第8話 デッドの頭目の最後
(修道院設立宣言後~3日目の日付が変わるころ ベルフラワーの東部にて)リンの父ちゃん視点です。
くそっ くそっ くそっ!なんだあの小娘! 父親であるこの俺を扉に叩きつけやがって!
いつの間に 魔法なんぞ覚えたんだ。!!!!
怒り心頭に発しつつ馬を走らせるデッドの頭目
そもそも 結婚式まで挙げてやったあの女が素直に財産も渡さず、独り占めしやがったのが悪いんだ。
何が王女だ。男を建てることも知らない女めが。
(いやその財産はもともと王女様が持っていたもので 結婚しただけのあんたには何の権利もありませんぜ)←作者注
やっと遺産相続にありつけるかと思ったら、なんで小娘に管理権を奪われるんだ。
スレイン国の宰相だのなんだのが出しゃばりやがって。
↑(ただの配偶者には 王継承権も領主権の継承権もありませんぞ)
魔力がなんだ 魔女風情が 俺様を締め出しやがって。
魔女の娘も魔女 小生意気な!!!!!!!!
あの糞生意気な女をやっと毒殺できたと盛ったら、その娘がしゃしゃり出やがって!
一度引いたとみせかけて 寝首を掻いてやる!
などとリンの父親とその兄弟は口々にこぼしながら馬を走らせた。
途中休憩をしながら、ベルフラワーの中にある隠れ家に向かった。
そこは 14年前、リンの母親をさらって監禁した場所である。
「おい 隠れ家が見つからないぞ」弟が言う。
「もっとよく探せ」下兄が命じる。
地面に顔をこすりつけるようにして 手探りしながら探し回り やっと入り口を見つけた。
しかし 扉が開かない。
押しても ひいても 蹴っ飛ばしても開かない。
「どういうことだ?」兄弟達がわめきたてる。
「くそ あの女の魔法だ。封印されたんだ」
「何?まだ死んでなかったのか?」下兄
「3年も毒を盛り続けたのに」と弟
「いや 娘の魔法だろう。仕方がない このまま砂漠まで走りぬくぞ!」俺は叫んだ。
「そんな固い封印が小娘にできるものか。俺がこじ開けてやる」
愚かな弟は 再び扉を蹴りつけ始めた。
俺は弟を見捨てて馬を走らせる。下兄もついてきたようだ。
しかしだんだん苦しくなってきた。体が重い。とうとう落馬してしまった。
どうやら俺も年貢の納め時らしい。
おもえば 兄貴がおやじを殺して首領になったのも13の時。
その兄に命令されて、リンド国の巫女姫をさらって嫁にして、
それでもリンド国から思うように金も土地も手に入れられなかったからと、俺が兄貴から殺されかけたのを反撃して首領に納まったわけだが・・・
今度は その俺が13の娘にやられるとは 笑わせるぜ。
リンよ それでこそデッドの山賊の娘だ。
もっと早くに娘を殺しておけばよかった。
美人に育ちそうだからと後の楽しみにとっておいたのがまちがいだったな。
どこまでも非道な父親でありました。
ここに描かれた父親・母親の姿は 今の日本にもゴロゴロと転がっている ごく普通の人が我が子にだけ見せる裏の顔から写し取ったものです。
(皆さんもうすでに年金生活を経て亡くなっているので「実在の人物団体とは全く関係のないただの物語世界」に その面影のごくごく一部を投影しました。つまりほんとに架空の物語の架空の登場人物です。
※非道な人間の描写は この回で終わります。
明日の朝8時投稿分以後 すべての回からは デッド系の話は一切出てきませんので どうかご安心を。
※特に明日の朝は 朝にふさわしく 聖獣との楽しい1日を投稿予定ですので、どうか気分直しに読んでくださいませ。(といっても主人公が主人公ですから・・・ orz)
少しの間 謀略大好き大人たち(いわゆる教師やご近所の大人たちが 社会的立場の弱い子供に対してのみに見せる顔)を描いて、第2章以後は まっとうな?人々の日常生活を描きます。
大人達のろくでもない本音に翻弄されて12年間生きてきたリンちゃが、「ごく普通の人間関係」になじんで 少しづつ人付き合いを覚えていく様を描くのが、この「尼僧院長の憂鬱」の主題ですので
今後の展開を どうか読んでいただけますようにお願い申し上げます。
できるだけ 楽しい要素を増やし 読後の爽快感が味わえる作品を目指す所存であります。
どうかよろしくお願い致します。