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統合軍参謀の仕事内容の一例(島奪還演習を参考に)

アメリカ軍の演習でよくある事例です。

■作戦目標


 アメリカの同盟国であるA国がB国から攻撃を受け、島を占拠された。

 アメリカ軍は、A国軍と連合して島を奪還する。


 ※アメリカの同盟国でアメリカ軍より強力な部隊を持つ国はありませんので、政治的な介入がなければ、作戦はおそらくアメリカ軍指揮でアメリカベースで進められる形になるかと思います。


1.情報収集


 ※基本的に偵察衛星、航空機による偵察で情報を収集します。特殊部隊を上陸させて集めるパターンもありますが、秘密のベールに包まれており、全容は公開されていません。

 こうした情報収集はCIAを筆頭とした情報機関が行い、統合軍参謀は情報をもらう側になるかと思います。統合軍が自前で情報収集することもありますが、今回の事例では島が完全に敵勢力下にあると想定しており、特殊部隊による偵察も航空機による普通の偵察も困難と想定しています。


 B国は島に数千人規模の部隊を展開しており、戦車を始めとした重装備も確認されている。対空戦闘装備についても確認されており、事前情報から射程は少なくとも100キロ以上と推測。

 アメリカ統合軍司令部指揮のもと、アメリカ海軍空母機動部隊とA国海軍が協同して補給阻止作戦をすでに展開しており、増援の投入及びあらゆる種類の補給を阻止している。あわせて、戦闘機が常時展開しており、敵航空機が島に接近することは阻止できている。


2.情報分析


 ※収集された情報を元に情報参謀と作戦参謀が細かい分析を加えます。


 島は一部海岸を除き急峻な崖が大部分を占めていることから、海から上陸可能な場所は限られる。

 敵の占領下にあることから、上陸作戦はすべて強襲上陸となることが予想される。反撃の規模は不明ながら、戦車の存在が確認されていることから、困難が予想される。

 装備が比較的軽量で威力に欠ける空挺降下部隊では撃退される恐れがあることから、特殊部隊による情報収集目的以外での空挺降下は危険と判断する。


 なお、島はしばしば大型台風に襲われることがあることから、天気予報が重要な意味を持つ。


3.奪還作戦立案


 ※収集した情報の分析を元に奪還作戦を立案します。


 敵の補給を阻止していることから、長期戦に持ち込み兵糧攻めすることも可能であるが、敵が今後どのような作戦を展開するか不明なことから、できるだけ早期に島から敵を排除したい。

 戦車等の重装備および航空機にとって深刻な脅威となる地対空装備は最優先に排除する。方法はアメリカ軍の巡航ミサイル及び爆撃機による爆撃とする。


 ※いつ誰がどこから巡航ミサイルを発射するか、爆撃機はどこから発進しどれだけの爆弾を積みどこを攻撃しどこへ帰投するかも作戦内容に含まれますし、この調整も統合軍参謀の仕事です。


 爆撃効果判定を行い、効果が確認され次第ヘリコプターにより軽歩兵を展開する。作戦企図を秘匿する一方、同士討ち等のリスクを避けるため作戦は日の出2時間前に現地展開できるよう進める。


 ※通常の演習では、海兵隊か特殊部隊が先鋒を務め、陸軍部隊が第二陣になることが多いですが、統合軍作戦参謀が統合軍配下各部隊、あるいは速やかに投入できるほかの統合軍部隊の中から選択し司令官に提示することになります。当然、何パターンも用意します。


 展開した軽歩兵はすみやかに海岸線を確保し、味方戦車等の重装備が安全に揚陸できるようにする。戦車等重装備の展開が完了次第、航空機と連携し敵の残存部隊を島から一掃する。


4.他


 敵が再度島を攻撃する危険性があることから、上陸部隊は当分の間島に留め置く。場合によっては増援部隊も展開させる。

 作戦の全期間を通して、海軍部隊は敵の増援及び補給を阻止する。


 ※あえてわかりやすくするため、この演習は難易度がかなり低いです。敵の補給をずっと阻止することや、敵航空機の接近を阻止し続けることは容易ではありません。

 奪還作戦の真っ最中に敵が大部隊を投入してくるパターンや、敵戦車の所在が不明となるケース、敵戦車の数が予想よりはるかに多かったケースなど、実際の戦争でも数えきれないほどあります。

 逆に事前予想より容易に作戦が進んだケースとしては、湾岸戦争や朝鮮戦争の仁川上陸作戦があります。

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