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第四話 覚醒、そして胎動

「アルモート、勇者アルモートよ」

「うっせえなァ…今寝てンだろうが」


耳障りな声に不機嫌に呟く。


「貴様ァ!王に向かって無礼な口をきくとは何事だ!!」


「…あァ?」


ふと顔を上げるとそこには煌びやかな王座があった。

周りには騎士が整然と並び、装備を固めた勇者らしい姿をした屈強な男達が並んでいる。

その中、俺は貧相な装備をつけ痩せぎすの体でこの場にいる。あァ…そうか。


一応、アルモートって奴は勇者に選ばれたンだったな。

少しずつ、記憶が蘇っていく。俺は山田守人。

しがない高校生でこんな場所には縁もゆかりもない。

あァ…これが阿形の話であった異世界転生…いやこれは憑依って奴か。俺の顔にしちゃ随分顔が良い。西洋の顔だなこれは、日本人の俺とは全く違う。


剣を鞘から少し取り出して鏡代わりにしながら目の下の隈を眺めつつ、俺はこの世界について知る必要があると感じていた。


「こりゃ失敬。それで、何だったっけな」

「オホン、勇者アルモート。先程の無礼は見なかったことにしておこう。それでだ、今回の勇者には不足の事態がが発生しておってな。本来勇者は12人ずつ選抜されるはずであった。しかし、とても強力な勇者が13人目に来てしまったのだ」

「13人目だァ…?」


怪訝な顔をして周りを見る。すると1人の男が名乗り出る。


「アルモート、と言ったね。すまないな。私はイスカリオテというものだ。何故か私は村人だったのに勇者に選ばれてしまったのだ」


周りがざわめく。この世界では村人が勇者になることはありえない。村人は村人。その役割からは逃れることはできない。……はずだ。


「いやはや、素晴らしいことだ。可能性の閉じたここヨハン王国に於いて、村人から勇者が出ることがどれほどの奇跡か。故に、その奇跡の象徴には。是非生きてもらわねばならん」

「なァるほど。つまり、俺の分の装備を全部イスカリオテに回したと」

「そういう事だ。装備に関しては現地で魔獣を狩り、手に入れるように」


頭を抱える話だ。装備が無いのにどうやって魔獣を倒せというのか。ひのきの棒になべのふた装備なンてのもあながち笑い話にも出来ないな。


「すまないね、アルモート。私は先に行かせてもらうよ。装備をもらった代わりに前線の戦いは是非任せて欲しい」


イスカリオテはすまなそうな顔をしながらその場を後にする。

ごめんで済ンだら警察は要らねえンだわな。

つっても王様公認じゃしょうがねぇか。


「以上を持って解散とする。勇者の働きを大いに期待する」


騎士や勇者たちの歓声を他所にその場を後にする。

大体の事情は分かった。俺はアルモート、年は17ほど。恐らく18年後の35歳になると前線は崩壊する。何が原因かは分からない。調べる必要がありそうだ。


ひとまず、街を歩く村人を呼び止めて話を聞くことにした。


「昔は貴族様がいらっしゃったんだけどねえ。昔の王様が全てを廃止したのさ。それを良く思わない貴族たちと王様との派閥が衝突してしまったそうだ。内乱になったのさ。それを救ってくれたのが勇者様たちなのさ。王が呼び寄せた12人の猛者」


ペトロ

アンデレ

オオヤコブ

フィリポ

バルトロマイ

トマス

マタイ

コヤコブ

タダイ

シモン

マティア


そして、その12人のリーダー、ヨハンの名を取ってこの国はヨハン王国となった。

というのが近くの村人から聞いた伝承だ。


ヨハン王国は法政国家であり、王を擁立しながら法を重んじ、王を投票で選んでいる。


故に勇者も選抜し、呼び出し、勇者として送り出す慣習が出来たそうだ。

今回13人が選ばれたのは本来ありえない事態で、勇者は勇者として選ばれるのは必然。


…の、はずなのだが。イスカリオテという男は村人だ。村人は村人の領域を出ることはない。

それは昔のアルモートの記憶が物語っている。


「しっかしよぉ…これからどうするか」


レベルを確認する。勿論1。嘆息。

恐らくアルモートの成長率は変わっていない。

このまま進めても一年に1レベル伸びればいい方だ。



どう足掻いても絶望的ではあるが。









___胸の奥に抱いた怒りが駆り立てる


憎しみが駆り立てる


彼の憎悪が俺に呼びかける




許さない


復讐を


果てなき痛みを


果てない苦しみを




奴らに







こうして、勇者アルモートの復讐が始まる。


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