第3話 裏話・領地の説明(地図あり)
修道院設立宣言を行い、結界を緩やかに膨らませることにより領地内にいた男どもをことごとく追い払った。
と言っても 実際には我が館の外はほとんど荒れ地であり、住民は 実のところ私一人なのである。
なにしろ親族間のごたごた回避のために、祖父であるリンド国王が崩御された時に
母が相続した領地は、すべて私が結界魔法で封鎖していたから。
(母の親族であるスレイン国の重鎮の助言に基づいて。)
私がベルフラワーを封鎖したことにより、デッドの山賊である父の一族はデッド地方に取り残されてしまい、リンド国を荒らしに行くことができなくなってしまった。
結果として私は リンド国防衛への貢献を認められ、リンド・スレイン両国の教会や学院で自由に学ぶことが認められた。
また 母をリンド国の修道院で養生させることもできるようになった。
デッド地方は ほぼ砂漠なので そこに隔離されてしまった父の一族は怒り狂ったが、もともとそこが彼らの居住地であり、ベルフラワーは本来リンド国の一部であるから 山賊であるデッドの連中が立ち入ることができないのは当たり前のことなのである。
しかし ベルフラワーに結界を張る前からリンド国内に潜んでいたデッドの協力者はいた。
人の出入りができずとも 通信魔法を駆使すれば デッドとリンド間でのやりとりも可能だ。
それゆえ父は、結界を張った人間が死亡すれば結界も消えることを利用してベルフラワーを乗っ取ろうと考えた。
その為に、私が気付かぬように母を殺すことにしたのだ。
だが、現実は・・ベルフラワーに結界を張ったのは私である。
それゆえ 父が母を謀殺してもベルフラワーの結界が揺らぐことはなかった。
私は虫の知らせに従い、学院を出立した。
移動途中で母の死を知ったので そのままベルフラワーに駆け付けた。
そして急遽、外見だけは立派な「館」を建設し、デッド側の結界の一部だけを緩めて父を待ち受けた。
(ベルフラワー内の建造物はすべて 私の結界魔法で消し去っておいた)
私の魔法能力を知らなかった父は、ベルフラワーの結界が緩んだとき、それが罠とも知らずに意気揚々と乗り込んできた。
私のことを「所詮女」とあなどっていた愚かで強欲な父。
「無知な者ほど限度知らずの我ままを押し通す」の見本みたいな人であった。
私の館は現在のリンド国国境から徒歩で約3日ほどの所である。
もともとはリンド国の一部であったのだが、先王崩御後のごたごたで、私の領土は、デッド地方における独立領土のような立ち位置となっていた。
館から西へ 馬で1日~2日でリンド国
館から南へ 馬で10日前後で海 領海まで私の領地
館から北は 森林が茂っているので境界がどこなのかよくわからない
一応 平地を走る馬の3日分くらいの距離までは結界内に収めておく
館から東は 草原から砂漠へと続き、オアシスとよべるほどのものもない砂漠がデッド地方である。
我が領土の境界は、館から馬でおよそ7日ほどのところにある。
昔は デッドの地にも草原がひろがっていたのだが、デッドの盗賊ども(父の一族でもある)のあとさき考えない行動により、我が領土に接するほど砂漠化がすすんでいる。
だからこそ デッドの人々を煽動して 父の一族が、私の相続した領土(リンド国の一部)をのっとらんと策をめぐらしていたのである。
というわけで 侵略者たちが3日のうちに我が領土を出ようとすれば、リンド国に逃げ込むしかないのであるが・・はてさて この先どうなることやら・・・