第二十八話「サウナ」
「サウナを作って欲しいんだよ、ミノさん」
「サウナ、ですか?」
また魔王様が妙な事を言い始めた。
魔王様は時折アレを作ってこれを作ってと我らに名前も聞いた事ないような物を作らせたがる。
「サウナっていうのは…こんなんで、この室内の中がすごく熱くなってて、外に水風呂があって、繰り返し入る事で……すごく整うんだ!」
「はあ…」
相も変わらぬ要領を得ない説明に首を傾げながら、我は魔王様に渡された絵を見る。
説明だけでは作れそうにないので、絵があるからありがたい。
魔王様は絵がお上手だ。
「で、このサウナとやらを大浴場の男湯と女湯両方に作れと?」
「いや、ひとまず片っぽだけでいいから。ウチの大浴場は一ヶ月で男湯と女湯が入れ替わるだろ? それで好評だったら両方に作るって事で」
「はあ、まあできるとは思いますが」
「じゃあよろしく」
「はい、分かりました」
他ならぬ魔王様の頼みだ。我は張り切ってサウナとやらの建設に着手した。
………
……
…
「できました」
「早っ! 早いなミノさん! さすが世界一の大工!」
「いやあ、それほどでも……ありますがな!」
大浴場の片隅に建設した水風呂と木でできた小さな部屋を前に我は胸を張る。
「中に熱した石と、温度計と砂時計、水もご用意しておきました。これでよろしいですかな?」
「うん! …よろしいかどうかはあんまり詳しくないから分からないけど多分大丈夫だよ! さあ、早速入ってみよう!」
「はい」
腰にタオルを巻き、魔王様と我はサウナとやらに入った。
砂時計をひっくり返して、タオルを引いた木でできた階段に腰掛ける。
熱い! 全身から汗が噴き出る! これ、入ってて大丈夫なのか!?
しかし魔王様の手前出る訳にもいかない。この熱さで魔王様の身に何か起きては一大事だ。
我はサウナの中で大粒の汗を流しながら我慢した。
「よしミノさん、水風呂に入ろう」
「はっ!」
砂時計の砂が全部落ちた後、サウナを出て水で汗を流し水風呂に浸かる。
「う、ウヒョオオオオオオオオ」
魔王様が妙な声を上げる。一体何をそんな…
「ヌ、ヌヒョオオオオオオオオ」
我も変な声が出た。
水風呂冷たい! 冷たいのが……気持ちいい?
「魔王様! これが『整う』なのですかな!?」
「いやミノさん、これは多分『整う』じゃない。あんまり詳しくないから分かんないけど。これを繰り返していくウチに『整う』んだ」
「何と!?」
これを繰り返すというのか! 何の意味があるのだ!?
我は魔王様と共にサウナと水風呂に入るのを繰り返した。
『整う』が何なのか、イマイチ分からなかったがサウナで汗をかくのと水風呂は気持ちよかった。
サウナは最初の月は男湯で、次の月は女湯で試されたのだがボチボチ止まりだったので増設はなしになった。
ただ我や魔王様やマキシムは気に入っているので毎回入るようにしている。
風呂上がりの牛乳がよりおいしくなるのでな!
ただ『整う』が何なのかは、未だによく分かっていない。




