表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら魔王でした  作者: アブラゼミ
16/65

第十六話「飲むヨーグルト」

「飲むヨーグルトが飲みたいんだよ、ガーさん」

「飲むヨーグルト、ですか?」

「そう、飲むヨーグルト」


 また魔王様が妙な事を言い始めた。

魔王様は唐突に聞いたことない物の名前を挙げて、飲みたい・食べたい・乗りたい・使いたい・作ってと命じてくる事があり吾輩は困らされている。

吾輩は「飲むヨーグルト」なるものがさっぱり分からず首を捻る。

ヨーグルトは食べ物でしょ? 飲むって何? あんなドロドロしたものが飲めるの?


「ガーさん、飲むヨーグルトはドロドロしてないんだ。サラサラなんだよ、牛乳みたいに」

「牛乳と何が違うのですか?」

「牛乳じゃなくて飲むヨーグルトなんだよ! 甘くておいしい飲み物なんだ!」

「ほう?」

『甘くておいしい』と聞いて、吾輩に興味が芽生える。

「ヨーグルトなんだけど酸っぱくなくて、甘くて飲みやすいんだよ!」

「ほう!」

「すっきりとした飲み応え、でも甘くておいしい。それが飲むヨーグルトなんだよ!」

「ほほう!」

「牛乳が飲めない人でも飲みやすくて、お腹にもやさしいんだよ!」

「ほほうほう!」


そう聞かされると、飲むヨーグルトとやらに興味が湧いてくる。


「分かりました! 作りましょう! 飲むヨーグルト!」

「さっすがガーさん!」


がっちりと固い握手を交わす吾輩と魔王様。

それが、地獄のはじまりだった。




………

……

「違う! これじゃ牛乳で薄めたヨーグルトじゃん! 飲むヨーグルトはこんなんじゃない! もっとサラサラしてて! 甘くて飲みやすいんだよ!」

「む、難しいですな!」




………

……

「違う! これじゃ水で薄めた甘いヨーグルトじゃん! 少し近づいたけど飲むヨーグルトはこんなんじゃない! もっと濃厚で、けれどもサラッとしてて、飲みやすい飲み物なんだよ!」

「サラサラしてるのかサラッとしてるのかどっちなんですか?」




………

……

「ん~!!! 大分近づいた! 大分近づいたけどまだ違う! 飲むヨーグルトはこんなんじゃない! もっと味が濃くて、けれどもゴクゴク飲みやすい飲み物なんだよ!」

「サラサラとサラッとはどこへ行ったのですか!?」




………

……

「遠ざかった! 遠ざかったよガーさん! これじゃカル○スだよ!」

「カル○スとは何なのですか!?」




………

……

「…」

「…魔王様?」

「…」

「あのー、魔王様ー?」

「…」

「ま…」

「今日からこれを、『飲むヨーグルト』と名付けよう」


 15回の試作を得て、ようやく魔王様がウンと頷く。

や、やっとOKが出た…

吾輩は飲むヨーグルト一口飲む。


「こ、これは…!?」


 吾輩はカッと目を見開く。

サラサラとした飲み口、サラッとしてるけど濃厚なヨーグルトの風味とほどよい甘味、そしてお腹にやさしそうな感じ!

これが、飲むヨーグルト…!


「…何ガーさん、また味見してなかったの?」

「は、はあ…」

「してよ味見! 毎回言ってるでしょ! 自分で味見してから俺に出してよ!」

「そうはおっしゃられても得体の知れない物は怖いんですよ!」

「得体の知れない物じゃなくて飲むヨーグルトだよ!」

「それが何か分からなかったから得体の知れない物なんですよ!」


 喧々囂々と言い争う吾輩と魔王様。けれどもすぐに飲むヨーグルトで乾杯して仲直りする。

それから『飲むヨーグルト』の増産計画、商品化の打ち合わせをクリスティーナ殿と行い工場での製造に入る。

吾輩はガーゴイルのガーさん。魔王軍幹部にして工場長を務める者。

魔王様の無茶ぶりに振り回される一介の甘い物好きである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ