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07 暴発、三者面談!? in緑の試練

*読み難かったので文章を整えました。

「スズノ、風呂場に着いたぞ。ココなら大丈夫か?」


 気遣わしげな優しい低音が聞こえ、おれはギュッとしがみ付いてた黒い布からそ~っと顔を上げた。


 太い首の横から見えるのは、タオルが詰まった棚と鍵付きロッカーの列。それと、心配そうにコッチを見てる魔導人形(ゴーレム)さんたち。

 草に包まれた〈夕焼け色の石段〉――手すり無しで奈落の底へ呼んでるみたい――はドコにも見えない。


「……ぅん、ダイジョブそ」


 頷くと、背中を軽くポンポンって叩かれてからそっと下ろされた。


 あ。床に足着いた感覚はあるけど、ヒザがブルブルして立ってられないかも。

 おれ今、生まれたての子鹿状態?


 ――なんて思ってたら、壁を背もたれに〈()の子ベンチ〉に座らされたよ。


「座ったままでイイから服脱いどけ。準備出来たらすぐ連れてってやる。この風呂に入れば、大概の状態異常は治っちまうからな」


 見上げたら、金髪交じりの赤い眉を寄せた(あお)い隻眼が思ったより近くにあってビックリした。

 でもスゴく心配そうなだけで、迷惑とか怒ってるとかじゃ無さそう。


「ん。おれ、ちょっと――メッチャビックリ、しただけ……多分、もうダイジョブ」


 不意打ちだったから、落ちそうで恐くなったんだと思う。

 手すり無しの石段だし、幅も奥行きも異世界(コッチ)の大人仕様でおれの歩幅と合わないし、草に足取られたらスベりそうだし。


 だけど、()るのが判ってたら注意も出来るし対策も取れる。

 最悪、柱に巻き付いてるツタを手すり代わりにすればイケると思う。

 虫が歩いてたらヤだけど、背に腹は替えらんないし。


 ――って、あれ?

 赤の試練と同じ仕組みなら、単なる〈内装〉ってコトもあり得るんじゃね?



 ほ~っと息を吐き出したおれは、二人分の着替えをレインさんに差し出してる魔導人形さんを見て、急に〈木の匂い〉と〈水の匂い〉と〈新品の布の匂い〉と少しの〈サビた鉄の臭い〉を感じた。

 今の今まで、予想以上に強張ってたみたい。


 うわ、上半身はガッチガチで腰から下は感覚遠っ!


「ふぇ~……腰って、抜けるとホントに立てないんだねぇ」

「オレも驚いたぜ。昨夜(ゆうべ)あの階段見た時は、こんな反応しなかったからなぁ」


 思わず呟いたら、苦笑したレインさんに頭ポンポンされたよ。


「あ、そっか……昨日のおれは、あの石段降りれたんだ」

「いや、眠そうで足元危ねぇからオレが抱えて降りた。フニャフニャ文句言ってたが、もしかしてその時点で寝てたのか?」

「憶えてナイデス。……ん?」


 つか、おれの手! レインさんのシャツ握り締めてんじゃん!?

 そりゃ御尊顔も近付くワケだよねぇええ~~っ!?


「あっ、あのっ――昨日も今日も、運んでくれてありがとっ! レインさんも魔導人形さんも、心配掛けてゴメンねっ?」

「コレぐらい何ともねぇから、気にすんな」


 慌ててシャツを解放したおれの頭をワシャワシャ撫でながらの優しい低音に、コクコク頷く魔導人形さんたち。


 おれは、ほわほわのお日様の匂いに包まれてたコトも感じて、全身から更に力が抜けた。



**********



「今日はご飯に焼き魚~♪ お魚お魚久しぶり~♪ 何の魚どんな魚、もしかして〈(ブリ)〉~? ココにも鰤って居るのかなぁ~?」


 左斜め上から「ぐッ」て変な音がして気が付きマシタ。

 サッパリした柑橘系の泡で全身を包まれながら、おれは無意識に〈鼻歌ってた〉らしいデス。


 そ~っと見上げた先には、引きつった口元とがっしりした鼻と柔らかく緩んだ碧い隻眼。

 しっとりしてる金髪交じりの赤い髪は、いつもより少しだけ長いね。濡れて癖が伸びたんだ?

 ガッチリ太い首から下は、極力見ませんヨ。ハッキリ分厚い胸板とかバッキバキの腹筋とか力コブ作れる腕のステキ筋肉とか、ウラヤマシ過ぎておれには目の毒デス。


 まぁ見なくとも、背中側を洗ってくれてる手のゴツさと大きさは判らされてしまってるワケデスケドモ。

 自分の身体洗いながらおれの身体も洗えるって、ちょっと器用過ぎマセン?


「……ご機嫌直って良かったぜ、スズノ」


 あ――さっきの変な音、マナーモードでしたか。声がバイブってるよ、レインさん。


 ん?

 シャワーさん呼んで、手の泡落としたの?


「けど、お湯にはちゃんと浸かっとけよ? 見えない異常も治るからな」


 ……一応、水切ってから頭ポンポンしてくれたお気遣いはアリガタイノデスガ。

 今、つい鼻歌ったのは〈精神的な状態異常〉とかでは無いと思イマス……。


「くッ――いっそ爆笑しやがれください!」


 だからマナーモードはオフでっ!

 声出して笑ってもいいってば~っ!



 やっとマナーモード終わったレインさんが咳払いした。


「そんなに魚が楽しみか?」


 目尻にうっすら涙って。

 そこまで笑えた? おれの唇、(トンガ)っちゃうよ?


「だっておれ、魚も嫌いじゃないもん。今までの宿には無かったし」

「ああ、ギェントイールで海に面してるのは、南の辺境伯領だけなんだ。川にでも行かなきゃ〈美味い魚〉は食えねぇなぁ」

「そっかー」


 美味しくない〈干した魚〉なら、大きな街で食べれるそうな。ただし高級珍味扱い。

 そして、レインさんは『安全かつ、おれが美味しく食事出来そうなルート』を選んで旅してくれてたワケだ。

 うん、魚料理に出会う確率メッチャ低いネ!


「ウチも姉ちゃんが肉好きだし、グリルの網洗うのも面倒だから、そもそも魚出るの少なかったんだよねー」


 お祖父(じい)ちゃんちとか安斎(あんざい)先生んち泊まった時、朝に焼き魚出るのが密かな楽しみだったな~。

 って、思い出してたらお腹鳴っちゃったよ!


「ははっ、元気そうで何よりだぜ。風呂上がったら、食堂直行な。ほら、先に流して湯船入ってろ」

「むぅ……シャワーさん、お願いします」

『承りました!』


 そもそも、さっき脱衣所で〈黒い蝶ネクタイした魔導人形さん〉が見せてくれたメニューが悪いんだよ。

 曰く『選べる朝食セット 〈A焼き魚〉〈Bオムレツ〉〈Cベーコンエッグ〉〈Dお粥〉 *主食はご飯かパンか、両方でもどうぞ』――って写真付きのヤツ!

 メッチャ美味しそうだったんだもん~!


「ねぇ。おれ〈A〉の焼き魚でご飯に決めたんだけど、脱衣所の魔導人形さんに頼んどいたら、お風呂出てすぐ食べれるかなぁ?」

「ん? あ――そうか、先に頼んどきゃイイのか。朝飯選ぶなんて初めてだから、よく解ってなかったぜ。……しかし、張り切ってるよなぁ」

「へ?」

「いや、何でも無ぇ。スズノ、少し分けてやるからオレの分も選んでくれ。主食はご飯とパン両方で〈B〉か〈C〉の大盛り、お前の好きな方な」


 レインさんが苦笑しながらおれの頭をワシャワシャ撫でて雫を飛ばし、ついでに前髪をかき上げてオールバックにしてくれた。

 いつもより視界が広くなったら、何か気持ちも広くなった気がする。『うむ、苦しゅうないぞ~』ってカンジ。


 つか、おれが〈焼き魚〉と〈卵料理〉で迷ってたのバレてるっぽいネ。


「ん~……じゃあ〈B〉の大盛りで! 付け合わせのウインナーも少しください」

「解ったぜ」


 イロイロと、アリガトウゴザイマス。


『承りました!』


 ……うん、脱衣所の方から聞こえたね。


 お風呂の中でも注文出来るの?

 何と言うか……魔導人形さんたちも、アリガトウゴザイマス。


「俺のもついでに頼む。〈D〉を〈中華粥〉で大盛りな」

『承りました!』


 いきなり〈渋くてカッコイイ声〉が聞こえたと思ったら、引き戸がガラッと開いた。


「ふぉわっ――!?」

「ぅおっ――!?」


 走り去る魔導人形さんの姿がチラッと見えた気がするけど、ブワッと溢れたモノスゴイ湯気に包まれて周囲は真っ白の視界ゼロ。

 そして一瞬後、おれの左隣から『ボンッ!』て何かが爆発したような音が聞こえた。



*********



『カ~オ~ス~、誰の所為~? カオスの勝手でしょ、カーカー』


 そんな歌が今、おれの頭の中をグルグル回ってます。


 ナゼナラ。


 おれの目の前には、ぽかぽかお風呂に浸かりながら大きな手で顔を覆ってうなだれてるリューさん。

 おれたちから一番遠い壁の隅には、警戒心バリバリでコッチを窺ってるキラキラした赤い毛の――〈大きなワンコ?〉が居て、碧い右眼は半眼の若干ジットリ目。


「あ~……レイン、済まん。もう正常な精神状態だから大丈夫だ。お前も湯に浸かれ。魔力回復しろ」


 あの〈左瞼の傷痕〉と〈火傷痕〉は早く治したくなるのが不思議だなぁ?なんて思ってたら、リューさんがワンコを手招きした。


 リューさんの方をメッチャ警戒しながら湯船に足を入れて、ゆっくり全身を沈める赤い毛並みの大きなワンコ。

 このワンコ、やっぱ〈獣化(じゅうか)したレインさん〉なんだ……。

 さっきまで〈超ゴキゲン〉状態だったリューさんに、全身丸洗いされてたけど……。

 おれもつい、耳やほっぺた周りをモフモフしながら洗っちゃったけど……。


 そう言えば、死んだ魚みたいな目で遠くを見てたかも――?


「あの――勝手にモフモフしてゴメンナサイ!」


 赤い耳がペタンとしてそこはかとなく落ち込んでる様子に思わず謝ると、ワンコ――レインさんが『ふぅ』って溜め息ついた。


 スイッと近付いて来た赤い前足がおれの頭に『ベシャッ』て乗って、お湯浸しになったおれのほっぺたに太い鼻面(ハナヅラ)がスリスリ。

 ビックリして見上げた先、碧い隻眼(かため)がニヤッて笑う。


 おれが首傾げると、困ったような雰囲気でリューさんに顔を向けた。



「スズ、元々〈今日モフモフする約束〉してたんだろ? 『気にすんな』ってさ」


 おれの目がリューさんとレインさんを行ったり来たりするのを見て、赤い毛並みがハッキリ頷く。

 それでも窺うように見上げたら、おれの腕より太い前足に頭をグイグイ揺らされた。


「ん……。でも、何でいきなり獣化しちゃったの?」


 頭の上の前足をキャッチして、小麦色の肉球をフニフニ揉んでみる。


 少しくすぐったそうだけど、逃げないでおれの自由にさせてくれるから、ホントに気にしなくてダイジョブらしい。

 良かったぁ……。


「はぁ~……。悪いな、二人とも。さっきまで、俺はどうやら〈精神異常〉起こしてたらしい。風呂に浸かって回復したから確実だ」


 大きな溜め息ついたリューさんが、メッチャ苦い声音で言った。

 おれはビックリだけど、レインさんは『納得』ってカンジで頷いてる。


「リューさんが精神異常? ちょっと〈ゴキゲン〉だったんじゃなくて?」

「アレは『ご機嫌』どころじゃ無ぇだろ。俺は普段〈強制的に獣化〉なんかさせねぇよ」


 えっ――レインさん、ムリヤリ獣化させられたの!?


「リューさんが獣化させたの!? どうやって!?」

「そりゃまぁ……例えば殺気ぶつけて〈恐怖〉や〈怒り〉でブチキレさせたら獣化するし、純粋な魔力ブチ込んでも獣化するだろが?」


 一瞬納得しかけたおれの斜め上で、胡乱(うろん)げな目のレインさんがプルプル首を振る。


「……今のは『リューさんだから可能』ってコト?」


 呟くと、金髪交じりの赤い毛並みが思いっ切り頷いた。

 毛先の軌跡が光の線になって、スゴいキラキラしてる。綺麗だね。


「だから、俺は普段から気を付けてんだ。春と秋の健康診断で、返信遅かった奴らだけ〈罰として強制獣化で丸洗いする〉程度にな。これでも、無闇に獣人(じゅうじん)撫で回さねぇよう気ぃ遣ってんだぞ」

「じゃあ何で急に? あ――だから『精神異常だった』ってコト!?」


 もしかして、さっきの〈湯気〉はリューさんの魔力?

 主にレインさんを包んでたし、おれには(あった)かいだけで――。

 つまり、レインさんが獣化しちゃったのはホントにリューさんの所為!?


「そ。アレコレ我慢してっから、俺もストレス溜まってたんだよ。あ~、〈ウサコ〉早く帰って来ねぇかなぁ」


 ……あの〈手の指ワキワキ〉って、スッゴい見覚えしか無いんデスケド。

 リューさん、まさかの〈モフラー組(おれたちサイド)〉?


「しかし……直接の原因は、やっぱ〈あの疲労回復剤〉だろな。俺の〈毒無効〉抜けるとか――何つーモン作ってくれてんだよ、ジンの野郎……」


 何か小さく呟いたリューさんが、お風呂のお湯をすくって自分の顔に『バシャッ』て掛けた。

 一瞬モサモサおヒゲまでショボンってなったけど、プルプル頭振ったらすぐに水気が飛んで乾いてる。


 え――もしかしてコレも何かの回復効果!?



「あー……俺はそろそろ上がるぞ。これ以上魔力回復させても面倒だ」

「ふぇ? レインさん、このままで?」

「もう自分で戻れっだろ? 戻るとこ見られたくねぇなら、スズも連れて――」


 リューさんの言葉の途中で『バシュッ』て音がして、おれの左隣に控え目なお湯柱が立った。

 上がったお湯が滝みたいにバシャバシャ落ちてるけど、おれの方には降って来ない。


 ぽけ~っと見てたら、滝の向こうに赤い髪の人影が見えた。


「……ふぅ。戻れたぜ」

「ふむ。弟子の成長は感慨深いモンがあるなぁ」


 レインさんの声が聞こえたら、リューさんがニヤッと笑って右手を下ろした。それと同時、滝を作ってた魔力が(ほど)けて天井の方へ消えて行く。


 どうやらリューさんが、おれにお湯が飛んで来るのを防いでくれてたっぽい。


 ありがとって言おうとしたら、いつの間にか目の前に居たリューさんがおれのオデコに手を当ててた。

 冷たくって気持ちいい~。


「スズ、逆上(のぼ)せてんじゃねぇか? もう出な」

「ん~……」


 何かフワフワするな~って、おれも思ってた。手持ちブタさんで、湯船にず~っと浸かってたもんな~。

 ん?……ブタ? ブサたん?


 あれ、頭がボーッとしてる……?



「おい、スズに早くシャワー掛けろ! レイン、お前は使った分の魔力回復してから出ろよ!」

「解ってる! スズノを頼む!」

『承りましたっ!』



********



 気が付いたら、普通に服着て食堂の小上がりの壁に寄っかかってて、冷たいフルーツミルクのストローくわえてマシタ。

 シパシパ(まばた)きしても、他に居るのは〈作務衣(さむえ)〉みたいな黒い服着て胡座(アグラ)かいてるリューさんだけ。


「レインなら、もうすぐ来るぞ?」


 リューさんがくわえてる煙管(キセル)からプカ~って〈煙の輪っか〉出して、そう言った。

 おれ、まだ何も言ってないよね?


「判り易いんだよ、スズは」


 ニヤッて笑いながら、またプカ~。


「リューさん、煙草(タバコ)吸う人なの?」

「俺が若い頃は〈男の(たしな)み〉だったからなぁ。一応吸えるが、今は吸ってねぇぞ」

「でも、ソレ――?」

「あぁ、コレは〈魔力を魔素に変換する魔導具〉の煙管型だ。煙草じゃ無ぇから心配すんな」


 ギラギラ眩しい煙がたなびいてるけど、全然煙臭く無い。

 ホントに煙草じゃ無さそう。


「わざわざ魔力を魔素にするの? 何で?」


 思わず首傾げたら、リューさんも同じ方向に小首傾げた。


「ん~……『痕跡残すと面倒だから俺の色を抜く』って言って、解るか?」

「む~……何となく?」


 ギラギラ光る煙の輪っかが連凧みたいに続けて上がり、天井の近くで消えて行く。


「ついでにコレ、多少なら溜めとけるからな。色々と便利なんだよ」


 今度は煙を出さないで、煙管自体が白く光った。



「二人とも、待たせたか?」


 不意に優しい低音が聞こえて、おれの肩がビクッて跳ねた。

 煙と光る煙管が面白くて、つい集中して見ちゃってたみたい……。


「思ったより早かったから、大して待ってねぇな」

「それなら良かったが……」


 おれ見てニヤつきながら、煙管を懐にしまうリューさん。

 ええ、ええ、リューさんに比べたらおれは紛うコト無く子供(おこちゃま)デスヨー。

 レインさんは少し首傾げたけど、そのままおれの左横に座る。


 そしたらすぐ、気配が無かった黒蝶ネクタイの魔導人形さんがスイッとお盆を運んで来た。

 焼き魚定食、オムレツ定食とパン、大きい丼の中華粥の三つが両腕と頭に乗っかってる。メッチャ器用~!


「ずっと待機してくれてたんだ。ありがとね!」


 ニッコニコでお礼言ったら、レインさんに頭ポンポンされちゃった。

 苦笑いになったリューさんは、先に「いただきます」してたよ。



*******



拠点(ウチ)に連れてくにしろ、スズはまず〈この世界のお勉強〉しねぇとなぁ」


 ご飯食べながらの議題は、おれの今後の話でした。

 何かリューさんが、暫定父親抜きでその話しときたかったらしいデス。


 そりゃまあねぇ……。


「別に勉強はイヤじゃ無いんだけど、〈先生〉はやっぱり?」

「〈夏喜(ナツキ)一択〉だ。野暮な事()くなよ」


 つまり『選択肢(チェンジ)は無い』と。


「……デスヨネー」


 リューさんの同情的な目がツライ。


 せっかく焼き魚食べてんのに、おれのテンションはジェットコースター。

 思わず遠い目しちゃうのは、勘弁してクダサイ……。



 あ、ウインナーが飛んで来た。


 え、口の前で順番待ちデスカ?

 ……はい、アリガタク食べさせてイタダキマス。


 ふおぅ――皮はパリッと、下味利いた肉汁ジュワー! メッチャ美味しい~!


「スズノ、ナッキーはオレたちの中で一番博識だ。大概の事は教えて貰えるぞ?」


 だから『拒否出来る建て前が無い』ノデスヨ、レインさん。


 お? 流石にオムレツは柔らか過ぎて不時着か。

 ココのご飯の上にお願いします。


「分けてくれてありがと。一応、頑張ってみますケドモ……覚えが悪くても怒らないでネ?」

「そんな事で怒るヤツは居ねぇから、心配すんな」


 にっこり笑ったレインさんにワシャワシャ頭撫でられてるおれの肩に、溜め息ついたリューさんの大きい手がポンと乗った。

 堅くてじんわり温かい掌はメッチャ既視感(デジャヴ)。オマケにトラブルの(イヤな)予感も添えて。


「つーか、俺たちの平穏は割と〈スズ(おまえ)次第〉だ。気疲れしたらちゃんと言えよ? モフれそうなの、差し入れてやるから」


 遠い目仲間のリューさん。

 何か、イロイロと申しワケありませんデスヨ……。


手こずりました。ええ、色々と…。

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