第十八話「魔王城のはじまり」
「『テレポート』!!!」
俺はテレポートでグムグム教国の近くにある廃城の前に来ていた。
「うわー… 戦争で滅んだ国だけあってボロボロだな… こりゃ住めないや」
城壁も城自体も崩れた廃城を見て、俺は早々に諦める。
中から青白い炎が見えるし気配もする。戦争で死んだ人間がアンデッドになって住んでいるようだ。
できればもっとキレイで、先に住人がいなくて、できれば海が近い物件がいい。
「『テレポート』!!!」
俺は、次の目的地に向けてテレポートで飛んだ。
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「『世界征服しろ』って言われても……一体どうすりゃいいんだ?」
闇の魔王に世界制服を命じられ魔王になった俺は、途方に暮れていた。
世界を征服しろと言われても、何すりゃいいのか分からないよ。もっと具体的に指示をくれ!
前世の会社で地区長から『死ぬ気でやれ』と言われた時と同じ気持ちになりながら、俺は街道をトボトボ歩く。あの時は結局売上最下位で尻を蹴られた。パワハラという概念はブラック企業には存在しない。
闇の魔王から力を与えられ魔力はみなぎっているが腹が減った。腹が減ったけど金がない。
「うーん…とりあえず、魔王と言えば城かな?」
RPGの魔王は大体城にいたし、城持ってたし。
どっか滅んで廃城になった城ならタダで手に入るだろ。城の中ならお宝とかお金とかが箱に入っているだろうし。それで飯を食おう。
完全にゲーム脳の気分で懐に入れていた地図を広げ、俺はめぼしい廃城を当たる事にした。
「『テレポート』!!!」
………
……
…
「うわー…、石碑しかない…。戦国時代の城跡かよ。こりゃダメだな」
………
……
…
「誰だお前は! ここはワシの城じゃ!」
「いえいえ何でも」
………
……
…
「あっ、こちらのお城のご購入に興味おありですか? お安くしときますよ? 今ならたったの30億ペトラで…」
「『テレポート』!!!」
………
……
…
「あー…、腹減った、眠い疲れたー…横になりたい…」
俺は疲れた身体を引きずりながら、大陸の南端にある廃城へと入っていく。
「おっ? 中々キレイじゃないか」
城を見上げながら、俺は独りごちる。
戦争で滅んだとかではなく、経済的な理由で滅んだとかいう国の城は傷ひとつなく、アンデッドの気配もしなかった。長年放置されていたせいか、ボロボロな部分もあるけども…
「あ! リンゴ! しかもたくさん実ってる!」
城の前の気にリンゴが実ってるのを見て、俺は魔法で実を落としかじりつく。
「…うん! 食える! あんまり甘くはないけど十分食えるよ!」
周りを見渡すと、他にも果物の木が植えられていて実をつけていたり花を咲かせている。
畑らしかった所には野菜も自生していて食う物には困らなそうだ。
「…ん?」
何やら視線を感じた気がしたので振り返ったが、誰もいない。
黒いガーゴイルの石像があるだけだ。
「…とりあえず中に入ってみるとするか。お邪魔しまーす」
壊れて開いたままの玄関から中に入り、俺は城の中を進む。
泥棒でも入ったのか中は荒らされており、お世辞にもキレイとはいえないけどまあ他の廃城よりはマシだ。リフォームをちゃんとすれば住めそうな気がした。
窓を開けると、後ろに海があった。立地もよさそうだ。
「あー…」
俺は上から二番目の階にあった部屋のベッドに横になろうとして……汚かったので床に毛布を敷いて寝る。
「よし、ここを魔王城にしよう。そして仲間を集めて世界征服……できるかな?」
正直不安しかないが、やるしかない。
やれと言われればやる、それが社畜の体質だからだ。
まずは仲間集めだ。魔王なんだしモンスターとかアンデッドを仲間にすべきかな?
俺はそんな事を考えながら眠りについた。
翌朝。
俺はリンゴをかじりながら仲間捜しに旅立つ事を決意する。
「まずは……『ティルの不思議なダンジョン』にするか」
10年くらい前に突然でき、誰にも攻略されていないというダンジョン。
そこに高位のアンデッド、リッチーが住んでいるらしい。
そのリッチーを仲間にするんだ!
「…うん?」
また視線を感じた気がしたので振り返るのも、やはり誰もいない。
ガーゴイルの石像があるだけだ。
「まさかお前が…? そんな訳ないよな?」
ガーゴイルの石像に近づき、頭を触るも当然何の返事も返ってこない。
ちょっと動いたような気がしたけど気のせいだろ。
「よし行くぞ! 『テレポート』!!!」
俺は、意気揚々とテレポートで旅立った。




