリスティーナじゃない。
幹部会議の席で暇そうに髪をもてあそんでいる、そこのエリザベスだ!
******************************
月に一度行われる魔王国ほぼ全員参加のレクリエーション。
今回決まったのはオレ発案のマージャン大会。
昼から予選が行われ、熱戦に続く熱戦が続き勝ち上がったのはエリザベス・魔王・オレ・ティルの4人。普段からマージャンで強い面子だ。
予定通り! オレは左脇に抱えた首でほくそ笑む。エリザベスは普段あまり外に出ないが、マージャンになると参加してくる事があり魔王国最強の呼び声も高いほど強いため勝ち上がってくると思っていた。
「ロン」
案の定、1回目はエリザベスが役を揃えた。
「あーあ、仕方ねえな」
ここでオレはあらかじめ用意していたセリフを言い立ち上がる。
「ほら、魔王にティル爺も立てよ。でもって一枚脱げ」
「な!? 何で脱がないといけないんだよ!」
「決まってるだろ? このマージャン大会決勝は脱衣マージャンだからだよ」
「脱衣マージャンなんて聞いてないぞ! 予選は普通のマージャンだっただろ!」
「決勝だけ脱衣マージャンなんだよ」
「マキシム! 最初からそれ目当てでマージャン大会なんて言い出したのか!」
「ああ、その通りだ!」
クリスティーナがゴミを見る目でオレを見てきたが、フラれたからもうどうでもいい。
それよりオレは、地味だけど実は美人でいい身体してるサキュバスのエリザベスが脱いだ所を見たいんだ!
「そんなのセクハラ…」
「魔王様」
何か言いかけた魔王を、エリザベスが手で制す。
「別に構わないわよ、脱衣マージャンでも。勝てばいいんだから。ただルールはハッキリさせてちょうだい」
「ああ、いいぜ」
案の定乗ってきたエリザベスに、オレは内心ほくそ笑む。
この女は相当な負けず嫌いだ。
勝負事になれば乗ってくると思っていた!
「ヒャッヒャッヒャ! 面白くなってきたのう!」
そして悪ノリが好きなティル爺、こいつも乗ってくると思っていた。
「…」
魔王だけは乗り気じゃなさそうだが、コイツだって男だ。エリザベスの裸を見たいに決まっている!
「…五千点ごとに1枚ずつ脱ぐ、戦いはチーム戦。私と魔王様チームに、ティル爺とアンタのチーム、それでどうかしら?」
「ああ、それでいいぜ」
そこそこ強い魔王を仲間にされたのは地味に痛いが、これでオレの野望に一歩近づいた。
見てろよ! スッポンポンにしてやるぜ!
………
……
…
「ツモ。メンタンピン三色一盃口ドラドラ。倍満で8000、4000。さ、2枚脱ぎなさい」
「…」
「ヒャッヒャッヒャ! …エリザベスの嬢ちゃん、勘弁してもらえんかのう」
「ダメよ。脱ぎなさい」
オレとティル爺は最終防衛ラインのパンイチなのに対して、エリザベスと魔王が脱いだのは靴下だけ。
脱衣マージャンの為にいつもより多めに着込んできたのにライフはラスト1枚だけだ…
澄ました顔でシーパイするエリザベスは、やたらと引きが強い上に読みが鋭く心理戦も長けておりとにかく強い。ホント、強い…
「はいツモ。次はティルさんが親な」
それと魔王! こいつオレの役が揃いそうな時に限って安い手で上がりやがる!
エリザベスの裸が見たくないのか! コイツやっぱ不能なのか!
イカサマしてるんじゃないかと思ったけど、マージャンパイは魔力が通じない素材でできているためできないとティル爺が言っていた。できてたらティル爺にイカサマしてもらったのに!
「スーッ…」
心を落ち着かせるために、深呼吸する。
諦めたらそこで試合終了だ! オレは最後の最後まで…!
「ロン。これでおしまいね」
「ス、四暗刻だと…!」
意気込みもむなしく、エリザベスにあっさり役満で締められる。
「フッ…」
オレは首を雀卓の上に置き、覚悟を決めパンツに手をかけた。
「仕方ねえな。負けは負けだ。潔く脱いでや…」
「脱がなくていいわよこの童貞デュラハン、セクハラ、変態。粗末なモン見せようとすんなバーカ。脱がなくていいから会場の片付け1人でやりなさい」
「…」
意外と口悪いなこのサキュバス!
「ヒャッヒャッヒャ! じゃ、後は頼んだぞマキシム」
「ちゃんと掃除もしろよ。ハーア、疲れた」
ティル爺は服を着始め、魔王もさっさと立ち上がりエリザベスと何やら話しながら帰って行く。
クリスティーナがオレをゴミを見る目で見ながら親指を下に向け、去って行く。
「…童貞じゃないもん、ちゃんと大人なお店で卒業したもん…」
オレは、涙目で服を着て雀卓や会場の片付けに取りかかった。
******************************
「相変わらず強いな、エリザベス」
「まあね。子供の頃から店のお姉さんサキュバス達やお客さん達と指してきたからね」
「え、それって脱衣…」
「私は一度も脱がなかったわよ。代わりにお姉さんサキュバス達が脱いでたわ」
「そうなんだ…」
「まあそれ以上におじさま達を脱がせてたけどね」
「…」
「魔王様も強いわよね? どこで覚えたの?」
「ア○ガミのぬくぬくマージャンだな」
「○マガミ? ぬくぬくマージャン?」
「そういうゲームがあったんだよ。それにしてもマキシムの奴め、レクリエーションを私物化しやがって」
「それにしても魔王様、マキシムが役を揃えそうになると邪魔してたわよね? そんなに脱ぎたくなかったの?」
「…俺じゃなくて、君を脱がせたくなかったんだよ」
「『お前の裸は俺だけの物だ』って事?」
「…」
「フフ、そういう所も好きよ。魔王様」
魔王軍幹部 マージャンの強さランキング
1位 エリザベス
2位 魔王
3位 マキシム
4位 ティル
5位 ガーさん
6位 ハカセ
7位 クリスティーナ
8位 ミノさん




